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テンセグリティとプレーシング

更新日:2022年5月23日


テンセグリティ(tensegrity)とは、圧縮材が互いに接続されておらず、張力材とのバランスによって成立しているような構造システムのことを指します。圧縮材とは張力材に圧縮を受けるものを指しています。

人体で例えると、骨が圧縮材で、筋肉やFascia/皮膚などが張力材になると思います。


プレーシングという言葉は、ボバース用語と言われています。言葉の意味は滞空ですが、自動的な反応で、たとえばふと手を持ち上げられたときに自動的(無意識的)に持ち上げられた方向に対して追従してくるような動きのことを言っているのだと思います。


上肢はそれなりに重いですし、重心の高い位置にある構造物です。

ですので、手を無意識に動かすということは、無意識下に姿勢の安定を図ったりする必要があって、全身のパフォーマンスのどこかに弱い部分があるとうまくいきません。

これって、全身のテンセグリティ構造がうまく働くように中枢神経系システムが姿勢制御を行なっていることでうまく行っている動きだと思うんです。

それは、写真のような座位で上肢に関していえば、頭部が高い位置にあって、頭部に付着する肩甲挙筋/僧帽筋上部繊維/胸鎖乳突筋などがキチンと張力を発生させて肩甲骨や鎖骨を安定させていたり、そのほかの体幹から肩甲骨に付着する筋群が肩甲骨の安定性を作るような張力関係にあったりするような状況にあることが重要だと思うのです。

もう一つ、上肢自体もたとえば上腕二頭筋と三頭筋のアライメントが正しい状態で手がキチンと下せている状況は、筋の張力関係によって上腕骨頭を肩甲上腕関節方向に引き上げられるはずなのです。

結果テンセグリティ構造から上肢の重さを感じることなく手を動かすことができますし、キチンとはったFasciaとその周囲の原繊維の疎な部分に存在する感覚受容器は正確な張力関係ー固有受容感覚を中枢神経系に入力できる状態となって、重さに対応した姿勢制御や誘導の方向に対する無意識下の運動出力が可能になっている、あるいはしやすい状況になると考えられるのではないかと思います。プレーシングですね。


もう既出の事柄なのかもしれないですけど…


おそらく全身がこう言った張力関係を持っているのではないかと思ったりしてます。


ところでボバースコンセプトの話が出ると、時折、ボバース独自の「ボバース用語」がよくわからないとか、理解を困難にしているとか言った話を耳にします。

私が知っている範囲で、ボバースのオリジナルの用語としてみられるのはプレーシング/ホールディング/姿勢セットぐらいなのではないかと思うのですけれど…

違うかもしれないですけど。

姿勢セットは現在はAPAsという神経生理学や運動学で一般的な用語に切り替わっています。個人的には姿勢セットでいいと思うのですけど。概念的に広くなりますけど私にはわかりやすい気がしますので。以前、お名前はご迷惑になると困るので出しませんが、姿勢セットを武道の「構え」にたとえてお話をされておられた先生がおられました。

それが一番わかりやすかったです。武道での「構え」は、より早くよりスムーズに動くための準備ですから。

ともかく、現在一番よく聞いて理解しにくそうなのが「プレーシング」ではないかとは思います。

プレーシングはまだメカニズムがよくわかっていないんですよね。

だけど、赤ちゃんとか猫とかでも観察される反応ですし、存在はしているわけです。

多分ボバース先生はそれまでの運動学や神経生理学で表現しきれない反応を発見して、それを表現するためにプレーシングという言葉を使われたのだと思うのです。

なんでもそうですが、今まで説明なされなかった事象を説明する際に、新しく単語に意味を加えたり、新しい用語で説明しようとすることは間違ったことではないと思うのです。だって今まで表現されていなかった事象を説明しようとするのですから。


ですので、個人的には「ボバース用語」がわからないと言ってしまうより、なんのためにその用語を用いようと思ったのかということに関心を抱く方が色々理解しやすくなるのではないかと思ったりします。


テンセグリティ:tensegrity

バックミンスター・フラーにより提唱された。

Tension(張力)とIntegrity(統合)の造語。〜Wikipediaより

この人も、今までなかった構造を理解したり伝えるためにこう言った用語を作られたようです。

彼はなぜこの用語を必要としたんでしょうね?

考えてみると少しワクワクしますね。(私だけでしょうか?)


繰り返しておきますけれど、私個人の意見です。一般的な意見ではありません。


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