グリンファティックシステム

更新日:10月11日

前の投稿のまえに、グリンファティックシステムの説明を入れておいた方が良かったかもしれないですね。

グリンファティックシステム/グリンパティックシステムはglymphatic systemと書きます。

グリアとリンパを組み合わせた言葉です。


まずリンパについて。

循環系で血液を運ぶのは動脈や静脈です。血液の一部は全身の毛細血管壁を通して組織間隙か細胞間隙に入り、組織液の基礎となっています。組織液の一部は再び毛細血管に戻りますが、残りの部分は毛細リンパ管に入ります。毛細リンパ管が集まるとリンパ管となり最終的に太い本管となって静脈に流れ込むことになります。

リンパの働きは大きく二つに分かれていて、それは、細菌や異物が体内に入らないようにする“免疫機能”と体内の老廃物の回収と運搬を行う“排泄機能”です。


以前は脳にはリンパ管は存在していないとされていました。脳の神経細胞も活動が起きれば老廃物が発生してします。老廃物がたまればニューロンの働きは低下して様々な障害を起こすことになります。例えばアミロイドβは神経細胞の活動に伴う老廃物です。アミロイドβの蓄積はアルツハイマーなどの原因とされています。こういった老廃物は通常であれば排出されているのですが、その老廃物の排出に関わるメカニズムがわかっていなかったと言うことです。


2015年アメリカの研究者たちによって髄膜にリンパ管があることが実証されたのですが、依然として脳内ではどのように老廃物を排泄が行われているかはまだ不明でした。

そこで近年注目を集めているメカニズムがグリンファティックシステムです。

脳の血管をグリア細胞の一つであるアストロサイトの足突起がくまなく取り囲んでいます。この足突起と血管壁の間に血管周囲腔が出来ているのですが、動脈側ではここに血液の一部が出て組織液となります。この液はまだ脳の実質には流れません。動脈の血管壁を取り囲んでいるアストロサイト足突起にあるアクアポリン4という水チャンネルがさらにこの組織液を濾過するように水を主体とした成分を脳実質の中に通していきます。そして、ニューロンの働きから産生された老廃物を静脈側のアストロサイト足突起のアクアポリンが静脈側の血管周囲腔に流れ込み、排泄の経路に乗っていくというメカニズムが実験的に実証されてきています。

また、このアクアポリン4はノルアドレナリンによって調整されています。この足突起にあるアクアポリン4は、ノルアドレナリンが多くなると数が減ってノルアドレナリンが減少すると増えるようです。また、ノルアドレナリンが多くなると脳の中の細胞間隙が狭くなり間質液の流れが遅くなり、ノルアドレナリンが減ると細胞間隙が広くなっているという説もあります。

このメカニズムがグリンファティックシステムです。


(図は脳のゴミ処理機構と睡眠というところから引用させていただきました)

このグリンファティックシステムは深い睡眠時(ノンレム)に強く働くそうです。また、立位や座位より臥位で働くらしいです。

なぜ人には休息が必要なのか?集中が出来る時間が限られているのはなぜか?疲労によって生じるイライラは何を意味するのか?なぜ疲れやすい人がいるのか?睡眠はなぜ必用か?・・・etc・・・

グリンファティックシステムを考えることは、そういったことを理解するきっかけになるのかもしれません。

また、今後脳損傷の治療の手段として成立してくれば、それらに合わせてリハビリテーションを考えて行く必要も生じるものと思います。

現在のリハビリにおいて、日常生活の検査や評価は覚醒時の活動に対してのみ行われていて休息のあり方や睡眠のあり方を評価する基準はなさそうに思います。しかし私たちの生活は活動と休息の組み合わせで成り立っています。休息や睡眠も重要な活動なのでは無いかと思います。

だから、このグリンファティックシステムにはとても興味がわくのです。


この記事は” 脳を司る「脳」:毛内拡 "という本を参考にさせていただきました。

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