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執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

浮腫

更新日:2022年1月9日


先日来られた利用者さん。左片麻痺の方ですが、左下腿が浮腫でパンパンでした。

以前から来られていた方ですが、時々パンパンにしてこられます。

歩行中、左下肢の立脚初期からのbackkneeが膝の後ろの軟部組織を張らせてしまうのでリンパ節が働きにくくなっているのではないかと推測しているので、歩行パターン自体が変化していかないといけませんが、その為にはコアスタビリティとともに足底の感覚と膝の感覚が重要になります。ところがここまで浮腫が起きると感覚も適正な情報が入力できないであろうと思って、取りあえず定期的に浮腫に対応しています。


浮腫を取るときには、下肢であれば大きなリンパ節が鼠径部と膝の裏あたりに存在しています。大腿部の浮腫は強くないので、取りあえず鼠径部はそこそこ大丈夫と判断して膝の後ろから皮膚の動きを作っていきます。

皮膚の動きを作るときは、皮膚と角皮下層にある浅筋膜との原繊維の動きを作って、滑りを作ります。このとき皮膚に軽く触れるようにして、状況によりますが皮膚がパンパンで動きをほとんど感じないようなときは、ほんのわずか0.5ミリにも満たない程度、軽くゆっくり滑らせてみます。すると皮膚の滑りに軽い抵抗が起きます。そのときに原繊維がいったん動きを失っている物と考えて、滑らせるのを止めてそのまま待ちます。すると、すっと抜けるような感じで抵抗感が減少します。それでまたほんのわずか滑ってしまうのですが、それ以上は滑らせずそこで自分の手を止めて少し待ってから、その長さが維持できるように願いながらゆっくり手を離します。それを繰り返して皮膚の滑りがある程度起きやすくなってきたら皮膚に触れる圧をほんのわずかに強くします。すると、少し深いところにシート状の張りのある部分を感じることができます。それはおそらく深筋膜です。今度は同じように皮膚/浅筋膜と深筋膜の間を滑らすように操作していきます。

すると比較的深いところまで原繊維の動きを引き出すことになります。

原繊維の間の微小空間には微小な血管やリンパ管が存在しているので、原繊維の動きによって血液や間質液の動きが活発になり、リンパ管に回収される間質液の量も多くなることが期待できます。

そして、いったん足部の皮膚を同じように滑らせてておきます。

その後、下腿の皮膚を滑らせていくと徐々に下腿の皮膚の動きが柔らかくなることを感じることができます。

しかし、すぐに浮腫が減少するわけではありません。そんなときは足部をみてください。足部の浮腫が遠位(足趾)から減少していることを発見できると思います。

足部の浮腫が徐々に下腿に移行してくるので、下腿の皮膚の滑りがでてもダイレクトに細くならないのです。

気長に皮膚の動きを引き出していきます。上記の手法では下腿全体の皮膚の滑りを出すには結構時間がかかりますので、気長に。

足の浮腫がおおむね減少してくると、下腿が少しずつ細くなっていきます。

そしたら、足背の外側とか下腿の外果/内果あたりや下腿の組織のまだ硬いところとかに浮腫が残っているので、そういったところの皮膚の動きを念入りに動かして間質液の流れが起きやすいようにしていきます。

みたいな感じで時間をかけて浮腫に対応していきます。


で、結果がこの状態。

もっと効率の良い方法があるかも知れませんけれど・・・

この後、感覚入力を行っていくのですが、臥位から立位になったときに尿意を訴えられ、この日は終了になってしまいました。(うちの事業所は散髪屋を少しだけ改装した状態なので、動きにくさを持つ人が使えるトイレがないのです(^^;)

まぁ、それでも意識的にであれば足関節の底/背屈が出せるようになったのでそう言った練習をしていただければ浮腫の減った状態はある程度持続するはずなので取りあえずこれで終了。

途中で書いた皮膚の滑らせ方は、JOPAオステオパシーの研修会に行ったとき、下村先生に教わった感覚です。私は皮膚と浅筋膜とか深筋膜の間の滑りを作っているので、勝手に筋膜リリースだと信じていますが、考えてみれば研修会中に筋膜リリースという言葉はお聞きしなかったので、筋膜リリースと言う技術ではないかも知れません。仮に違ったとしても内容的には同じだとは思いますけど。


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