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バランスと身体図式

更新日:2023年6月1日


現在、「セラピースペースながしま」をご利用中の左片麻痺の方です。歩行能力としては、杖、装具なしで自立されておられますが、左下肢への荷重が乏しくて、左膝はロック気味。ちょっと、ケンケンじみたステップです。対照的なステップをタッタッタッタッと表現するのであれば、タタッータタッといったリズムですね。

で、歩行中に左上肢の屈筋群に痙性と言われる高緊張状態が起こっています。同時に、良い方の右上肢はバランスが悪いところを歩く際に見られるような緊張、肩を少しすくめて、肩関節は少し外転、肘の伸展位での同時収縮、手指は強く広げておられて、力一杯じゃんけんのパーを作るような姿勢を取ってしまいます。

歩行中は、右手も意図的にリラックスさせることは困難です。


ご本人は、左上下肢のこともですが、右上肢のこともずいぶん気にされておられるのです。


根本的にはバランスが悪いと言うことになりますが、その原因として、大きく影響を与えているのは何かと言うことを考えると、やはり左下肢の身体図式、無意識下に左足がどのような位置で、どのように体重がかかっているのかとか、どのように身体を支えているのかと言った情報がちゃんと知覚されていないので、左足を信用しきれない感じに見えるのですね。

これは、筋力とか可動域の問題が強いのではありません。まぁ、関連はしていますが、身体図式に関わる脳の情報処理の問題なのです。

筋力を強化したとしても、このパターンが変わることは考えにくいですね。


リハビリテーションの目標として、歩行スピードや歩行距離を考えた場合、このままでどんどん歩いていただくという選択肢もありますが、ここは保険医療下のリハビリテーションを行っているわけでは無いので、スピードとか距離は目標にはなりますが、結果的に改善すれば良い要素として捉えました。

ということで一番の目標は、下肢に関わる身体図式の改善と言うことになります。

ですので、リハビリの流れとしては、下肢の軟部組織の状態を整えて、要素的な感覚が入りやすい状態を作ること。その状態で、体幹機能を保証して骨盤の安定性を高めること~骨盤が非対称であったりぐらぐらだと、下肢の動きの感覚はわかりにくくなっちゃいますから。

その上で、下肢の運動が様々な姿勢で起こることで、脳への感覚情報の変化がフィードバックされて脳がその感覚を情報処理のシステム(例えば、頭頂側頭連合野ー基底核ループなど)が情報処理して意味ある感覚を抽出して下肢の身体図式を形成し、ほかのパーツの身体図式と結びつける事に成功することなどを、組み込んでいくことを考えています。


今回は、バランスボードを利用して、強力に左下肢の感覚を入れようと考えてみました。

動画はそのシーンですね。私は、左手指を広げて、ボバーステーブルに手をついて置きつつ、肘を安定させて左上肢からの感覚フィードバックが体幹の安定性の感覚につながるように操作をしています。

手をつくことで、腹部前面のトーンを上げ、左腰部の過緊張と骨盤帯のリトラクションによる左膝のロックを外して左下肢本来のアライメントで荷重が起こるように配慮してみているところです。写真では見えてないけれど。(^_^;)


結果的に、歩行中、右手の力が抜けたことをご本人は感じられたようで、良い感じだとお話をされておられました。

(*´▽`*)


感覚入力は、課題を本人の能力を超えたところで行おうとすると、難しそうだとか、恐怖とか不安などと言われる辺縁系からの情報でかえって緊張が強くなって、多彩な感覚入力が起きない姿勢~固まって動きに乏しい姿勢を取ってしまったりされます。

だけど、できるだけ多彩で多様、豊富な感覚情報を脳に送り届ける必要があるので、対象者さんによってちょうど良いところを探すというのが大切なのでしょうね。

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