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足部と立ち上がりの姿勢制御

更新日:2021年5月26日

先日来られたかたです。

1回/月のペースで私のところを利用されておられます。


前回から今回までの間に意識のことや小児の発達、アキレス腱の解剖学的な特徴などの勉強をさせていただきました。

その中で感じたのは、立ち上がりの動作というのは、それを意識的(随意的)に行うためには他の様々な姿勢や動作の自由度を制限して立ち上がる事を選択する事が出来る状態が「意識的(随意的)に立ち上がれることなのだという風に考えられると言うことです。そして、そういった立ち上がり以外の姿勢や動作の抑制が出来ると言うことが効率的な立ち上がりにつながるのでは無いかと思います。

言い方を変えると、効率の良い立ち上がりのためには立ち上がり以外の姿勢と動作のバリエーションがたくさん無いといけないと言うことになります。

姿勢や動作のバリエーションは様々な関節の自由度と、そこから入力される多彩な外的環境情報、内的環境情報によって支えられています。


今回は、足部に注目してアプローチを展開しました。

左片麻痺のかたです。動画の最初の立ち上がりを観ていただくと、左側関節の動きがかなり乏しいことがうかがえます。立ち上がりや着座で左前足部に荷重がかかるとかかとが浮いてしまいます。立ち上がり時に左前足部に荷重がかかった際に左足が重心の前方-上方移動を阻害して後-下方に重心を持って行こうとする働きになってしまうようです。そのため、立ち上がりの準備として右足関節を背屈する準備が起こって、右前方に行きよい良く一気に体重移動をすることで立ち上がりを可能にしているようです。だから立ち上がった際に左に荷重はあまりかかっていなくて左膝はガクガクと不安定な挙動を見せています。この状態で外乱が入力されればバランスを崩しやすいものと思います。

これらの事象を改善させようと思って、足関節の可動性を確保-下腿や足底の軟部組織の状態を改善して足関節の動きと荷重や足底での重心位置などの感覚情報が入りやすい状況を準備する-それを利用する事で足部の変化に伴った姿勢制御と運動制御をできるだけ多彩に経験する-立ち上がりで両足を使う経験につなげるといったセラピーの計画を考えました。

結果は見ていただけると、足部の適応性が増していて、それに応じた姿勢制御でゆっくり立ち座りや着座が可能となっているのがわかっていただけるのではないでしょうか。

特に着材の際の制御は、椅子の位置や高さが思ったものと違った際、或いはコマで動く椅子などへの着座には必須の姿勢制御だと思います。

この後、左下肢の支持性は上がっているので歩行なども結構楽だった様子です。狭い事業所の中をくるくる歩いておられました。

(普段指導をいただいている諸先生方からは、まだまだ不十分、もっと効率の良い方法があるという声も上がるかもしれませんが・・・)

歩行時の動画はつけていませんが、足部の改善が歩行中左下肢を後ろに残すことを可能にしたようで、つま先が離れてからの背屈が出やすい場面が多くなっていました。同時に左下肢を後方に残さず降り出す際に骨盤から引き上げて左下肢を出そうとするとちょっと前足部が下がり気味になります。これは後方に残った下肢の前足部への荷重感覚の移動がCPGを刺激していたら背屈に切り替わりやすいというCPGの働きが垣間見えるセラピーの結果だったのでは無いかと考えています。


動画は本人の承諾を得ております。

また、動画内容はかなりはしょっています。事業自体暇なので90分ぐらいかけたアプローチの中から2分30秒の時間を抽出していますので。





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