Nagashima Kazuhiro

2023年1月24日2 分

成人脳性小児麻痺

以前は歩いておられた方です。

ここ数年、左の鼠径靱帯に痛みが出現し、それから歩いておられないとのことでした。

脳性小児麻痺ではなにかしらのきっかけで急に運動機能のレベルが急に落ちることは良くある経過なのでは無いかと思います。

リハビリに来られるようになって、今は、仕事の更衣室で僅かな距離ですが歩けるようになったと話しておられました。

結構、長期的に代償的なバランス反応を利用されておられて、体軸を垂直にすると周りの世界が傾いて見えるとおっしゃっておられました。

姿勢や動きが認知に影響を与えていて、認知が姿勢や動きに影響しているというつながりが感じられる反応ですね。

現在はそれはだいぶん良くなっておられます。

左の股関節の痛みは、後は内転筋に残っている状態です。

体幹は、左上肢が使いやすいことから、常時左に側屈しておられて、右の体幹の前面筋はゆるゆるになってます。その性で、右前鋸筋から右肩甲帯の外転への張力が少なく、肩甲骨の偶力に乏しいのですね。で、右手は屈曲したままになりやすく、伸展や回外,手関節背屈などに可動制限があります。

立位や歩行の差異も右体幹の低緊張から、骨盤の不安定性が出現しますので、立位での重心移動や歩行時の下肢の操作の難しさにつながっています。

興味深いことに、立位での重心移動のパターンは上部体幹をヤジロベイのように振っておこなわれるのですが、上肢でなにかを支持するとお尻を突き出してお尻だけ左右に振って重心を移動させようとされます。骨盤の不安定性を利用した可動で移動されようとされるのですね。CKPはさほど動きませんし、きちんとした重心移動とはなりません。特に左下肢荷重にその傾向が強く、それは股関節内転を強くして関節自体の安定性も構築しにくいですし痛みにもつながりやすく、さらに右の遊脚相をつくることがとっても難しくなっているのです。

う〜ん。

何十年もそのパターンで歩いてこられたわけだから、なかなか難しいところもありそうですね。

長くこの身体を使っていただくには、右腹部の活動性をあげられるものならあげておいた方が良さそうだと考えています。

で、左の側屈傾向を伸ばしやすいようにprone sittingで左に荷重をして左体幹に抗重力伸展活動を促しつつ、右の側屈による臀部挙上を促しているところ。

ちょっと慣れてきたら、家でも休息時の姿勢でこういった姿勢をとってもらったり、その際にちょっと右の臀部を持ち上げるとかそういった簡単な自主練習を習慣づけられないかなぁ・・・等と考えながら。

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