脳の基本的な構造と働き

更新日:5月25日


脳は、左右の大脳半球から作られています。左右で少し違うけれど、大雑把なところでは左右が同じ構造をしています。

視覚連合野や聴覚連合野は視床を介して多くの感覚情報を受け取り処理しています。

頭頂連合野は主に体性感覚と視覚の処理に関わり、身体/空間知覚、感覚、運動変換に重要な働きを持っていて、運動関連領域野と数多くの並列ネットワークを構築しています。(このことを考えると、単純に運動は前頭葉で頭頂葉は体性感覚、後頭葉が視覚と分けるわけにはならないといえそうです。)

中心溝の前にある、高次運動野、一次運動野は脳幹/脊髄を介して身体各部位の筋群に出力を送りますが、同時に視床を介して小脳や基底核と閉ループを形成していて運動機能の高次処理に関わっています。

側頭連合野は、色/形/言語などの認知情報を処理して運動関連領野と結合し、高次運動機能に関わっています。


で、これらの部分が情報のやりとりを模式図にまとめると以下のようになります。

例えば、喫茶店で珈琲を頼んだとしましょう。きれいなスタッフが持ってきてくれて心がそちらに奪われると情報処理の流れが少し変わってきますが、とりあえず珈琲がテーブルの上に置かれました。ウエイターの足音「お待たせしました」という声や珈琲の香り、テーブルに珈琲の入ったカップを置く音でそちらを見るわけです。



コーヒーカップがテーブルに置かれるカチャカチャした音で、テーブル上のカップの位置/方向に関わる情報が聴覚連合野で抽出されて頭頂連合野に送られると、頭頂連合野-運動前野ネットワーク(特に前頭眼野)で眼球運動に変換され眼球をコーヒーカップの方に向けます。能動的にコーヒーカップに注意を向けていると言うことが出来ますね。この情報を伝えているのは上縦束(SLF-1)です。


ちなみに、例えば本を読みながらコーヒーが来るのを待っていて、ウエイターの足音やカップを置く音、周辺視野に入るウエイターの姿で珈琲が運ばれてきたと感じる(気づく)のは、受動的な注意です。これにはSLF3が主に関わっていると思ってください。


網膜上で捉えられたコーヒーカップの像は、視覚連合野に送られます。高次視覚野でカップの空間での位置や方向の情報は頭頂連合野へ送られ、色や大きさ、形の情報は側頭連合野に送られます。

一方、上肢の姿勢や位置情報は、体性感覚野で処理された後、頭頂連合野で関節の角度や手先の位置情報に変換されます。3野-1野-2野-5野-7野の感覚情報の流れですね。

その上で、聴覚や視覚の情報によるコーヒーカップの位置情報と体性感覚による手先の位置情報が頭頂連合野で統合されます。

統合された情報は、頭頂連合野-運動前野(前頭連合野)ネットワークで手先からコーヒーカップの目標ベクトルが計算されます。

そして、運動前野-一次運動野ネットワークでコーヒーカップに向かう上肢到達運動が生成されて運動指令が脳幹-脊髄に送られます。

この際、運動前野からの脳幹網様体への投射と、一次運動野から延髄網様体への投射があって、上肢の動きに関わる重心移動に対する姿勢制御が網様体脊髄路によって成立します。

同時に、頭頂連合野-側頭連合野-運動前野の連携でカップの形や大きさ、取っ手のサイズなどから把持するための手指の形状が決められカップに指先が到達するまでの運動中に準備されます(プレシェイピング)。

じゃあ、コーヒーカップに触れるというか、取っ手をつまむところまで出来ました。その次には、コーヒーカップを持ち上げて安定させないといけません。そのためには、体幹や肩-肘の安定性をつくるとともに、各指の把持力が適切に設定される必要があります。また、手先をカップまで持って行くときの軌道やコーヒーの入ったカップをこぼさずに口元まで運ぶための手先の姿勢パターンや軌道なども制御する必要があります。この処理には運動前野-小脳のネットワークが重要な役割を担っています。


さて、生成された手先の運動パターンは身体各部の運動に変換されないといけません。脳の運動系は手先の軌道-関節角度-筋活動といった変換を運動前野-一次運動野-小脳(-脳幹)のネットワークで並列分散的に解いています。(逐次プロセスではありません)

コーヒーカップを口元に運ぶといった動作では、上肢、手先、手指、体幹、頭部といった力学的サブシステムが協調して働いてないとうまくいきません。

特に注意が必要なのは、このとき運動や軌道の目標となるのはコーヒーカップです。手ではありません。そのためにはコーヒーカップを自分の手や腕と同様に身体の座標系に組み込んでしまう必要があります。おそらく、これを実現するのは小脳を中心としたネットワークではないかと思っています。そして、これらの熟練においては頭頂連合野-運動前野のネットワークが関与している物と思われます。


基底核や小脳の働きについてはまたいずれ・・・


この文章はほぼ「身体運動の制御と適応」という本を参照しました。引用と言ってもいいかもしれません。いい本です。4500円(税抜き)


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