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執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

AIとヒトの情報処理

更新日:2023年8月5日

AIがかなり発展してきていますね。

AIはヒトを超えることがあるのでしょうか?

たぶん無理だと思うんですよね。


私、ホームページのストレージ対策に動画などをyoutubeで入れ直す作業をしていまして、昔の資料を確認していたのです。

そんな中、作成者のノートに、以下のことを覚え書きの様に書いていたのを見つけたのです。たしか、カンデルに書いてあったと記憶しています。


「神経細胞の数は約2000億個。それが約125兆個のシナプスによって接続されています。 これは1500個の銀河系を満たす星の数に匹敵するのです。 1つのシナプスは、それ単体でただのオン/オフスイッチというより、記憶装置と情報処理の両要素を伴うマイクロプロセッサとして機能します。そしてシナプス1つで、分子レベルの極小サイズのスイッチを1000個程度持っている可能性があるのです。1つの人間の脳が持つスイッチの数は、地球上にあるすべてのコンピュータやルータ、そしてインターネット接続よりも多いといえます。」





ヒトの持つ情報処理システムは、脳だけでは無く、脊髄や末梢神経においても行われています。

そして、ヒトの持つ能の可塑性について、デビッドイーグルマンは「ライブワイヤリング」という概念を主張されておられます。これは外環境や身体内環境の情報処理において、常に脳は必要な情報を処理しやすくする様に構造(接続)をリアルタイムに変化させていくといった様な概念です。

ライブワイヤリングの特長として、

1.世界を反映する(外的な世界を反映するとともに身体内情報もリアルタイムで反映しているという情報処理が必須だと思います)

2.入力情報を受け入れる

3.どんな装置でも動かす

4.大事なことを保持する

5.安定した情報を閉じ込める

6.競うか死ぬか(シナプスでのお話です。脳にとって身体内外の環境情報で必要なものは報酬系などの働きや、神経細胞外成分の働きによって強化され、それ以外は削除されます)

7.情報を求める

といったことを挙げておられます。

情報を求めるというのは、神経細胞やシナプス自体で言えばなにかしらの興奮が起こる(発火する)ような連携〜たとえば手を動かして何かに当たったらら視覚情報ととも感覚情報が入力されることになりますよね。こういった様な事で神経系が興奮したらそれを繰り返す様な反応が出ると思うのですが、これはやはり環境適応のため、積極的に環境を探索する様な行動につながるのだろうとは思うのです。好奇心というやつもこういった反応形態のひとつの表れなのかも知れません。


実際、脳のシナプスはダイナミックに接続を変えているのが解っているわけです。


・2000億個の神経細胞

・上縦束や脳梁、その他の白質による125兆個のシナプス

・ひとつのシナプス自体にもある、情報処理と記憶といった機能

・ひとつのシナプスにある100個の分子レベルのスイッチ


これに広範囲投射系や神経細胞外成分による神経細胞外環境の適正化とともに情報処理が行われているわけです。


それらが、身体内外の情報によってリアルタイムに変化する神経系のシステムは、現状のテクノロジーでは再現不可能でしょう。


まぁ、だからこそ判断(情報処理)を単純化するために、AI制作者のヒトとしての思考であるとか判断基準であるとか、情報の持つ多様性に対する対応などなど様々なバイアスを入れてしまって、擬似的にヒトの様な判断をするシステムを作るわけです。

そして関わる人達によって影響を受けることになりますが、それも社会の持つヒトとしての判断のバイアスが介入することになります。

つまり、AIはヒトというデバイスを介して世界を知っているのです。

言い換えるとAIはヒトというデバイスを介さないと世界を知ることができないのです。


こんなことを書いていると、批判されそうですね。(^_^;)

よくわからずに書いているって。

ま、そうなんですけど。


ヒトと、AIの大きな差は、ヒトは自らの身体を持ち、環境に働きかけるために動かすことのできる身体を、同時に情報収集のデバイスとして利用し、そのデバイスについている感覚の受容器も柔軟に感度を変えることができ、同じ感覚入寮に対応する神経細胞数を変化させる事もできます。さらに同じデバイスでも違った利用の仕方が可能になるという柔軟性を持つのに対し、AIはいったん作られたシステムを自ら必要に応じて変化させることが困難で、主にヒトの働きかけによってしか外的環境を知ることしかできないということは、大なり小なり言えるのでは無いかと思います。


ですので、現状のテクノロジーでは、ヒトの持つ情報処理システムの模倣はできても再現はできないという事は事実だと言えるでしょう。

膨大な時間をかけて必用なものを残してきた、自然に作られたヒトという種と、ヒトによってつくられたものには質的な違いがあるのだろうと思うのです。



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