top of page

いんすぴゼミ_12月20日

更新日:2021年12月21日


今回からは非意識から意識への選択的プロセスを探ろうという話になってきます。

読み始める前に、毛内先生が今までの話の流れをかいつまんで話されるのですが、それがとても解りやすいです。

要点を整理できるので、次の話題に頭がついて行きやすい感じです。

「中核意識と延長意識。延長意識の方は人間らしいところで、将来の計画を立てたりする。しかし、そもそも意識があるのかというのが問題で、ほとんどが無意識的に起こる処理なんだけど、最後に意識が出てきてあたかも自分が全部計画したかのように振る舞う。」


さて、話は左片麻痺の特徴である左半側無視の話題から。

この本で紹介されているのは、今リハビリテーションで言われている左半側無視の見方がどのように観察されて分析された結果で有るのかという点で非常に興味深い話でした。新しい発見もいくつか。

例えば、左無視の方の網膜に左からだけ刺激を入れると反応できるけれど、左右から刺激が入ると左の刺激が消えてしまうとのことで、確かに臨床的にもそうなのですが、視覚症状に対する半球間抑制作用というのは想像していたより強い物なのかもしれないと思います。

また、分離脳の実験から左から入力された刺激は無意識下の識別には(ある程度)役立っている物の、意識化できないという特徴が有ると言うことも指摘されています。紹介してある実験は右視野に鶏の足をみせ、左視野に雪景色をみせた後、多くのカードから絵を選択してもらうと、鶏とスコップのカードを選ばれたそうです。なぜそのカードを選んだかと尋ねると、「だって鶏の足ですから、スコップは鶏の小屋の掃除に必要です。」と言ったようなことを答えたとか。おそらく右視野に視覚入力された情報は左脳で処理され言語化されて意識に上って鶏の話を出しますが、左視野の雪景色の刺激からスコップを選んだ様子であるにもかかわらず、雪景色の情報は意識に上ることのないままスコップの絵を手にするという選択(動作)を決定しているようです。そして、左視野に入れられた雪景色の情報は右脳が持っていますが右脳の情報を知らない左脳はつじつまを合わせるために、鶏の小屋の掃除のためという目的を勝手に作り上げるわけです。しかも、本人は話を作り上げていることに気付いてはいないのです。興味深い実験と分析ですよね。

延長意識というのはやはり左脳の前帯状皮質-前頭連合野が大きく関わっているのでしょうか?


人間とはなにかという本には半側無視の決定的な問題点として左側を無視してしまうと言う症状ではなく、「本当に奇妙な点は別にある。本人は何もおかしいと思っていないのだ!彼らは自分の問題を意識していない。」

確かに。最も奇妙なのはそこですね。よく病識という言葉を私たちは使うのですがそれがないのです。

左空間を認識するというのは、無意識下の注意:ボトムアップで行われている場面(おそらく左の体性感覚の情報処理や、網膜に入る左空間の情報など)と意識下で脳によって操作され注意:ボトムダウンの注意(能動的に注意を配分していく)ものがあります。

本を読む毛内先生のお話を聞いていてふと思うことがありました。

多分ですが、ボトムダウンの注意というのはある程度ボトムアップの情報に左右されているのではないかと言う気がします。そして、外的環境情報と内的環境情報を上手く統合している(ボトムアップ)のは右脳で身体図式や外環境に配置されている物の位置の情報などを無意識下で情報処理して行うべき適応行動を選択したり実行したりするとすれば、その情報を左脳が受け取ると情報処理によって論理性を生み出して何のために何をしているといった意味づけを行っているのかも知れないですね。

あ、自分の発想が二元論的です。(^^;

飛躍のしすぎでしょうか?飛躍には注意が必要ですね。

左右脳の役割の違いは間違いなくあるので、まだまだ研究が進むのを待つことが必要なのかもしれないですね。


ボトムアップの注意は両側の半球がそれぞれ行っているけれど、トップダウンの注意は左半球がというお話が少しでていました。おそらくボトムアップも左右独立している物の、左右の情報は結局右脳に集約されて身体図式や外的環境情報として統合されて再び左右に情報を投射し、右脳は主に感覚情報の処理をして左脳が理由付けやボトムダウンの注意の配分を決めることで全体として行動の統制を取っているのかも知れないですね。


あ!ちょっと違う話だけど、Body SchemaとBody Imageってスキーマが右脳でイメージが左脳なのかも。スキーマは無意識下の情報で、イメージは意識下の情報と分類できますからね。しかも意識は無意識下の情報の後に出現することを考えれば、ベースとなるのはBody Schemaということになったりしませんか?

それって、面白くないですかっ?

例えばアプローチの際にコマンドをもちいるべきか感覚入力をもちいるべきかとか考えるときに、情報と知っておくと変化を推論しやすそうな気がします。


話を戻します。

この本によれば左右の脳の情報処理の違いを調べるため、当時難治性癲癇などの治療のために行われた脳梁切断術の人たちを詳細に検証したようです。

本の中では、右脳は左脳と比較して問題解決能力が乏しく高次な認識能力に欠けているといったような表現があるように思いますが、ちょっとそこは違和感がありました。先ほども少し書きましたが、左脳の意識的な認知を支えているのはベースとなる身体図式とその身体を中心とした無意識下の外的環境知覚システムだと思うのです。ですので、私の感覚では右脳の無意識下での高度な知覚統合システムが左脳の高次の認識システムを支えているのでは無いかと・・・どちらも高度な処理をしているというイメージなので、左脳が高度で右脳がそうでもないといったイメージの表現はちょっと違和感を感じたのです。もちろん、この先でお話が進むとその違和感も解消されてくるのではあろうと思うのですけれど。


次回は、分離脳でなぜ意識が二つ生じないのか?

意識が二つ生じてもおかしくないですよね。なぜなんでしょうね。なんとなくこの話の推移はちょっと想像できますけれど。だけどめっちゃ楽しみ。


(図は高草木先生の資料からです。)

閲覧数:49回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page