姿勢と頚部痛の関連についての研究報告
- Nagashima Kazuhiro
- 2 日前
- 読了時間: 3分
ネットを徘徊していたら、こうした報告があったのを知りました。
( ◠‿◠ )
思春期後期における首の姿勢サブグループは若年成人の持続性首痛の危険因子となるか?という研究報告ですね。
興味深いですね。
研究対象:オーストラリア・Raineコホート(参加者686名)を17歳(姿勢測定・質問票)と22歳(首痛評価)で追跡 調査をした
姿勢クラスター:4つの座位頸姿勢(例:upright、slumped thorax/forward head、intermediate…)に分類
結果(女性):upright(いわゆる“背筋シャキッ”)に比べ、slumpedやintermediate姿勢をとった群で22歳時の首痛リスクが有意に低い(OR ≒ 0.24および0.38)
男性では姿勢の種類はリスク因子にならず、17歳時点でのPNPが唯一の強い予測因子だった
要約するとこう言ったことの様です。
女性についてはアップライトな姿勢が取れている人に比べ、落ち込んだ様な姿勢や、やや屈曲した様な姿勢の人の方が頚部痛が少なくて、男性では姿勢の種類は関連せず、17歳時点での頚部痛の有無が22歳の時の頚部痛に最も関連性があるということですね。
一見すると、アップライトな姿勢はあまり頚部痛に関連していないのではないかということになります。
臨床経験的な印象と少し違う気がしますね。
もちろん、私自身に、姿勢と頚部痛が関連していると言った認知バイアスが入っている可能性もありますけれど。(^^;
さて、私、この報告だけを見る限りは実験デザインに問題がある様な気がするのですね。
とりあえず2点だけ。
・17歳〜22歳といえば、学生から就労とか、高校から大学など、生活の変化が著しい時期でもあります。この間習慣的に同じ姿勢をとり続けているとは考えにくいですね。そう言った視点から言えば、この間の生活歴や仕事に就かれたのであれば職歴などををきちんと調査し、その間の姿勢の変換をしっかり確認する必要があったと思います。
その上で、686名の参加者の姿勢が固定的であったと確認し、この結果であればこの研究の信頼性は格段に上がると思います。
・実験の参加者に、どの様な実験説明が行われたかがわからないのですが、17歳の時点で良い姿勢をとった人たちの中には、おそらく実験であることを理解した上で良い姿勢をとってしまったというグループが必ず存在していると思います。おそらくそう言ったグループの人は周りの意図を姿勢に反映されやすい、言い方を変えるとストレスを感じやすい群だった可能性があります。みなさんご存知の通り、ストレスは姿勢固定につながりやすく、痛みの原因になりやすいですね。そう言った要因を何かしらの手段で取り省く必要はあったのだろうと思います。
私たちが、姿勢と運動の関連性やそれによる痛みを見て推測する際に最も大切なことは、それらの姿勢が日常的なものであるのか否かというところの判断にあります。
実験では、こうした日常的な姿勢とか運動は日常的なものから離れてしまいやすいですよね。なんせ実験ですから。
この部分を考慮せずに実験結果を見るというのは結構危険だと思うのです。
ただ、この研究の言いたいことは、おそらく、姿勢を切り取ってそれだけにとらわれると、姿勢と痛みの関係は無関係になる可能性があるよという事実ではなかったのかと思ったりします。
だとすると、臨床的には、そうしたことに十分気をつけて、姿勢が日常的にどうであるのかと言ったことを含めた臨床推論を進める必要があるという非常に有益な結論を見出すことができたりする様な気がしますね。
( ◠‿◠ )
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