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執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

多数派同調性バイアス



多数派同調バイアス(majority synching bias)とは、どのように行動してよいか迷ったときに周囲の人と同じ行動を取ることが安全と判断する心理傾向のことだそうです。


「多くの人がそう考えたり行動したりするのであれば、それが正しいのだろう」と判断するような行動選択ですね。

認知バイアスですから、至る所でこういった傾向を見ることができます。


最近では、文春−松本人志の報道や人々の反応が興味深いものでした。

最初、文春が松本人志の記事を最初に出した時、世論は松本人志に対してかなりネガティブなものであったことは記憶に新しいと思います。

もし、文春が書いたとおりであれば、まぁ、許されないことなのでしょう・・・いや、どうかな。私個人が許すとか許さないという判断が出来ることではないですね。あくまで当事者同士の問題ですから、許すとか許さないの判断は当事者が行うものなのでしょう。

それに松本人志さんを責めるのであれば、まず、この情報の真偽を確かめるのが先であるはずです。その上で、個人的になにかしらの影響があるのかどうかを判断することになります。それが出来ないのであれば、判断を保留するのが通常でしょう。

そして、現在はどちらかというと文春に逆風が吹いている感じなのでしょうか。

それもおかしいのです。

まず、今まで松本人志さんが悪いと言って騒いでいた世論は、なぜ変わったのでしょうか?

悪いと言って大騒ぎをしていたことに対する責任はないのでしょうか?

そして文春は、面白おかしく記事を書いて、その雑誌を売ることで生活をしているわけです。それを真に受けていること自体もやはりおかしいと思うのですね。


現実に何が起こったのかなどと云う事実は、関係者しか解らないことなのです。いや、脳生理学的に言えば、現実はそれぞれの脳が脳の中で起きている情報処理の中で生成されているものですから、事実がひとつであっても人の数だけの現実があるのです。そうすると、当人同士であっても異なった現実を見ているのであって、それをすりあわせていく作業がなければ共通認識としての現実というものは関係者同士であってもつくることが出来ないはずなのです。


そういった事柄に対して、なぜ、世論と言われる一定の認識とそれによる行動が起きてしまうのでしょうか?

文春や、それをめぐる報道によって形成された、実際に見たわけでも経験したわけでもないけれど、共通認識の様に取り扱われる様になる「仮想現実」によって多くの人達の意見が誘導されてしまっていると言っても良さそうですよね。

報道は大多数の意見の様に見えてしまう側面がありますからね。

おそらく、多数派同調性バイアスが強く働いていたのだと思うのです。


「多くの人が松本人志が悪いことをしたと言っているから、それが正しい。」

「多くの人が文春がおかしいと言っているから、悪いのは文春だ。」

そこでよってたかって悪者を叩く正義の味方が生まれるのですが、そこには、事実もなければ、事実によって生成されるはずの現実さえもありません。


ほかにも、ネット上、たとえばyoutubeでの炎上なども同じです。

最近は車椅子の女性が炎上していましたね。

確かに、あぁ、仕方ないなぁと言う様なところもある様には思いますが、まぁ、みんなでよってたかって騒ぐ様なことでも無いかと思うのですよ。

食品関連のバカッターと言われる動画はやはりやり過ぎだと思いますので、適正な処罰が行われなければならないとは思いますが・・・。適正な処罰が行われない場合は、その適正な処罰が行われていないという事に対して声を上げることは必用かも知れませんけれど。

ただ、お祭りの様に大騒ぎをするのではなくて、一つ一つ、議論していく必要がありそうな気もします。

それをしないで、ただただ自分は正義だと信じて一方的にだれかを袋だたきにする様な言葉の暴力を用いるのは多数派同調バイアスといって良いのだろうと思うのです。


ところで、科学においても。

医療分野でもこういった多数派同調バイアスはあったりします。

医学そのものは、トランスサイエンスと言われる、科学で問うことは出来ても科学では答えることの出来ない分野のひとつだと考える事が出来ます。

しかし、その時代に在る科学的根拠というわれるものを正しいものとして取り扱うこともよく起こるのですね。

ですから、一つ一つ検討すべき事はたくさん有るのでは有りますが、みんながこうしているって云われているからそれが正しいと信じて治療に当たる人も多いと思うのですね。


脳卒中リハビリテーションで言えば、たとえば、ブルンストロームステージの評価を用いる様なこともそうです。ブルンストロームステージは、ブルンストローム先生が提唱していた治療手技や概念を用いる際にひとつの指標として用いるものです。ですから、脳損傷の運動の質を表すためのものではないのですけれど、一般的に用いられていますよね。あれって、みんな正しいと思ってやってんのかなぁと思っているのですが、もし、正しいと思って用いているのであれば、それはやはり、みんなやっているから正しいというバイアスが入っていると思うのですね。

一時期にあった脳卒中の超早期リハビリテーション,早期離床などもやはりそうだと思うのです。現在は個々の状態に合わせて離床のタイミングやリハビリテーションのあり方を考えて行く様に変わってきているとは思いますけれど。

現在も検討すべき事は数多く有ります。


「みんながやっているから正しい」とか。

そんなのは幻想です。

情報に触れたら、出来る範囲でその情報の真偽を検討することが必要です。

真偽がわからなければ保留することも良いと思います。


その為には情報や知識を身につけようとする習慣が結構大事だと思ったりするのです。


そして、もうひとつ気を付けなければならないことがあります。

多数派同調バイアスが生じる場合、それを誘導されているケースもあるという事です。

文春の記事で松本人志さんがとても悪い人であると言った様な判断に誘導される場合は、メディアバイアスと云います。

一定の不確かな情報を、さも正しい情報として用いるのを、information Control〜情報操作と呼びます。


自分が多数派同調性バイアスによる判断をしてしまっていると感じた際には、そのバイアスを作り出している人や団体が在ることの可能性を考慮し、それらが何の意図でそのバイアスを生じさせる様にしているのかと言った事を知ろうとすることも大切な事だと思うのです。








ところで、興味深いドラマ、リーガルハイなど如何ですか?

(*^_^*)






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