ホワイトノイズとリハビリテーション
- Nagashima Kazuhiro
- 7月29日
- 読了時間: 3分
今、CPのお子さんがご利用くださっています。
早産児のお子さんは、外的環境を受け取る感覚受容器がまだ未熟な状態で産まれてこられるので、様々な感覚に対して過敏性を示されることがあります。
今ご利用中のお子さんは、聴覚過敏があるみたいなんですね。
そこで、最近よく見るホワイトノイズマシンを利用してみてはどうかと思ったのですね。
ということで。
ホワイトノイズって何?
(*^_^*)
ホワイトノイズとは、すべての周波数の音が同じ強さで含まれている音のことです。
つまり、人間が聞き取れる音の周波数(約20Hz~20,000Hz)のすべてが一様に混ざっている音だそうです。
例えば、人の話し声は300~3,000Hz、車の音は100~1,000Hz、キーボードの音は2,000~5,000Hzとされており、ホワイトノイズはこれらの音の周波数全てに被さってくるように干渉するのだとか。その事によって、雑音を知覚されにくくする働きがありそうですね。
そうした事による注意とか集中力の向上というのは推測できますが、ちょっと面白い論文がありました。
特定の条件下でホワイトノイズが注意力や認知パフォーマンスを改善することを示すための論文なのですが、どうやらこの研究ではホワイトノイズが神経系に確率共鳴という作用を引き起こしているらしいのですね。
確率共鳴〜弱い正弦波の信号は、それ単体ではニューロンの発火閾値を超えないため発火が起こらないのですが、そこにノイズが加わると、同じ信号が閾値を超えてニューロンが発火するようになる現象だそうです。
この作用で、ノイズが「信号+雑音」の合成入力としてニューロンを活性化させているという事になるようですね。

視床で中継される感覚情報をホワイトノイズが底上げしている可能性がありますね。とすれば、覚醒の状態にも関わるのかもしれません。
人では、この確率共鳴という作用が、触覚・聴覚・視覚などで確認されているそうです。
さらにホワイトノイズは中脳ドーパミン系にも影響を与えているようです。中脳によるドーパミン系の反応は、トニック放出(持続的で一定のドーパミン分泌によって基礎状態を作る)とファジック放出(外部刺激で短時間に増加するドーパミン)なものとあるそうですが、ホワイトノイズは低トニック状態の脳においてファジック放出が過剰になりやすい反応を適度にする調節に関わっているようです。
ホワイトノイズの持つ揺らぎが、恐らく脳の聴覚的な予測値からずれたり合わさったりすることがこうしたドーパミン系のファジック放出を調節するのかもしれないとは思ったりします。
こうしたことで、ホワイトノイズが認知機能や学習に関わっている可能性があるという事なのですね。
ただ、これはADHD群では効果が見られた物の、通常群では寧ろパフォーマンスを低下させるとのことでした。
考えてみれば、通常群はドーパミン系による調節が上手くいっている人達な訳ですから、そこにホワイトノイズが介入すれば、適切な状態から逸脱してしまうということも考えられますね。
ということで、CPのお子さんと頭部外傷で注意が転動しやすい方の2症例に使ってみたのです。
CPのお子さんは、ちょっと情動を安定させることも考えて「胎児音」を利用し、頭部外傷の方には「ホワイトノイズ」を使用してみたのです。
いずれもセラピーに集中しやすい印象ではありました。
まだ、そんなに使っていないので明らかではありませんし、これでリハビリの効果は上がりやすくなるであろうとは思うのですが、別にそれを研究報告したいわけではないので現場の観察として今後も継続的に試していこうと思っています。
(*^_^*)
で、使ったホワイトノイズマシンの音をyoutubeにアップしたので貼り付けておきますね!
コメント