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抗重力伸展活動

更新日:2023年11月29日

リハビリテーションの用語のなかに「抗重力伸展活動」という言葉があります。

解剖学的な「伸展」とは違って、重力に対して離れるように動く伸展の動きです。

例えば、立っている状態で脊柱の伸展をイメージすると身体をブリッジさせる~例えば荒川静香さんのイナバウアーを見てみます。


美しいですね。氷上で滑りながら足を広げて身体を反らせておられます。

イナバウアーというのは足を前後に開き、つま先を180度開いて滑る技だそうです。ですから体幹はこのわざとは関係なさそうですけれど、この体幹の伸展は凄いですね。それとその状態でバランスを維持されておられることもものすごい。

この状態が脊柱の抗重力伸展活動かと言えば、それは違うと思います。この脊柱の伸展活動は直立位と比較すると重心を従重力方向に持って行っているように見えますよね。

ですから、抗重力伸展活動とは少し言いにくそうです。(充分に抗重力性はあるのですけれど、あくまで脊柱の動きに視点を当てたときのことです。)


カパンジー先生の「生体力学の世界」という本があります。

カパンジー先生は解剖学と機能を結びつけた視点で沢山の本を書かれておられる先生です。もうお亡くなりになってますが、最後に執筆されたのが「生体力学の世界」という本だったと記憶しています。


私は普段、抗重力伸展活動を説明するときに橋網様体脊髄路/延髄網様体脊髄路とかコアスタビリティーのローカルシステム/グローバルシステムといった言葉を使うのですが、この本では(私にとって)ちょっと違った視点で図解してありました。ちょっと面白かったので少しだけ紹介しますね。



この図では、Aの方が頭部が高い位置にありますね。ですので、AがBより抗重力伸展活動が起きていると考えられます。

Aの図を見てみると、股関節伸展位ですから立位で足部を床につけているものと思われます。そこから構築された安定性をハムストリングス(黄色の矢印)と臀筋群が骨盤を前方に倒れるのを防いでいるように見えますね。

で、その骨盤についている脊柱の伸筋群(緑の矢印)が脊柱を伸展側に引っ張りつけています。

腹筋群(オレンジの矢印)は骨盤が後ろに回転するのを助けつつ、さらに上部体幹が後方に行き過ぎないようにしています。

これで、Aは頭部が高い位置に維持できています。


こうして、骨盤帯から下部体幹でおおきな安定性をつくってその安定性は上部胸郭に伝わっていくのです。


で、骨盤帯から構築された安定性が脊柱に対してマストを張るような張力をつくるようです。

一方その安定性が上部胸郭に伝わると肩甲帯から逆に脊柱を引き上げるような張力をつくる様子がうかがえるように思います。

テンセグリティ構造ですね。

こういった構造的な背景も神経学的な回路網を支えているといったように見えます。

ん?

逆も言えますね。神経学的な回路網がこの構造を利用しているとも考えられますね。

多分、神経系は構造特徴とその構造からの感覚入力によって最も効率よく動くことが出来るように学習していくので、神経学的な事象と身体構造的な事柄を分けて考えることは無理がありそうです。

一緒にして考えて行くにはもっともっと沢山のことを知る必要がありそうですね!


(*^_^*)




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