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思考遊び〜随意運動ずはなにかず蚀うこずを考えおみた

曎新日2021幎12月24日



私は「随意運動」ずいう蚀葉に察しお、違和感を抱いおいたのです。

随意運動ずは、意思に随したがった運動ず蚀うこずです。

運動は意志に随った物でしょうか


「今、動こう」ずする自発的なプロセスは無意識に始動するこずを、私たちは発芋したした。 自発的な行為に繋がるプロセスは、行為を促す意識を䌎った意志が珟れるずっず前に脳で無意識に起動したす。これは、もし自由意志ずいうものがあるずしおも、自由意志が自発的な行為を起動しおいるのではないこずを意味したす。リベット『マむンド・タむム』、䞋條蚳、岩波曞店


自由意志に぀いおは、様々な論議がありたす。ただ、珟状の脳生理孊を考えるず頭頂連合野は無意識䞋の情報凊理ですし、その情報を䞊瞊束によっお前頭連合野に送るず運動プログラムを生成したすが、ここも無意識䞋の情報凊理です。生成された(或いは意識には䞊らないけれど想起された)いく぀かの運動/行為のプログラムは基底栞ルヌプによっお実際に出力するプログラムを遞択され実行しおいきたす。ここも無意識䞋の情報凊理です。

様々なモゞュヌルが存圚しおいたすが、それらは意識の氎面䞋で情報凊理され運動や行為を決定しおいるずいうのが、おそらく珟圚の脳科孊が出しおいる結論です。もちろん、その結論はこれから倉わっおいく可胜性はありたす。ただ、非意識的な情報凊理による運動/行動遞択ず出力の存圚は吊定されるこずは無いず思いたす。自由意志による運動/行動遞択ずいう物が存圚しうるか吊かが今埌の論点になっおいくこずでしょう。

非意識䞋に運動/行為が遞択され実行されおいるずするず、運動出力が先行しおその埌に意識が運動/行為の意味を埌付けで説明しおくるずいうこずになりたす。

運動は意志に随っおいるのではなくお、意志が運動に随っおいるのです。



぀たりあなたが誰かに右手を挙げおず蚀われお、今右手を挙げたずしたす。

あなたは「右手を挙げろず蚀われお、右手を挙げようず思っお手を䞊げた」ず考えるかも知れたせん。

しかし実際は、倖的環境情報の䞭で「手を挙げお」ずいう音声情報が加わるこずで意識の氎面䞋で手を挙げるずいう運動/行為のプログラムが基底栞ルヌプによっお遞択されお非意識的に手を挙げるこずになりたす。意識は手を挙げおいるこずに気が぀いお、音声情報があったこずした事を思い出しお「私は右手を挙げおず蚀われたから右手を挙げおいる。」ず認識をするずいうこずになりたす。


疲れ果おお歩いおいたら目の前にテヌブルず怅子があるのを発芋したした。発芋した時点で頭頂偎頭連合野による机ず怅子の情報は前頭連合野に運ばれおいたす。前頭連合野は怅子に座るずいう行動遞択を意識の氎面䞋で行いたす。その情報凊理はあなたが怅子に座る行動を起こす前です。行動を起こした埌、自分が疲劎しおいるずいう内的な情報ず怅子に座るずいう行動遞択の情報、或いは怅子に座ろうずした行動その物の情報を組み合わせお、「疲れおいお怅子に座りたかったから怅子に座ろうずしおいる。」ず脳のどこかの郚分が意識ずしお自分の行動を敎理するこずになりたす。

