質問紙法の難しさ
- Nagashima Kazuhiro
- 3 日前
- 読了時間: 4分
更新日:2 日前
先日、個人的にちょっと考えさせられる報道がありました。
沖縄全戦没者追悼式での出来事です。
式典は、「戦争反対!」「9条を守れ!」という大声のヤジが飛び、ヤジを飛ばした5名が退場させられました。
まぁ、追悼式中に大声でヤジを飛ばすというのは、いったいどういった人達なのだろうという興味もありますが、それは置いておきます。
(^_^;
式典が終了し、望月衣塑子というジャーナリストが、高市総理に質問をしていました。
以下の質問です。
「総理。演説中に飛び交っていたたくさんの市民の戦争止めろ、9条守れ、非常に強いメッセージ、どう受け止めましたか?」
皆さんどう思われます?
この式典の参加者は、約3600人だったそうです。
大声のヤジで追い出されたのが5人。
約0.14%ですね。
しかも、このタイミングで退場させられた5名全員が沖縄県民であるのか、また式典参加者や沖縄県民を代表するのかは確認されていません。
たくさんの市民?
(^_^;
まぁ、望月衣塑子さんに好意的に考えれば、
5人が声を上げた
↓
同じ気持ちを持つ人は、声を出さなかった人を含めて多数いる
↓
「多くの市民からのメッセージ」である
といった思考があったのかも知れません。
まぁ、酒を飲みながらの雑談なら良いのですが、公的な場所での質問ですので、ソースが必要ですよね。
おおくの市民と言うためには、沖縄県民の○%の市民が戦争反対であり、9条改憲に反対しているということを示す必要があります。
そうしたアンケート結果でもあって、示すことが出来れば、まぁこうした質問も有り得ることにはなります。
まぁ、望月衣塑子さんのこの質問に関して言えば、代表性を裏付ける根拠を示さず、少数者の発言を「たくさんの市民」の声へ拡張している。事実と記者自身の解釈の区別が曖昧で、ジャーナリズム上、論理的に飛躍した質問だと思います。
で、私が興味を持ったのは、こうしたアンケートをとった、あるいはとるとしてですね。
それってかなり難しいと思うのです。
戦争反対というのはほぼすべての人がそうだと答えるでしょう。
しかし、ですね。
戦争を起こさないために9条を改憲すべき、という立場の人もあれば、
戦争を起こさないために9条を維持すべき、という立場の人もおられるわけです。
質問紙法でアンケートデザインを考えると、パッと思い付くのが
1.あなたは戦争反対ですか? (Yes/No)
2.あなたは9条改憲に反対ですか?(Yes/No)
みたいな感じです。
この質問では、1.では多くの人がYesと答えるはずなのです。
1.の後に、2.を読むと、
まず、プライミングが起きます。
「戦争」という強い否定的なイメージが9条改定の判断基準になりますね。
9条改憲は戦争を起こすという事とは別のお話です。むしろ自衛の話と言えますね。
だけどプライミングによって、9条改憲は戦争という言葉と結びつけられます。
結果的に、この質問の流れでは、9条改憲が「戦争を望む側の政策である」という連想が脳の中で造られます。
さらに、反対ですかと問われる事で、フレーミング効果が働いて脳の情報処理は「反対」の理由を探し始めます。
その上で一貫性バイアスが働いて、1.と矛盾しない回答を選ぶことになります。
そうして2.でもYesを選ぶ人が増えるという事ですね。
本来、質問紙法では、こうしたバイアスが入らないようにデザインを考えるのが通常です。
難しいですよね。
リハビリの世界でも、こうした質問紙法の評価がおこなわれることが結構あるのですが、やはり同じような問題をもっていると感じています。
見ると、その質問紙法がかかえている問題点は何となく把握できるのですが、ちょっと自分で質問紙法の質問をデザインするというのは、たぶんというか、絶対私には無理です。
(^_^;
海外では、サーベイ・メソドロジストという職域があって、こうしたことをされておられるそうです。
日本においては独立した職名は無さそうです。
ですので、大学の研究者や調査会社のリサーチャーなどがこうした質問紙デザインに関わられておられるそうです。
今後もこうしたアンケートを報道においても、リハビリテーション医療においても使うのであれば、質問紙をデザインした人、そして、それに関わった研究者や調査会社のスタッフの名前をきちんと入れるべきだと思います。
そうすることで、こうしたアンケート調査の精度が上がってくるのだろうと思うのです。
あ、勿論、質問紙の内容は関わった人と同様に公開すべきですよね。
望月衣塑子さんの質問から、こんなことを考えました。
この思考は私にとって有益な時間だったように思います。
望月衣塑子さん、ありがとうございます。
m(__)m




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