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先日、有るニュースが話題になっていました。

そのニュースはこちら

https://news.yahoo.co.jp/articles/45d64ea2a80a6c22923d11cd4796bb77adf24c8c


簡単に紹介するとある病院のセラピストが、定められている時間アプローチをしないまま単位を請求したのがわかって、処分を受けたというニュースです。


私たちの保険医療体制下での仕事は、保険点数という物で算定されています。例外はありますが、1点10円計算の価格のような物です。

昔は簡単/複雑の二系統だけでしたが、現在は細分化されています。

とはいえ、原則は20分を1単位として、1単位あたりの価格を症状別に分けている感じだと思って下さい。

例えば脳血管疾患等リハビリテーション料は1単位あたり245点。つまり2450円の料金が発生します。健康保険では3割負担ですから、7割を健康保険が病院に支払い、残りの3割を個人が支払う感じです。


少し計算してみます。

Aさんに1日PT/OT/STで6単位をしていたとします。 現在、365リハがおこなれている場合、1ヶ月に30日実施したとしたら、リハビリに関しては180単位の料金が発生することになります。

180単位は金額にすれば441,000円になります。健康保険が7割の308,700円を出してくれます。個人の負担は3割の132,300円となります。

保険自体は、働いておられる皆さんが払っておられる保険料からまかなわれているので、国民皆保険制度が成り立っているわけです。


だけど、この保険制度無理があると思いませんか?

一つは財源の問題。少子高齢化が進む現在、医療保険の財源は減少傾向が予測されています。とくに2030年以降は労働力人口が減少すると言われていますので、あと10年ぐらいで

かなり厳しいことになるのでは無いかと思っています。医療保険制度の収入のところが減るわけです。同時に支出のところを考えると、高度な機器を使う医療は高額になってきており、医療保険財源からの支出は増加傾向と言えます。この制度の維持って大変そうですよね。制度維持のために一番簡単な方法は保険点数を見直して低く設定していけばいいわけです。リハビリもどんどん点数が下がってきている部門の一つです。


もう一つは自浄作用が働かないこと。

汗水たらして患者さんのことを一生懸命考えて行う20分も、患者さんを平行棒で歩かせてみているだけの20分も同じ1単位です。

経営側から見ればセラピスト一人あたりから得られる収入が減少してきているのですが、セラピストに対する人件費/給料は出さないといけないわけです。稼いで欲しいですよね。

経営としては一生懸命考えているセラピストも考えずに行っているセラピストも変わりないですから、点数を稼いだセラピストが一生懸命働いているセラピストという判断になります。馬鹿馬鹿しいですよね。一生懸命やるのって。

スマートに適当に時間をかけずに効率よく単位数を増やした方が、経営側に認められると言うことですね。これでは自浄作用は働きません。

その延長線上に今回のニュースのような事案が出てきているように思います。

上にリンクを張ったニュースに色々なコメントがあるので読んでみて下さい。

「有ってはいけないことだ」という正論もあります。同時に「どこでもある事だ」という話も出ています。

興味がわいて、「リハビリ 不正」で検索してみたらいくつか同じような話を見つけることが出来ました。やはり現行の保険医療体制の中で自浄作用は働いていないと言っても良いでしょう。


もちろんしっかりやっている病院やセラピストも多いのですよ。

かつて話を聞いた他の病院のリハビリテーション科の部長は、「うちは14単位/日までしかさせません。キチンと見てもらいます。」と話をされていました。その病院ではカルテを係長や部長が確認し、良くなっていないようだと指導に入るようなシステムを持っていてとてもしっかりしていた印象があります。こういうところでは自浄作用が働いてスタッフは伸びていくのでは無いかと思います。

また、違う病院のリハビリテーション科のトップは「うちは20単位以上させています」と収入を自慢されていました。ここはどうなんでしょうね。どうなったかは知りませんが。

経営的には後者のトップが望ましい姿なのでしょうね。


さて、保険医療制度は財政的な無理があると書きました。収支が逆転しそうな勢いなんですね。だけど、医療保険点数を下げることで対応してきていますし、今後もそれは続くことでしょう。

リハビリテーション医療は必要な医療であるものの、点数を天秤にかけると命を守ったり後遺症を残りにくくするための医療の点数を維持しつつ全体の点数を下げるとすれば、今後下がり続ける部門であると予想できます。今までもそうでしたし。

とすると病院としては人件費の方がリハビリの収入を上回ってしまうと言う時代は必ず来ます。今、かろうじて採算部門であったとしてもいずれ不採算部門になります。

そのとき、リハビリテーションはどうなっていくのでしょうか?


考えれば考えるほど馬鹿馬鹿しくなってもしかたないですね。一生懸命やるのって。

だけど、そんな馬鹿なことを一生懸命やっているセラピストもいます。

私は厭になって保険医療体制から逃げ出した人間ですからお手伝いをしたくても出来ないですけれど。

だから、この記事は、病院や施設で一生懸命患者を診ようとするような馬鹿なことをしているセラピストたちへのエールです。


今、一生懸命、患者さんから学んだことや研修や講習会に出て学んだ知識、技術。それを研鑽し続けることは絶対に後に生きてきます。

リハビリテーション科が不採算部門になったときでも、あそこのリハビリがあるからあそこの病院に行きたいと地域の人から選ばれるようになれば、経営もリハビリテーションを無視は出来ないでしょう。

もし、混合診療が導入されるようなことになれば、今、苦労して学んで身につけた技術は必ず選ばれるセラピストとして生き残る術となります。


地域に出て起業するという手法もあるかもしれません。

この地域でそういったやり方のリハビリが定着すれば今病院で不満を抱えているセラピストたちと患者さんたちの一つの選択肢になるかと思ってはいるのですが、起業しても大丈夫という基盤は私がこれから頑張ってみます。



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