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運動器6単位問題

更新日:2023年12月1日

ちょっとしたニュースが流れています。



リンクが切れるかも知れないので、ちょっと書いてあることを抜き出しておきます。


中医協が、運動器リハビリテーション料に関して、「6単位超のリハビリは効果が上がっていない」との支払い側の指摘に対して、「そもそもFIMのみの評価で運動器の実績評価はできない」とし、FIMから算出された「6単位超のリハでは効果が上がっていない」という結果だけで判断することはできないと反論されたそうです。


何度かこのブログでも指摘してきましたが、FIMなどの評価は効果判定に使うために様々な要素を削っています。オッカムの剃刀ですね。

例えば、日常生活の下位項目の動作にどれだけ努力をしているのかとかそういった事もですね。

病院などで患者さん達は、回復をしたいという希望を持ってリハビリテーションを受けられるわけです。

ただ、障害像がわかりにくいため、どの様になれば回復と呼べるのかと言った事に対してはニーズは漠然としています。元に戻りたいとかですね。

FIMなどのADL項目は、回復の目安にはなります。だけど、それは目安以上の意味は無いのです。

たとえば、服の着脱を考えてみますね。

手の骨折で手関節や手指の可動制限が在りながらも、ボタンを留めたり外したりしながら服が着れる様になったりはするわけですが、それは、ちょっとした痛みに耐えたり、努力を要したりしている場合も少なくないでしょう。場合によっては、一生懸命ボタンを留める手の形を作るために、代償的な動きが肩に出現して肩も痛くなっているかも知れませんが、患者さん自身は手の骨折なので、肩は関係ないと思い込んでおられたりする場合も有るでしょう。

そんな中、服が着れる様になったのは回復しているのですといった言い方も出来るかも知れませんが、ここには論理の飛躍もしくは論点をずらしている事になります。

患者さんは、以前の様に楽に服の脱ぎ着がしたいわけで、努力すれば脱ぎ着ができるような状態で満足はできないわけです。


FIMに、各種の動作が楽か否かなんて数値化できる要素はないですよね。

だけど、それが回復だと言われ、患者さんは一生懸命努力して動作をしたりするわけです。

繰り返せば良くなる程度の障害であれば、それでもいいのですけれどね。そうすると、FIMの点数は上がっていくことになります。しかし、良くならない人もおられるわけです。むしろそういった人の方がリハビリテーションの対象となっていると行っても良いでしょう。(個人的見解です)

そういった人達も含め、FIMの点数は上がるわけです。


ほんの一部ではありますが、FIMがすべての動作能力を反映した検査項目になり得ないという事にはなるでしょう。


それにもかかわらず、FIM利得などを容認し、病院の評価を上げるためにFIMの改善を目標にするわけです。

FIM以外のことをしようとしたら、○○はADLを見ていないなどと批判する様なセラピストも出てくる始末です。

あ、個人的な経験ですので、こういったセラピストだけでは無いとは思います。

そういったセラピストもおられたという話ですね。


ただ、そのセラピストが悪いというわけでは無いのだと思います。

そういった支払い側の要求に応えるという事を仕事だと思っておられたか、そういった支払い側の論理に立った様々な発表や研究を真に受けた結果です。

悪い人がいるとすれば、そういった研究や発表をしている方ですよね。

とくにFIM利得をつくった人間と、それに関わる研究でリハビリテーションを計ろうとしていた人達。

ここでも、悪いと言っているわけではないですよ。悪い人がいたとすればというお話です。


ただですねぇ。

支払い側がそういった要求をしてきていて、施設側もそういった事に答えて収入を増やそうとする。そういった構図の中、FIMを挙げなければならないというルールができあがることになります。

そういった事しか見ないセラピストが以前より増えてきてはいる気がするのですね。

そんな中、こういった指摘をおこなったとしても・・・といった気はするのです。

長いことFIM利得が使われていたので、入職した時にFIM利得のために仕事をしたセラピストはもう中堅になっているのです。

そういった人達が若手を指導しているわけですよね。


今更ねぇ、こういったことを云っても・・・。と思ったりするのですよ。

こんな指摘をするなら、FIM利得が導入された直後にしなければならなかったと思うのです。

ちょっと考えればわかることですから、私より頭の良い医師の先生方であれば、とっくに気付いておられる方も多かったはずなのです。


こんなFIM利得みたいなのを放置しっぱなしにしておくからこんな事になるんだわね。

と、私は思ってしまったりします。

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