模倣

神経心理学では1900年のLiepmann観念運動失行の報告から現在に至るまで一貫して左頭頂葉が模倣の脳基盤として同定されてきた。模倣は他者の運動意図を理解するという社会的認知能力の現れとして見ることも可能であり、社会性の脳基盤研究の立場からも注目されている。これに関してサルF5で発見されたミラーニューロンが他者の行為を理解する神経基盤であるとし、ヒトの模倣もF5ホモログであるBroca野が重要な寄与をなしているとする主張がある。模倣の脳基盤研究における問題点は模倣とはなにかという明確な定義がなされていないことである。模倣には同一目的の達成から運動形式の正確なコピーに至るまで様々なレベルが含まれうるし、各レベルでの模倣はその心理学的・神経学的本質が異なる可能性がある。」

〜脳科学辞典 模倣より


随分前ですが、とある医師と失行についてディスカッションをしていました。

観念運動失行が頭頂葉病変によるという話に対して、私は頭頂葉病変ででるのならそれは認知機能の障害がベースにあるはずで、失行であるのであれば前頭葉病変、特に高次運動野に病変が存在しているのが本来の定義上では正しいはずだし、頭頂葉から投射される観念運動に関わる情報を受けるところが壊れても観念運動失行は出現するはずだという主張をしていたのですね。いや、前頭葉病変で観念運動失行と思われる運動障害があるように感じた方がおられたので。

二人とも逐次プロセスにとらわれていますね。

現在では頭頂間溝野を含む頭頂連合野は上縦束によって前頭葉、腹側運動前野の前方にあるミラーニューロンが確認されているF5領域とも相互的に連絡することがわかっています。ですので、どこで出てもおかしくないのですが、その模倣といわれる行為の質が異なっていることは推測できます。

能動的な模倣もあれば受動的な模倣もあるだろうし、言語指示による物品操作パントマイムに関わる脳神経回路と、人に何かを伝えようとする際の物品操作パントマイムの神経回路は微妙に異なる回路を使用している可能性があります。

また、動作の意味はわからなくても検者の動きを追うように行うパントマイム(検者の動作のまね)は物品の意味とか操作しようとする能動性がなくても可能な場合もあるでしょう。


おそらく物品操作パントマイムを要求された場合、人はパントマイムに関わる様々な回路をなんとか駆使して動作を完成させようとするのでしょう。見た動きを模倣しようとしてみたり、自ら動きを想起しようとしてみたり、言語で動きをコントロールしようとしてみたり・・・。

観念運動失行を単一のカテゴリーとして見ること、しかも感覚と認知を切り離して考えること自体に無理がありそうです。

あ、ちなみにミラーニューロンは下頭頂小葉や頭頂間溝野にも存在が確認(予想?)されています。

写真は、本文とほとんど関係ない半沢直樹から。

だけど、あれだけ視聴率があるということは、みんな境遇に満足してなくて共感してみているでしょうね。きっと脳の中のミラーニューロン群は大興奮。

私も楽しんでみていますけれど・・・




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