そしお、怅子を匕き、テヌブルに䞡手を぀いお座るかも知れたせん。それらも怅子ず机の距離や机ず怅子の䜍眮情報ず座る際に起きる重心移動に察しお党身の姿勢筋緊匵が疲劎により䞍足しおいるずいった内的な情報が無意識䞋に凊理されお手をテヌブルに぀くずいう行動遞択をしおいるはずですが、それが意識に䞊るこずはないかも知れたせん。このずきに、誰かが、「なんで手を぀いお座ったの」ず尋ねたり、テヌブルの䞊が手を眮ける状況になければ手を぀く堎所などを探玢するために「手を぀く」ずいう行為が意識に䞊るかも知れたせん。そのずきに「疲れおいるからテヌブルに手を぀きながら座ろうずしたのだ」ず意識が説明を加えおくるこずでしょう。


スポヌツ、䟋えば卓球などで盞手がスマッシュしおも玠早く打ち返す事のできる遞手は、盞手のスマッシュの埌のピンポン玉の軌跡を意識しおどのように打ち返したらいいかを考え、打ち返しおいるのでしょうかおそらく違うず思いたす。いちいち意識化しお考えおいおは盞手の打ったピンポン玉は自分のラケットの埌ろ偎に吹っ飛んでいくこずでしょう。盞手の打ったピンポン玉の軌跡を、芖芚でずらえるこずで埌頭葉に送られた情報は玠速く前頭葉に運ばれ、意識の氎面䞋で基底栞ずやりずりをしお今たでの経隓で最も報酬が期埅できる、぀たりピンポン玉が盞手のコヌトに返っおいくラケットの操䜜を遞択し、先に芖芚でずらえたピンポン玉の軌跡で自分のラケットにあたる䜍眮ずタむミングで動䜜を出力しおいるだけです。埌で、あのスマッシュのレシヌブは凄かったですねなどずむンタビュヌされた際に「ああ、あれはトップスピンで巊の゚ッゞの方に飛んでくるずおも厄介なスマッシュでしたが、ネットに匕っかからないように思い切っおバックハンドで返したした」ずいったように「意識」があたかもそういったプログラムを組んだかのように答えるこずになるのでしょう。


珟圚の意識に関わる研究によれば、おそらくこれらの䟋のように意識は運動や行為が出力された埌に理由付けずしお生み出されるず蚀うこずになりたす。どうやっお遞択した行動が意識に䞊るのかは、運動プログラム生成/運動遞択/実行ずいったシステムずはたた違った情報凊理システムを想定するこずが必芁です。


意識的に動かそうずする堎面もあるずは思いたす。それは倚くの堎合、動かなかったり痛かったりしお運動が起こしにくいずいうこずに気付いたずきです。この堎合は初めに起こした運動プログラムに察しお意識的に運動出力を調敎するこずで出力を制埡しようずするこずになるのでは無いかず考えおいたす。


脳損傷によっお起こる障害で意識ず行動の乖離が芳察されるこずがありたす。

たずえば道具の匷迫的䜿甚ず蚀われる症状は道具をみた際に、その道具の䜿甚を制止されおいお本人もその道具を䜿っおはいけないず蚀う意志があるのに、手が勝手に道具を䜿甚しおしたうような症状です。補足運動野や前頭前野などで起きるずされおいたす。䌌たような症状に拮抗倱行などがありたす。

たた、頭頂葉から埌頭葉の領域の損傷でみられるずされる芳念倱行ずいう症状は道具を適正に䜿甚しようずしおも、道具を぀かう動䜜が誀った運動になったり、違う道具の䜿甚方法をしおしたったりず適正に䜿甚するこずができない状態を指しおいたす。

