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意志と行動

随意運動という言葉では、意志が脳を制御しているということになるのですが、意志は脳の情報処理の結果認識されるものなのです。


現在わかっている知識ではNCCは同定されていません。NCCが情報の選択に関与しているということは、少なくとも現在の情報でははっきりそうだと言えないのです。つまり、意志が行動/運動を制御しているかどうかはわからないと言うことです。

逆に行動選択で大きく関わっていると考えられるのは報酬系〜報酬物質ですね。


さて、最近、東京大学が意識を担う脳領域の解明に向けた研究のプレスリリースがありました。


(図はリンク先のプレスリリースからお借りしています)


ここでは、意識を担うネットワークは双方向性の情報伝達であることが示唆されていることに注目して、脳のネットワークの双方向性であるところを特定することで意識のコアとなる部分を探そうと言う試みのようです。

現在わかったのは双方向性の情報処理が強いところ抽出してみたところまでのようですね。

抽出された部位は、これまでの研究で意識に関して重要と言われた領域からなっていて、逆に意識の直接関与しないとされる領域は含まないことを確認されたようです。

現状では、大脳皮質下のネットワーク、視床ー皮質投射、前障が大きな働きをしているとしているようです。

個人的には視床ー皮質投射が意識に関与していると言うのはちょっと違和感があったのですけれど。視床ー皮質投射というと基底核ループが思いつくのですが、基底核自体は無意識化の情報処理をしているとされていたはずです。基底核ー視床投射から皮質に投射される際に意識化が起こると言うことでしょうか?まだ謎はたくさんありそうですね。

前障については、いい位置にあるなぁと言う印象があります。基底核の外側。身体内外の情報が集まる島葉の内側。ここの相互接続によって意識化が起こるとすれば何かしら基底核の情報を意識化するとか、意識によって基底核の情報処理に影響を与えるとかがあり得そうです。

現在、意識が行動に与える影響として実験的に確認できているのは、意識によって選択した行動を止めることができると言うところであったと記憶しています。現在はもっと新しい知見があるのかも知れません。


私たちリハビリテーションのスタッフは随意運動というものにアプローチをしているわけですから、意識と運動の関連性についてもっと色々知る必要があるのだろうと思っています。

さらに意識というものが解明されることを期待しているのです。



さて、話は変わります。本当に変わります。テーマは意志ではあります。

死後の世界についてです。

本当に唐突ですね。

これは「魂」が身体とは別に存在しているのかということがキーになるのではないかと思います。

古代ギリシャでは、脳は血液を冷却するための臓器であったと考えられていたそうです。そういった時代であれば、環境に適応するための情報処理システムが必要であるにもかかわらず、その部位が特定できなかったわけですから、そのシステムを魂として認識したとしても不思議はないのですけれど。

現代では脳が情報処理に大きく関与していることがわかっています。

さて、人が死んだ場合に、その情報処理ができるかといえば、当然ですができないわけです。

ですから、現代でもそう考えておられる人がおられるということ、そういった魂という存在に意識が向くのには、そこに何かしらの生きていく上でのメリットがあるのかも知れません。


現在の科学では、魂が在るとか、無いとかを考えて結論を出そうとするのは脳の意識という情報処理がしているということになるのだと思います。


ですので、少なくとも言えるのは、ある人が魂が身体とは別に存在していて、死んだ後も存在していると考えていたとしても、その人がお亡くなりになれば、その人自身の思考とか記憶とかそういったもの自体は失われてしまうのです。ですので、その人にとっての死後の世界は失われてしまいます。

ただ、その人と話をしたり、その人の考え方などに共感した人たちの中には、その人の思考や記憶の(不完全な)コピーが残ることになります。これが生きている人が感じる死後の世界で在ると言えるのでは無いかと思います。

そうして色々な思いや思考が残されるから、人類は発展してきたといえます。

文化などは、今まで生きてきた人たちが築いてきた生きるための知恵のようなものですよね。学術的なことや技術的なこともそうです。

人は人に何かを残すことはできますが、個人で考えれば死後の世界は成立しないのでは無いかというのが、現在の科学が示唆していることなのでは無いかと思うのです。

文化を大切にするとか、そういったことを考える上では宗教などは大切なのだろうとは思います。

しかし、死後の世界を持ち出して人に恐怖心を植え付けるような手法を用いるようなことをされるところがあるのであれば。私はそんな団体はないと信じたいのですけれど。もし、そういった団体があるとすれば、それは洗脳の手法を用いた営利目的の自己啓発セミナーです。


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