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エクソソーム再生医療と脳卒中リハビリテーション


昨夜テレビで少しだけ紹介されているのを見ました。テレビで短時間お話をされておられた先生はやはりエクソソーム再生医療を一般的に浸透させるためのお話だと思うので、一定のバイアスの入った情報だとは思います。ですので、完全に鵜呑みには出来ないところもあるでしょう。

だけど、面白いですね。

エクソソームは細胞から放出される物質で、細胞間コミュニケーションをおこなっているそうです。

たとえば肝臓や膵臓、脳など、何処でも良いのですが病変をおこすと、病変をおこした部位の細胞から「ここが壊れてるよ〜」と言った情報を持つエクソソームが放出されるらしいです。そうすると、間葉系幹細胞(中胚葉由来の多分化能を持つ幹細胞)が病変をおこした周囲に集まり修復していくと言ったイメージのようです。

中胚葉由来ですから、神経系も修復が可能なんですね。

「壊れた神経は再生しない」と言われていたのですが、これが根底から覆ることになるのでしょうね。

脊損などでは今まで考えられなかった回復をみせるケースの報告もあったようです。

テレビで脳卒中の回復が3例ほど紹介されていました。

足が動くようになったり立てるようになったり。いずれも発症後3〜6ヶ月程度の経過の方です。

その変化はエクソソームを点滴した後、30分とかⅠ時間とかで起きたとのこと。


さて、エクソソーム再生治療が脳卒中におこなわれるようになった際にリハビリテーションはどうなるのでしょうか。

私の予想ではやはり必用とされるだろうと思っています。神経細胞が再生してもシナプスの接続は非常にダイナミックに変化するものですので、その部分に対して介入は不可欠でしょう。


ちょっと話が変わります。曖昧な記憶で申し訳ないのですが、以前、札幌大学で神経幹細胞によるの脳卒中治療の治験が有ったと思います。その際に、神経細胞は増えたけれど、運動機能の回復までは評価し切れていなかったと記憶しています。実験結果を科学的にするためには、リハビリテーションなども含め幹細胞治療の他の因子は除外していく必要があり、積極的な運動機能への介入はおこなわれなかったようです。その為、運動機能に関する効果についてはあまり無かったのでは無いかと思います。神経細胞の再生とともに、運動学習を目的としたリハビリテーションが回復のためには重要な要素になるのであろうと推測しています。

話を戻します。


再生医療の発展でもリハビリテーションの必要性は残るだろうと思っています。だけど、今までの保険医療で使われてきたリハビリテーションのロジックは通用しなくなるかも知れません。

姿勢や麻痺側の手足の動きをどのように学習していただくのかと言った事により強い焦点が当てられることになるでしょう。

その際には、神経学的な知識とともに、運動機能がどのように発達するのかと言った発生学的な視点や胎児〜小児発達の知識、技術が必須になってくるのでは無いかと感じます。

構造的に神経細胞が増えた場合に、シナプス接続とともに不要なシナプス接続の刈り込みと言った赤ちゃんの時に起こる構造的な変化などが起きる可能性も高いのでは無いかと思いますので、特に小児領域の学習に関わる知識はとっても大切になると思うんです。

あくまで私見ですよ。


ボバースコンセプトは成人と小児の中枢神経疾患をともに大切にしてきています。もしかしたら、今後の医療では重視されてくるのかも知れないですね。


既に治験は始まっています。実用化も近い未来だろうと思います。現在はかなり高額な治療法ではありますが、エクソソームの培養に関わる設備が充実すれば安く提供できるようになるようですし、治療手法もエクソソームを点滴で入れれば良いという非常に簡便な手法な様です。

一般の病院でこういった再生医療が手軽に受けられるのも、そう遠くない事だと思います。


面白い時代がやってきました。

٩( ᐛ )و

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