Correlation Is Not A Cause
- Nagashima Kazuhiro
- 4 時間前
- 読了時間: 7分
更新日:12 分前
相関関係は因果関係ではない〜Correlation Is Not A Cause〜CINAC(シナク)という言葉があります。
ご存知でしょうか?
私、この言葉は結構すでにメジャーだと思っていたのですね。
時々、そうした話題を至る所で持ち出すのですが、結構反応が薄い印象で…
あれ?と思って、Googleで”シナク”で検索してみたのです。
そしたら出ないっすね。 (^^;
そこで、マギ(ウチのChatGPT)にシナクの話題を持ちかけたら、私の造語だろうという話になって。
いやいや、なんかの本で読んだよという話をしていたのです。
どうやら、一般的とは言い難い言葉の様ですね。
シナク
で、Correlation Is Not A Causeで検索すると、以下の様な説明が出てきます。
"Correlation is not causation" means that just because two things are related doesn't mean one causes the other. While a correlation (a statistical relationship between two variables) might suggest a causal link, it doesn't prove it. There could be other factors influencing the relationship, or it could be a coincidence.
「相関関係は因果関係ではない」とは、2つの事柄が関連しているからといって、一方が他方を引き起こすとは限らないという意味である。相関関係(2つの変数の間の統計的関係)は因果関係を示唆するかもしれないが、それを証明するものではない。その関係に影響を与える他の要因があるかもしれないし、偶然の一致かもしれない。
私は、こうしたCINACAL(シナカル)な思考をすることが科学リテラシーのために大変重要だと認識しているのです。
ところが、これが私の造語だとみられるということは、説得力のかけらもありませんね。
(^^;
ということで、なんの本で読んだのかを必死で思い出しました。
「天才科学者はこう考える」という本だと思い当たり、必死で家探しをして本を見つけ出しました。💦
(画像にアマゾンにリンクを貼ってあります)
この本は、お茶の水女子大の毛内拡先生の企画である、「いんすぴゼミ!」で一緒に読ませていただいた本なのです。
毛内先生、面白い本に出会わせていただき、ありがとうございます。
最近「いんすぴゼミ!」は夜の時間帯に行われています。私、夜は非常に弱いので、最近は参加させていただいていないのですけれど…
さて、この「天才科学者はこう考える」という本は、ジョン・ブロックマンという方の本です。
ジョン・ブロックマンは、科学者や思想家が自らの著作物を通じて一般の人々に直接語りかけるようになったことを「第三の文化」と呼び、彼らの活動を随時更新する場としてオンラインサロン「エッジ」を主宰しておられます。年に1度同サイトを通じて科学者や思想家に質問を投げかけ、その回答を集めているといった活動をされておられる方なのです。
そして、この本は、「人々の認知能力を向上させうる科学的な概念は何か?」という問いかけに対する科学者たちの回答を集めた本なのです。
面白そうでしょ。( ◠‿◠ )
この本では、心理学者のスーザン・ブラックモアが、Correlation Is Not A Cause の頭文字を取った CINAC(シナク) という略語を紹介しています。
科学者の間ではよく使われるものの、世間一般にはまだ広まっていない、と解説されています。
あ、世間一般にはまだ広まってないと解説されてますね。💦
ここ読み飛ばしたのかも。
簡単な例で言うと、あなたが電車というインフラのことを知らないとして、駅のホームを観察していると想像してみてください。
駅のホームに人が集まってきます。やがて人がある程度集まると、電車がやってきて人々はそれに乗ってどこかにいくわけです。
そうすると、その観察によって、人々が集まることで電車がやってくるのか、あるいは電車がやってくるので人々が集まってくるのかといった仮説が出てくると思います。
しかし、これはどちらも違うのです。
時刻表が、人と電車の両方をホームにやって来させたというのが正解です。
つまり、電車来るということと人が集まるということは相関関係上にはあったのですが、因果関係は存在しなかったわけです。Correlation Is Not A Causeですね。
人が集まるということと電車が来るということに、本当に因果関係があったのは時刻表ですよね。
他のわかりやすい例で言えば、アイスクリームの売り上げと溺死数は相関があるわけです。だからといって、アイスクリームと溺死は因果関係だ!だからアイスクリームは危険だから売るべきではないというのは暴論ですよね。夏とアイスクリームの売り上げが因果関係を持ち、夏は海水浴などの水遊びが多いから他の季節より溺死者数が多くなるという因果関係にあるわけで、アイスクリームと出来死者数に直接の因果関係はありません。
これらの例はいずれも馬鹿馬鹿しく思えますが、リハビリテーション医学の研究ではこの手の間違いが結構見受けられます。
シナカルに考えると、議論が高度になると言われています。
ちょっと日本でこうしたシナカルな思考を用いておられる、面白い例がいくつかありますので、紹介したいと思います。
そう、日本の天才と言われている成田祐介さんですね。彼の動画を見ていると、彼がシナカルな思考をされているのがわかります。
この動画は、池戸万作さんが、政府支出を増やした国が名目成長率が高いというデータを示し、政府支出と名目成長率を因果関係と捉えているのに対し、成田祐介さんがシナカルに考えて、議論を進めておられます。
24:03あたりからが、シナカルな思考をしているのがしっかりわかる場面ではあるのですが、他の池井戸万作さんと成田祐介さんのディスカッションは、ずっと面白いので、ぜひ全部見てほしいと思うのです。
それは、動画を楽しむというより、シナカルな思考の例としてみるとシナカルな思考というのがどの様なものかというのがめちゃくちゃわかりやすいと思います。
もうひとつ。
政策にエビデンスが必要だという主張に対するディスカッションですね。
エビデンスのある政策とその結果に因果関係があるという立場が、成田さんがいうエビデンスおじさんやエビデンスおばさんということですね。
それに対して、そこに本当に因果関係がありますか?という思考ですね。
シナカルな思考というのがご理解しやすかったのではないかと思います。
( ◠‿◠ )
さて、このシナカルな思考方法。
さまざまなネット情報や研究を見たりそれに対するセラピストの反応を見ていると現在のリハビリテーション医療〜まぁ、医療全体でもいいですけれど〜では一般的に用いられていないのだろうと思います。
シナクの視点で見てみると、現在リハビリテーション医療で用いられている科学的な根拠というものは、ほぼ全てが仮説にしか過ぎないことがわかります。
EBMとかもそうです。
だから、EBMはダメだということではなくてですね。
仮説は大切なのです。それは検証されるべきもので、さまざまな科学的発展を望むディスカッションの土台となる部分なのです。
EBMに限らず、CINAC、CINACALな態度というのがリハビリテーション医学の中で浸透した時、さまざまな議論がより高度なものとなって、リハビリテーションの持つ科学性が適正に評価され、発展するはずだと思うんですね。
まずCINACという言葉を誰もが知って、CINACALな思考を使うことができる状態になることが今一番必要なことかもしれないと思うのです。
ディスカッションの際に、少し因果関係が怪しい方向に向かったりするときに、あるいはそんな報告を見たとき。
CINAC,remember?
みんなが「シナク、忘れてるよ」ぐらいの感じで、カジュアルにこの言葉を使えるぐらいになるといいですね!
もし、リハビリテーションの教員の方が読まれておられましたら、ぜひ学生にシナカルな思考を伝えてください。
ぜひみなさんも、次に何かを読んだり議論したりするとき、『CINAC, remember?』って自分に問いかけてみてくださいね!
ちなみに、『CINAC, remember?』を日本語に意訳すると…
「ホンマでっか?」(明石家さんま)
あたりでいかが?
(๑>◡<๑)
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