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人の歩行における神経システムの特徴

執筆者の写真: Nagashima KazuhiroNagashima Kazuhiro

更新日:2024年7月31日

7月27日、7月28日とボバース研究会学術大会に参加してきました。

お目当ては、紀伊先生と高草木先生のご講演です。


ここでは、高草木先生のお話を少しだけ書いてみようと思いますね。

今回のお話もとても楽しめました。

最初の導入はいつもの様に簡単な脳の進化の過程からお話をされておられました。

脳の進化を見ていくと結局前頭葉が大きくなったというのは、頭頂葉、側頭葉、頭頂側頭連合野などに入力され情報処理された情報が前頭葉に送られることで前頭葉から強力な皮質網様体路への出力が起きて身体が抗重力性を獲得していることを考えると、加齢によって前頭葉機能が弱くなると人の姿勢は重力に抗しきれなくなるのだろうといったことを指摘されておられました。


私の感覚ではフレイルというと、心身機能の低下と定義されている訳ですが、一般には身体機能の低下に注目が集まるところかと思うのですが、脳の情報処理システムから前頭葉を結びつけて、結果的に心と言われる情報処理システムと身体機能を結びつけているあたり、さすがに高草木先生だと最初っから面白がっておりました。

そうすると、いつもなにかに面白がっている人は年を取っても姿勢が崩れにくいのかも知れませんね。面白がってたらドーパミンもでるし。

(^^)


その後、ダイレクトに脳の回路網の話に入っていかずに、脳の広範囲投射のお話が結構最初に出てきた記憶があります。この話は後にきちんとつながってました。




あ、そうそう、人間の大脳は前頭葉が発達していて、猫は前頭葉が小さいのですが、脳幹のサイズはそこまで変わらないそうです。面白いですね。


新しい情報としては、基底核の脳幹出力について、脚橋被蓋核、上丘などへの出力は知っていたのですが、他にも出力先があったよう(前庭核ではなかったかなぁ)な図がでていて、結構脳幹にも広範に出力を送っていたようです。一部送られていないところ(・・・縫線核では無かったかと思うのですけれど)もあることが解っているようで、そこからも姿勢調節のことを話しておられました。

しかしながら、今回の講義、資料が配付されていないので私の記憶ですので、検証するには、いつかこの講義の動画を見て再度確認する必要があります。


ドーパミンは学習に関わっている伝達物質のひとつですが、特に行為の習慣化(基底核ループの働きですね)に関わっていて、リハビリテーションの大きな目標のひとつだろうというお話もされてました。

学習に関わるのはドーパミンだけではないのです。出過ぎれば出過ぎたで恐らく様々な問題を起こすことでしょう。そうすると調整系としてのセロトニンであるとか、認知機能の素速いアップデートのためのアセチルコリン系に対するGABAの働きなど、様々な伝達物質が必用なのではありますが。

ただ、ドーパミンが習慣化に必用であるというのは間違いが無いことのようです。

そうすると、回路網だけの知識では、脳の学習〜ヘブ則による脳の可塑性は起きない、若しくは学習が起きにくいと云うことになるように思います。

つまり、学習には広範囲投射系も大切な働きを持っているのですね。

そして、Ach−GABA関連、あるいは、ドーパミン−セロトニン関連などの調節作用/相互作用などがそれらを支えていることになります。


この広範囲投射系・・・脳梗塞や脳出血で,当然損傷します。

何が放出されていて、何が放出されないのかなどを臨床観察から推測し、どの様な刺激や課題でその調整を適正なものに近づけて学習/習慣化に働きかけるのかという事を考えて行く必要がありそうに思った講演でした。


高草木先生は、以前から立位、歩行というのは高次脳機能であるという事をよく仰られるように思います。立位とか歩行というのは多重感覚入力による身体図式の生成と身体制御、環境情報の中で自動的、情動的、随意的なシステムを適切に切り替えて駆動していく。また、それに記憶やワーキングメモリーなどを駆使しつつ、転倒を避け、目的を遂行していく。それらの全体的なシステムとして捉えると、歩行というのはかなり高度な情報処理を基盤として使用しているので、高次脳機能といっても差し支えないと私も考えています。






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