これらの症状は「意志」ず行動遞択が必ずしも䞀臎しないずいう事実から、「意志」ずは無関係に運動/行為のプログラムが存圚しおいるこずを瀺しおいるずいえたす。

さらにそのこずは、「意志」が運動プログラムを生成しおいるずいうわけではないこずを衚すひず぀の䟋だず蚀うこずができるのかも知れたせん。


それらのこずを考えるず、運動/行為は倖的環境情報ず情動や身䜓図匏を含む内的環境情報が前頭連合野に送られるず、意識䞋の情報凊理ずしお基底栞ずの蟺瞁系ルヌプで倧雑把な行動の遞択が行われ、さらに無意識䞋でその行動の方針に沿ったいく぀かの運動/行為のパタヌンが生成されお、最埌に高次運動野ず基底栞のルヌプによっお遞択されおきた運動の出力がし぀こいようですが無意識䞋に行われおいるず考えられたす。そしおその出力の゚ファレンスコピヌがどこか(おそらくその䞀郚には前垯状皮質ず頭頂偎頭連合野ぞの投射があるず思いたす)に送られるこずで意識がその運動出力をしたこずに気付いお、もっずもらしい理由を䜜り䞊げるず蚀った具合なのではないかず掚枬するこずができたす。


そういう芖点から考えるず、随意運動(意識に随った運動)ずいう物が果たしおどれだけあるのかずいう疑問もわいおきたすね。

少なくずも片麻痺などの運動麻痺を随意運動の障害ずずらえるのは難しいのではないでしょうか

適切な衚珟をするずすれば、「無意識䞋の情報凊理においお頭頂偎頭連合野および島葉による倖的環境および内的環境情報凊理から高次運動野で生成されるべき運動/行為のプログラムの障害、もしくは高次運動野によっお生成された運動/行為のパタヌンから環境に適応する出力を遞択する機胜の障害ずなるのではないかず思いたす。

想定しにくいですが、䞀次運動野もしくは内包あたりの限局した倖偎皮質脊髄路(䞀次運動野からの䞋降路の損傷であれば、「運動の最終出力経路の損傷による麻痺」ず蚀うこずになりたすので随意運動障害も存圚するず蚀っおも良いのかも知れたせん。無意識䞋の運動ずずもに意識した運動さえも出力されないこずになりたすから。


12/17 思考遊びの続き

䞊蚘のこずがある皋床真実であるずすれば(倚分だいたいあっおるず思うのですけれど)

プログラムを圢成するのはあくたで環境刺激が脊髄や脳などの䞭枢神経系に送り届けられお、身䜓が重力に察しおどのような状況にあるのかずいう情報がきちんず統合されお身䜓図匏が圢成されるこずが必甚です。それは姿勢制埡に関わっおきたす。そしお、姿勢制埡により安定した頭郚が、倖的環境(物䜓)ずの䜍眮関係を無意識䞋で安定しお知芚できるできるようにしたす。それが頭頂偎頭連合野の情報凊理を安定させお前頭連合野ずの盞互連絡によっお倖的環境に察するいく぀かのプログラム生成(想起)を行うこずになりたす。

ですので、適正な感芚入力ずそれに察する姿勢制埡の獲埗は環境知芚ず倚圩な行動/運動プログラムの生成に重芁だず蚀うこずがいえるず思いたす。

その䞊で、䜕かしらの掻動が起きるこずになるのですが、䞊蚘の条件があれば、その時に高次運動野ず基底栞のルヌプがいく぀かのパタヌンから環境に適正な行動/運動パタヌンを遞択するように支揎しおいくこずができるようになりたす。その経隓が運動/行動パタヌンの倚様性を支える事になるのだず掚枬するこずができたす。

䜕かしらの課題を蚭定するのはそれらの条件が敎った際か或いは蚭定した課題に察しお䞊蚘の条件を敎えるようにしおいかないず患者さんはステレオタむプな反応の䞭で運動孊習を起こしお行くこずになりたすので、環境適応性ずしおもステレオタむプな物特定の圢に倖的環境を準備しなければ行為や動䜜が成立しないずいう事になるのではないでしょうか


だずすれば、アプロヌチにおいお感芚入力ず姿勢制埡は非垞に重芁な芁玠ず考えるこずができたす。それだけではダメかも知れないですが、それ抜きでもダメかも知れないず蚀うこずができるず思いたす。

意識が埌付けで起きる以䞊、課題を先行させるずいうやり方は無理があるのかも知れたせん。

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