鼻のリンパネットワークの研究なのです。
先日、いつもお世話になっている先生がSNSでアップされておられたので、知りました。
原文はこちらです。
脳の代謝活動で副産物として生成される老廃物は、脳脊髄液を介して排出されるそうです。
この研究では、脳内の廃棄物の蓄積が適正に排出されないと、神経細胞の損傷を起こし、認知機能障害、認知症、その他の神経変性脳障害につながる可能性が在るとし、脳で一日に生成される約500ミリリットルの脳脊髄液が排出されるルートとして知られているくも膜下空間と頭蓋外リンパの繋がりは正確に特定できていないとして、研究を進め、鼻咽頭リンパ叢が
頚部深層のリンパ叢につながっており、脳脊髄液の排出を行っていることを突き止めたようです。
まだ動物実験の様ではありますが、おそらく人でも同じようなシステムが存在しているものと思います。
と言うことになると、鼻咽頭リンパ叢から深頚部にあるリンパ叢への流れなので、臨床的には頚部のリンパ叢の働きが充分でなければ、鼻咽頭リンパ叢がいくら脳脊髄液を流そうとしても出口で止められるという事になりますよね。
そうすると、頚部周囲の軟部組織の状態というのはとっても大切なものであるという事になりますでしょう。
頭頸部の姿勢制御や運動制御というのが脳脊髄液の排出に重要で在る可能性が出てくると思うのです。
脳損傷による姿勢制御障害は頭頸部の制御に大きく関わっていることを考えれば、姿勢制御障害が頭頸部の姿勢、運動制御に影響を与えて頭頸部周囲に高緊張状態をつくると脳脊髄液の排出が抑えられ、脳の可塑性に関わる神経外環境の悪化を招きかねないという事になる様な気がしますよね。
脳の研究は神経回路網から徐々に脳の神経細胞外成分や広範囲投射系の研究へ比重が大きくなりつつある様に見えます。
たぶん、脳に関わるリハビリテーションは次のステージに入っていくことが出来るのかも知れないですよね。
以前から、神経回路網だけでは説明がつかない症状やその悪化、改善をたくさん観てきているので、神経回路網だけから説明しようとする脳の機能は限界に近づきつつあるのだろうとは思っていたのです。
脳が疲労を示す様なサインを出している際に運動学習を要求することが正しいのかとか、頭頸部が安定しないのにどんどん座位などに持って行く様なアプローチが本当に長期的な予後を改善するのかとか、脳損傷直後で破壊された脳神経細胞内成分が神経外環境に放出されていることが推測される様な時期に様々な運動機能の促通や認知機能の検査などでさらに脳の代謝を求めていくとどの様になるのかとか、様々な疑問があったわけですが、これから少しずつそういった事に対する答えが紐解かれていく事になるのだろうと思うのです。
今後の脳損傷に対するリハビリテーションがより適正なものになるために、それらの疑問が解決されることを期待しているのです。
(*^_^*)
Commenti