Treadmill Aftereffect
- Nagashima Kazuhiro
- 12 分前
- 読了時間: 4分
トレッドミル アフターエフェクトってご存じでしょうか?
私、最近フィットネスクラブに通い始めたのです。
自費リハビリを起業してから、運動量が激減して心肺機能が落ちてしまったので、その調整目的です。(ダイエットを含む(^_^;)
で、マシントレーニングとトレッドミルをしているのですが、トレッドミルで歩いた後にちょっと酔う感じがするんです。車酔いとかの感じ。
一番近いのは、USJとかで、ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーとかに乗っているときに来る感じですね。
画像にUSJのリンクを張ってあります。
で、何でだろうとしばらく考えていたのです。
最初考えたのは、前庭系の混乱です。
トレッドミル上では歩行をしているにもかかわらず、前庭系が前方への加速感を検知しないため、停止した際に、前庭系が逆の補正~通常で在れば前方の加速の期待があったぶんだけ停止した際に後方への補正が加わって、視覚や身体は静止しているという情報を脳にフィードバックしているのに、前庭系だけ後方に移動しているという情報を流すために脳が混乱して酔うのではないかと考えたわけです。

ところがですね。(^_^;
トレッドミルを終えて、酔いを落ち着けるためにトレッドミル上でとどまっていると・・・
先に書いた仮説では、恐らく後方に進む感覚が生じるはずなんですね。
ところが、前に進む感じがするのです。
何度やっても。
おかしいと思って色々考えたのです。
そして、現在の結論は・・・
恐らく、歩行しているにもかかわらず、前方の風景が変わらないという事に対して、歩いていないと前方に追いつけない世界、つまり世界が常に前方に移動し続けているという誤学習が起きてしまって、静止しても前方に移動し続ける感覚が生じているのだろうと推測したのです。
それを脳科学的に考えると、視覚情報は変化がない/歩行を行っているという二つの条件が側頭頭頂連合野に入力されている必要があります。
歩行については、恐らくトレッドミルという課題においては中脳歩行誘発野の興奮で、CPGが駆動されているのですね。
この歩行をしなさいと言う情報のエファレンスコピーが側頭頭頂連合野に送られる必要がありますね。

前頭葉皮質の出力が歩行誘発野に送られているので、そのエファレンスコピーが側頭頭頂連合野に送られているであろうことは容易に推測が出来るのではあります。
しかし、歩行が継続した場合、皮質の働きは下がって、CPGの働きが歩行運動のおおきな役割を果たしているはずなのです。
となると、CPGからのフィードバックが皮質に起きていないと、「トレッドミルを終えた後に静止すると前方に進む感覚が生じる」という事に関する学習が起きにくいことになります。
ということは、おそらくCPGからのフィードバックシステムがあるはずですよね。
ということで調べました。
在りました。
(*^_^*)

この図は高草木薫先生からいただいた資料を基にしたものです。
先生の図は綺麗なのですが、そのまま出すのは気が引けるので、ちょっとだけ改変してあります。
蛇足ですが、高草木先生であったとしても、科学者の仰ることを鵜呑みにすると言うこと自体は科学的な態度とは言えません。回路的なお話ですから、回路をキチンと調べると言ったことが大切なのですが、ここではまぁ正しいだろうという立場で話を進めますね。
皆さん、どうぞご自身で調べてみてくださいね。(^_^;
さて、この図に依れば、骨格筋からのフィードバックと、CPGからのフィードバックが、小脳、脳幹を介して皮質領域に投射されていることが図示してありますね。
これらの条件がそろっているので、私が「トレッドミルを終えた後に静止すると前方に進む感覚が生じる」という現象に対する、
「恐らく、歩行しているにもかかわらず、前方の風景が変わらないという事に対して、歩いていないと前方に追いつけない世界、つまり世界が常に前方に移動し続けているという誤学習が起きてしまって、静止しても前方に移動し続ける感覚が生じているのだろう」
という仮説は回路的には説明が可能であるという事になります。
さて、トレッドミル。
様々な歩行の研究やリハビリテーションの手段として用いられているのですが、これらの仮説がある程度正当性があるとするのであれば、現実の歩行とは脳の情報処理が異なるということが言えそうですよね。
ですので、研究結果を読み解く時であるとか、リハビリテーションの手段として用いる場合においても、通常の歩行とは異なる情報処理をしているということを頭の隅に置いておく必要がありそうです。
(*^_^*)





コメント