科学とは何か

更新日:7月16日



以前、SNSでいろいろディスカッションをしていた時に、EBMのことについてちゃんと理解されていないようだと指摘を受けたことがありました。その際に勉強会を紹介されて実際に幾許かのお金をはらってZOOMの勉強会に参加させていただいたことがあります。

結局私の中で研修会の中で彼らの語っているEBMというものはやはりよく解らなかったのですけれど…(^^;

科学的根拠に基づいた医療という言葉は理解できます。これは大切だと思っています。

しかし、科学というのは絶対的に正しいものではないと考えているのです。

その研修会の終了時に質疑応答で、若いセラピストから「これだけ科学的根拠が必要だと言われる時代に、◯◯療法とか名前のついたやり方をされるセラピストがまだおられるのはなぜでしょう?」といった質問があって、講師は「なぜだかは理解できないけれど、EBMに沿っていない治療法をすると今後訴えられる時代になると思う。」といったような返事をされたと記憶しています。

これはおかしな話で、科学的と言われるものが正しいことのみを示すことが困難なのであれば、科学的根拠に基づいたところで、いろいろな矛盾が生じてくるはずなのです。極端な言い回しをすれば、「EBMも真実ではない」もしくは「科学で◯◯法を否定する根拠は無い」ので、訴えられることがあるとすれば筋違いです。

ただ、そういった事が争点となった訴訟が以前にありました。

大野病院事件などは、「科学的根拠に乏しい」という考え方が暴走したいい例でしょう。

ご存じない方のために少しだけ説明をしますと、事件はエビデンスにない胎盤剥離の手法を使って訴えられた物ですが、出血を抑える一つの方法として医師が選択しうる手法であったため、各地の医大が「こんなことで訴えられると医師を守る事ができない」と判断して、産科医を医大に戻したために地域で産科医が減って産科医療が崩壊するというストーリーでした。さすがに医大はしっかりしていますね。筋が通っていないことが罷り通るのであれば医療は提供できないとしっかり社会に伝えているように見えます。

詳しくはネットにいろいろ載っていますので興味があれば調べてみてください。

産科医療を一時的にでも崩壊させてしまった訴訟でした。まぁ、この件で罪深いのは、この医療訴訟を起こすことになった、EBMで無ければまともな医療ではないといった風潮と、この医療訴訟を起こしたご家族以外の人達であろうとは思うのですけれど。


リハビリテーションの世界でも、科学的根拠と言われるものによる弊害はいろいろありますよね。生死に関わらないので訴訟にまで発展することはありませんが、たとえば、炎症に対してクーリングを用いていた時代のセラピストは、現在の知識では患者さんの回復を阻害していたか、もしくはより悪くしていたということになります。早期離床が無闇に叫ばれていた時期のBADの患者さんなど、損傷をより大きくしていた可能性もあるというか、絶対に悪くなった方がおられるはずです。


科学には表せることと表すことができないことがあるのです。

トランスサイエンスという言葉があります。

この言葉は、「科学が問うことはできても、科学では答えることのできない問題」を指す概念です。

リハビリテーションの対象である人は個々にDNAや文化的背景、個人的な運動発達、趣味や職歴などによって様々な軟部組織の状況や運動機能の違いなどが見られます。

その人の何かしらの損傷やその回復、活動や動きはまさにこの領域の問題を扱っているということになります。

リハビリテーション医学・医療においては、本来、科学だけでは答えることのできない事柄や科学が取り扱うべき問題ではない事柄まで、科学のフレームで回収しようとしているのが、現在のEBMと言われるものなのではないかという疑念が今でも拭いきれません。

EBMの研修会の際に、「現在の脳卒中などの科学的根拠のメジャーとしてFIMがよく使用されていますが、FIMの改善が脳卒中の回復そのものを示しているというデータ、もしくは論文があれば教えていただきたいです。」とお聞きしたのですが、その時はお答えをいただくことができませんでした。

私の感覚では、リハビリテーションによって脳機能が回復をすれば何かしら日常生活動作の改善は起こりますが、日常生活動作の改善は必ずしもリハビリテーションによる脳機能の回復であるとは言い切れないものです。

私は、この手法を用いればこうなる確率が高いことを統計が示しているといった方法論ではなく、少しでも良くなっていただくことができるためには、どの様な事柄をどの様に捉えていくのかと言ったことを考えながらアプローチを行う方が医療的なリハビリテーションの持つ可能性を広げていくものと信じています。

科学とは真実を教えてくれるものではなくて、おそらく科学とは真実を探し求める姿勢そのものなのです。

ジョージア大学の地質学の教授がWhat is science?(科学とは何か?)ということを話されておられたようです。その中にこのような文章が入っていました。

It means that science does not presently, and probably never can, give statements of absolute eternal truth.

(それは、科学が現在、そしておそらく決して「絶対的な永遠の真実の陳述」を与えることができないことを意味します。)

リハビリテーションを取り巻く「科学」は、現在では医療経済と結びつきリハビリテーションにおけるEBMを作り出しています。

科学と医療経済が強く結びついてしまっているのが現在のリハビリテーション医療で言われている科学であって、そういった視点から言えば、さらにサイエンスの枠組みから外れてトランスサイエンス〜科学の領域を超えた枠組みに入ってきていると言えます。

この時代だからこそ、トランスサイエンスの枠組みの中に存在している業種であることを自覚し、科学の持つ不確実性に目を向けて思考をしていく必要がありますよね。( ◠‿◠ )

個人的にもっと学ばなければならないと感じていることの一つです。

リハビリテーションに関わる教育機関でも、「科学とは何か?」といった事を学生に教えていく必要があるのではないかと思ったりもします。

まぁ、リハビリテーションだけではなくて医療全般に…

あれ、もしかしてもう行われている???


最後ですが、科学の不確実性についてちょっと読みやすいサイトを見つけたのでリンクを貼らせていただいておきますね。気候変動についてです。


「温暖化への懐疑≠陰謀論。科学の不確実性を知る」という、本の書評記事です。







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