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存在を否定された悪魔〜Laplace


前回の記事で悪魔の証明のことについて書きました。

しばらくたって、一人存在を否定されている悪魔がいることを思い出しました。

その悪魔の名前はラプラスと呼ばれています。


ラプラスの悪魔とは、18世紀の数学者/物理学者であるピエール=シモン・ラプラス(Pierre-Simon Laplace)が提唱した考えです。

「もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。」

この存在がラプラスの悪魔と呼ばれるようになったのです。

歴史的には、ニュートン力学によって様々な自然現象が説明できるようになったのですね。そのなかで、因果律(原因によって結果は一義的に導かれる)や決定論(すべての出来事はそれ以前の出来事のみによって決定される)などの考え方が広まったようです。

ラプラスは、あらゆる事象が原因と結果の因果律で結ばれるなら現時点の出来事(原因)に基づいて未来(結果)も確定的に決定されるという「因果的決定論」と言うべき考え方にたどり着いたようです。

それで、

「もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。」

残念ながら20世紀に量子学が出てくると、不確定性原理という考え方が出てきたようで、それまでのニュートン力学との違いは観察者効果等のこともあるのか、観測行為とそれによって記述される物体や系の状態の取り扱いや、それによって要求される確率的な現象の記述が挙げられるそうです。どうやら物事は確率でしか記述できないようであり、それまでのニュートン力学で言われていた因果律が否定されることになります。

で、ラプラスの悪魔は否定されるといった話であるようです。

違うかもしれないけど。

量子力学も様々な欠点があるようではありますが私には何のことやら解りません。が、因果律を否定する学問がラプラスの悪魔を葬ったわけです。

ラプラスの悪魔は様々なメディアで今でも取り上げられている題材ではあります。

記憶に新しいのは東野圭吾の作品で「ラプラスの魔女」。小説はまぁ面白く読みました。

映画化もされていて映画館でみたけど、映画の方は少し物足りない感じでした。

因果律というのは論理的な思考に持ち込みやすいのではないかと思います。

だから、ラプラスの悪魔が否定された現代においても、ラプラスの悪魔のような理論体系を持つ指針は後を絶たないような気がします。



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