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読書する脳

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私は、小さな頃から小説を読むのが好きでした。

本屋さんに入ると、そこには様々な人生が小さな本となってそこにある気がするのです。

私には経験できないような強さや、経験した事の無いような悲しみ。

考えも及ばないような謎やそれを解明していく優れた頭脳。

出会ったことのないような誠実さ。人を思う愚かしいとも言えるような優しさ。


様々な登場人物が織りなす物語。


お金のなかった子供の頃は、本屋さんに入り浸って、立ち読みで何冊も何冊も本を読んでいました。(迷惑な話ですね。(^_^;)


今でも小説は好きで、よく読みます。


時代の流れで、今ではKindleを手に入れ、100冊以上の本をメモリーの中に入れて持ち歩いていたりします。


しかし、ちょっと不思議だったんですよね。

Kindleで読むと、本で読んだときと印象が違うというか、率直に言って感動する感じが薄いというか・・・

仕事柄、難しい脳科学の文献も読んだりするのですが、それに至ってはKindleやMacの画面では理解がおぼつかない感じさえします。


同じ文字なんですけどね。

不思議ですね。


そんなとき、毛内拡先生から「読書する脳」という本が送られてきました。


本を読むという行為が脳科学的にどの様に理解できるのかを解説した本です。

その中には、紙媒体と電子媒体でどの様に脳の活動が変化するのかという事にも触れられていて、非常に興味深いものでした。

さらに興味深いのは、日本人の言語が表意文字と表音文字によって構成されていることを指摘されていて、それぞれに理解に係わる脳の領域が少し異なっていることを示しておられます。

その事は、表音文字のみの英語圏の人種と日本人は言語を読んだり聞いたりする際の脳の情報処理領域が少し異なっている事を示しているかも知れません。

日本人の方が、広範な領域を使用していることになるので、毛内先生は日本語が読めるのに本を読まないのはもったいないと書かれておられます。面白い発想ですね。(*^_^*)

あと、もう一つ非常に興味深かったのが、シスター・メアリーの話です。シスターメアリーは101歳まで生きておられた修道女で、亡くなられるまで非常に高い記憶力を維持されておられたそうです。彼女の死後、脳を調べると、アルツハイマーに見られるアミロイドβの沈着が非常に多く見られ、通常であれば深刻な認知症状を示す程度の変性が起きていたらしいのです。読書や作文を愛好していた彼女が脳の変性にもかかわらず高い認知機能を有していた理由を読書との関連について、脳科学的に解説されておられることです。

ネットで調べてみると、シスター・メアリーは結構有名みたいですね。この例は、アミロイドβの沈着とアルツハイマー病が非常に強い相関があったにしても因果関係ではないということを示しているのかもしれないです。私の推測ですけれど、アルツハイマー病は複数要因に依って引き起こされていて、アミロイドβの沈着はその要因の一つなのでしょうね。そして、読書や作文などの行為はは認知症を起こしにくくなる脳科学的な変化を起こしうると言うことなのでしょう。非常に興味深いですよね。(*^_^*)


本書全てに渡って、紙媒体の本の魅力を脳科学的に書かれておられます。

毛内先生は、脳科学を社会に役立てることを大切にされておられます。

本書は、読書という行為が如何に私たちの脳に役立つのかという解説を脳科学的におこなおうとしたものです。

それは日常の行動のひとつである読書を脳科学的にどの様に理解し、説明するのかという挑戦では無かったのかと思うのです。

そしてそれは、たぶん、私たち理学療法士、作業療法士は対象となる人の行動や動作を脳科学的に推論を立て、それに対して介入方法を選択するという仕事と共通点がある様に感じるのです。

分野は多少異なるかも知れませんが、人の行為や行動を脳科学的に解釈するひとつのお手本として、非常に役立つのでは無いかと思います。

そうした視点から、脳科学に触れようとする理学療法士や作業療法士にお勧めできる本だと思います。

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いただいた本には、「学而不思則罔 思而不学則殆」と書いてありました。

「学して思わざればくらし、思いて学ばざればあやうし」

学ぶだけで考えなければ真理を失う。考えるだけで学ばなければ危うい。といった意味のようです。


たぶん脳科学は、学び、考え、実践する事が大切なのだと思います。


また、付箋にメッセージをいただきました。

それにはいずれ出そうと思っておられる書籍のことにも触れられてました。

私が非常に興味を持っている話題で、また、私も同業者に伝えていきたいと考えていたテーマでも在り、非常に楽しみです。(*^_^*)



あ、この本を購入する際は、紙媒体のものをお勧めします。

電子媒体では、読んでいる最中に少し後悔されるかも知れません。(^_^;

 
 
 

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島根県安来市安来町1622−2

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