京極堂シリーズ17年ぶりの最新作です。
やっと読み終わりました。面白かった・・・。
〜現代人たるもの科学的思考を以て世界を理解しようと云う姿勢を持つことは大事だろう。しかし、科学的思考と云うのはそれらしいことを丸飲みで信じ込むことでは無いんだよ〜
うむ。中禅寺秋彦、相変わらず良い感じ。
これを含む台詞は、私がいつも考えていることと似ているのでとっても気に入っている台詞なので、紹介したいと思うのですけれど・・・結構なネタバレになると思います。
これから読んでみようと思う人で、ネタバレなしに楽しみたい人は、これ以上読まない方が良いカモです。
間を開けますね。
(^_^;)
もう少し開けようかな・・・・
さて。
〜ネタバレ注意〜
「現代人たるもの科学的思考を以て世界を理解しようと云う姿勢を持つことは大事だろう。しかし、科学的思考と云うのはそれらしいことを丸飲みで信じ込むことでは無いんだよ、築山君。疑い、考え、徹底的に検証すること、そして証明が出来なければ解らないとする姿勢こそが、科学的思考だ。あんな物がチェレンコフ放射で在るわけが無い。そして」
「合理とは理に合うと書くんですよ。信仰や文化習慣を徒(いたずら)に迷妄として退けるような蛮行を指す物ではない。信仰にも理はあるでしょう。」
「あの光を凶兆として捉えようと端兆と捉えようと、それは非合理ではない。それは解釈の問題だし、それぞれに理があるからです。いずれが正しい間違っていると云うことにはならない。しかし、科学的であろうと欲するのであれば科学的な理を通さなければならないんです。それを為ないのであれば科学信奉は寧ろ迷妄だ。築山君、君は道を間違っている。」
〜〜〜〜
まぁ、結構なネタバレになるのですけれど。
科学や宗教に関する見方は、激しく同意してしまうのです。
人のこと、脳のことは解明が進んだと云っても多くは推論の域を出ていないのです。
例えば、一次運動野(M1)にはホムンクルスの像が描かれる事は結構以前から知られていました。
20年ぐらい前でしょうか。M1にはOld M1とNew M1が存在することが知られ、そして近年、一次運動野にはエフェクター領域とエフェクター間領域が存在していることが報告されたりしています。
エフェクター領域とエフェクター間領域のことについては、このブログの記事「新しいホムンクルスの像」に書いてありますので、興味がある方はどうぞ読んでみて下さい。
それ以外にも、神経細胞外環境についても知見が広がっていますね。
科学の発展に伴い、様々な発見があるという事は、結局のところそれまでの知見というのは間違ってはいないけれど完全ではない、つまり完全に解っていなかったという事になります。おそらく今後もそうでしょう。
身体のことについても、同様なんですけれどね。西洋医学といわれる学問の体系において、Fasciaに脚光が当たってきたのは近年です。
Fasciaは筋骨格系、感覚受容器、循環など様々な部分に関わるものであって、今までは理解できなかった部分もFasiciaの構造や働きで説明が可能になるところも多くなったのでは無いかと思います。
つまり、解っていないという前提で様々な情報に触れ、その情報を疑い、考え、検証するといった姿勢が必用なのだと思うのです。
答えは、既存の文献の中に在るのでは無くて、すべて患者さんの反応の中に隠されていると思うのです。
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