足部の感覚によって、下腿の底屈や背屈筋の出力調整がおきているのです。
まず、足部からの荷重かかっていない、足が浮いた状態〜例えるなら遊脚期の足底への接触刺激が入った様な場合の脊髄における情報処理です。
上位中枢と前庭からの出力が描いてありますが、これは、何処にという場所を示すものでは無いです。脊髄は上位中枢や前庭の投射を受けてますよね位に考えてください。
興奮性網様体路と抑制性網様体路は相互抑制作用があります。
興奮性網様体路は屈筋群と伸筋群ともに促通をしています。抑制性網様体路は抑制性介在細胞を介して屈筋群と伸筋群ともに抑制しています。この働きで、網様体脊髄路は共収縮の程度を調整しています。また、網様体脊髄路の働きは屈曲反射より強いとされています。
脊髄における皮膚反射介在細胞と抑制性介在細胞にも相互抑制作用があります。
遊脚相における足部への触覚刺激は皮膚反射介在細胞を介して伸筋群を抑制して屈筋群を促通します。
結果、下肢はより高く上がる方へ運動を起こします。
そして、今度は荷重がかかった状態〜立脚相での強い足底刺激が入っているときの脊髄の情報処理です。
立脚相においては、足部からの触覚刺激はより強くなります。
すると、皮膚反射介在細胞の興奮性は増し、遊脚層の時より強く抑制性介在細胞を抑制します。
興奮性網様体脊髄路の活動が伸筋群を興奮させます。屈筋群は皮膚反射介在細胞の抑制を受けていますが、興奮性網様体路の調整の方が強いので屈筋群も興奮します。
結果、共収縮の程度がまして関節の安定性が増します。
そして、一側支持の荷重が可能となります。
といったメカニズムが想定出来る訳なのです。
ですので、足部の感覚を補償する、足部の軟部組織の状態はとっても大事なのだと思うのですよ。
(*^_^*)
2023/07/24追記
神経生理学のことをディスカッションするSNS上で、脊髄の”E”と書かれた部分が下腿三頭筋につながっているが、用語的には足関節の底屈が屈曲で背屈が伸展ではないかと言うご指摘をいただきました。
そこでふと思いだしたのです。この記事は、とある神経生理学者の先生がお話しされていた事では有るのですが、お話の中で、解剖学的な運動方向の名称と一致していないことをお話しされておられたのです。
神経学的に見たときに、四肢の伸展というのは身体の重心を上げたり、四肢を軀幹から離して(伸ばして)いく運動のことを指すので、解剖学的な用語と必ずしも一致しないこともあるかと思って納得していたのです。
また、カパンジーの「生体力学の世界」第1版 p46に以下の記載があります。
「ある種の運動の誤った定義
手関節に関しては、背屈というのは非論理的で、用語の上で矛盾している。しかもこの運動は手関節の伸筋によって行われる。肩の伸展は、上肢を後方へ移動する。前に定義した後方突出と混同すべきでは無い。
下肢では、同一の矛盾が足関節のレベルに見られる。足関節の伸展は、足部と下腿を1列に並べるようにする運動である。したがって、底屈というのは不正確である。これはまた、足関節の伸筋によって行われる。
逆に、足関節の背屈というのも不正確である。背屈の規程は、用語の上で冗長である。というのは、屈曲はまさに、足部の背面を下腿の方向へ移動することによって,下肢を短くする運動だからである。」
なにが正しいとか誤っているということは私には荷が重い判断です。
この記事を読まれた方がそれぞれに判断していただければ良いかと思います。
ただ、この記事中の表現としては、足関節の伸展は底屈、屈曲は背屈と考えていただけると読みやすいのでは無いかと思います。
よろしくお願い致します。
m(__)mペコリ
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