脳卒中杖歩行の注意点!
- Nagashima Kazuhiro
- 9月7日
- 読了時間: 5分
更新日:9月8日
先日、月1回ペースでご利用中の脳卒中発症後10年の経過を持つ左片麻痺の方から連絡がありました。
転んだり打ったりしたわけではないけれど、月曜日ぐらいに右手の肘の前の方が痛くなって、火曜日には内出血していたそうです。金曜日に病院に行く前にみて欲しいとのことで、対応させていただきました。
色々お話を伺ったり、実際に触れてみたりしてどうやら、橈側手根屈筋がなにかしらの損傷をした様子。
ここからは推論になりますが、杖にかなり依存した歩行をされる方ですので、慢性的な筋疲労状態から部分断裂などのなにかしらの筋損傷を起こしてしまったのだろうと思うのです。
取りあえず、浮腫を軽減させて発痛物質を少しだけ散らすように介入をさせていただき、極力手を心臓より上に上げる機会を増やして浮腫が強くなりすぎないようにと言うことと、痛みは身体が、その部分は余り動かして欲しくないというサインですから、痛み止めなどで痛みが軽減したとしても余り無理して動かさないようにということ、経時的に痛み止めなどを利用しなくても痛みが軽減してくると思うので、その時から少しずつ使う量を増やすようにと言った助言をさせていただきました。
その後、病院に行かれて痛み止めを処方されたようです。
急性期や回復期では経験できないことですが、杖に過剰に依存して歩行をするという事はこういったリスクも存在するのだという事を改めて感じました。
病院だと、歩行機能の回復がおおきな目標になりますので、歩き方はともかく歩ければ良いと言った風潮も在ったりします。しかし、長い将来を考えたときに、杖を利用するにしても出来るかぎり杖に依存しない歩行を将来的に獲得するために、今何をすべきかという事を考えて行く必要がありそうだなと感じたことと、こうした自費リハビリにおいても杖に依存しない、出来れば杖が無い状態で歩行が可能であるという状態を獲得していくのはとても重要だと再認識させていただきました。
この方に貴重な経験をさせていただいたので、今後も確り歩行機能に介入をさせていただきますね。
(*^_^*)
杖をお使いの方は、腕や手に過剰な負担がかかっていないか、ときどき振り返ってみてくださいね!!
さて、損傷が起きてから5日目と思われる手の状態です。

広範に浮腫が起きていますね。手先までパンパンです。皮膚は動きが無い状態でした。熱感はないので、ある程度野路関係かがあったことが解ります。何やら筋の走行にそった印象の内出血がありますね。5日経過しているので、最初に合った内出血の位置が変わっている可能性が在ります。
損傷後、組織修復のために炎症が起きます。そのため腫脹が起きるのですが、炎症が弱くなっても体液が残存して浮腫と言われるような状況が残ってきます。
浮腫が強すぎたり、長期化するとかえって循環を妨げて組織修復が遅れることになります。
ですので、手を心臓より高めにしたりして浮腫を軽減させるのですが、今回は徒手的に浮腫を減らしていきました。
肘の内側にあるリンパ節を刺激した後、セラピストの手の体重もあまりかけない様に皮膚に触れていくと、皮膚の下でゆっくりとした動きを感じることが出来ます。
それは、恐らく浅筋膜の動きで、浅筋膜と触れている皮膚に滑りのような動きを作ることが出来ているはずです。
その際に原繊維の微小空間に存在する微小リンパ管が刺激を受けて間質液の流れを良くしていきます。
要は軽く触れているだけです。(*^_^*)
そうしたアプローチをおこなった結果がこの状態。

解りにくいですね。ちょっと並べてみます。

如何でしょうか?左がビフォーで右がアフターです。
幾分すっきりした感じがしますね。
どうぞ皆さんそう思って見てください。(^_^;
手のあたりなんてどうでしょう?(しつこい?(^_^;)
触れた印象はパンパンになっていて皮膚も動かない状態だったのですが、アプローチ後は皮膚の動きが結構出るようになっていました。
ご本人も手が軽くなったのが解ると仰ってました。(*^_^*)
後で、病院に行ってエコーで血腫のあるところを教えてもらったそうです。
後からいただいた画像です。赤丸の所に血腫があったようです。


橈側手根屈筋の解剖図です。
このケースはほぼ橈側手根屈筋の損傷と考えて良さそうに思います。
さて、最初の方に書きましたが、長期的に杖を使用することが必要だと予測される場合であっても、杖への依存を減らすためにどうするのかということはセラピストと当事者で共有する課題として行くことは必要だろうと思うのですね。
そのために、私たちが出来ることとしては様々な姿勢での麻痺側下肢の感覚情報入力や、感覚情報から身体図式化をお手伝いすることがとても大切だと思うのです。
この方は、回復期病院から日赤に外来で来られることになったとき、装具を外して立位になっていただいたとき、恐怖の余り青ざめられていたので装具を外して立ったことはないのかをお尋ねしたところ、一度も無いと仰ってました。
そうした時期に、実用的には装具を使用するにしてもリハビリテーションの中で装具を外して、足底から感覚を入力し、下肢を感じていただくようなアプローチも重要だったのかも知れないですね。 現在は監視下であれば装具を外して杖なしで僅かな距離を歩けるようにはなられていますが、改善スピードより身体負荷スピードが早かったということなのかも知れません。
手のことが落ち着いたら、再度確り歩行機能を考えていこうと思います。



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