臨床実習レポートとCINAC
- Nagashima Kazuhiro
- 23 時間前
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更新日:21 時間前
あるセラピストとお話をしていて、臨床実習に来ている男性学生がレポートの対象に女性の中等度認知症患者さんを選んだとおっしゃってました。あまりレポート向けでは無いのでは無いかとのことでした。
学生さんが関わり始めてから、ずいぶんMMSなどの点数が改善したのだとか。
認知症のリハビリテーションには、さまざまな手法というか方法論があるわけです。
まぁ、どの手法を用いたのかまでは聞いてはいないのですけれど。
学生としてはご自身が用いた何かしらの手法が、改善につながったという流れのレポートが書きたくなります。
私が学生時代はそうでした。(^_^;)
で、いろいろなお話をお聞きしたのですが、私が興味を引いたのは、その女性患者さんが学生さんのことを大層気に入っておられたとの話で、普段セラピストの顔や名前を覚えたりしておられないそうなんですが、この学生さんの名前〜名前をかりにTKさんとします〜は覚えていて、他のリハビリテーションスタッフに「TKさんはとてもいい人だ」といったことをいつも話すようになられたそうなんです。
ということは顔と名前を覚えられたということですね。
( ◠‿◠ )
いい傾向です。
これはおそらく、この学生さんを好ましいと感じておられるということなのだろう〜まぁ、極端な言い方をすれば好きになられたのだろうとおもうのですね。
恋愛情動と記憶というのはかなり密接な結びつきがあるのを、みなさんご経験がおありになられるのでは無いかと思います。
情動システムとしては、扁桃体と海馬の相互投射がありますし、海馬は直接側坐核に投射回路を持っていて、側坐核は間接的に海馬に投射回路を有しています。
海馬 (vHPC)
↓(グルタミン酸)
側坐核(NAcc shell)
側坐核
↓(GABA)
腹側淡蒼球 (VP)
↓(GABA)
視床核 (MD/その他)
↓(グルタミン酸)
前頭前野皮質 (PFC)
↓(グルタミン酸)
海馬
側坐核
↓
VTA
↓(ドーパミン)
海馬
こうした回路によって、記憶回路が活性化されることでMMSなどの検査結果が改善したという見方の方が、自然だとおもうんですよね。
つまり、この学生が行ったアプローチと認知症上の改善には相関関係はあったとしても、もしかしたら因果関係と呼べるものではなく、因果関係はこの学生さんに対する患者さんの情動との間に認知症状の改善との因果関係が存在しているという可能性が高いと思うのです。
シナク〜correlation is not a cause 相関関係は因果関係ではない〜ですね。( ◠‿◠ )
ひとつのシナカルな思考の例として学生さんにお伝えすべきだし、因果関係を自分と患者さんの関係性に置いたレポートになったとしても、そうではなくておこなった手法で認知症状が改善したというレポートになったとしても、ディスカッション上でシナクに触れながら進めることもできるといった意味で、とても有益な発表になると思うとお伝えしました。
まぁ、それをされるかどうかはわかんないですけどね。
ただ、教育場面でしっかりこうした思考法を身につけておくと、将来役に立つと思うのです。
腹側線条体って大切ですね!

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