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翼状肩甲


写真は、片麻痺の翼状肩甲で良い写真が見つからなかったので、日本整形外科学貝からお借りしました。

片麻痺の方の翼状肩甲は、こんな風ではないのですけれど、肩甲骨が胸郭から離れて翼のように見える状態を翼状肩甲(ウインギング)と言います。

片麻痺の方で麻痺側肩甲帯の翼状肩甲を見ることは珍しくありません。

片麻痺で翼状肩甲が何で悪いかというかというと、肩甲骨の不安定性を示している場合が非常に多いからです。

肩甲骨の不安定性は、上肢全体の重さを支えきることが出来ないので上肢を動かそうとしたときの不安定性につながります。


肩甲骨というのは偶力によって安定性が構築されるのですが、偶力の発生には前鋸筋・僧帽筋・菱形筋といった筋に適正な共収縮〜網様体脊髄路の働きが必要となります。つまり、γ系が適切に働く状態で、それぞれの筋肉の状態変化に対してそれぞれの筋肉が一定の張力を保っていて、肩甲骨が動く中で、その都度一定の位置に安定させておくような状況が必用ですので、そういった筋に対して感覚が充分入るように肩甲骨の動きを経験させていくのは必用なことなのです。

偶力については、こちらの動画が解りやすいかもしれません。



だけどですね。ちょっと時間の経過が長い片麻痺の方は、結構肩甲骨と上腕骨の動きが少ないのです。それは、三角筋後部繊維の下に潜り込んでいる棘下筋や小円筋、大円筋、上腕三頭筋。三角筋前部繊維の下に潜り込んでいる大胸筋、上腕二頭筋など。それぞれの滑りがとっても悪くなっている感じがするのです。

むしろそれを利用して肩甲骨ごと動かして手を挙げたりされておられる感じです。

これでは、上肢帯の重さで常に肩甲骨は胸郭から引き離されるような力が働いてしまいます。特に側臥位で麻痺側を上にして手を床面に下ろすと著明にそれが表れます。水平内転ですね。

それでは肩甲骨の偶力を発生させるための筋群に働きかけようとしても難しいですよね。

この様な症例では、肩甲帯の操作に入る前に、きっちり三角筋とその周囲の軟部組織の滑りを作り出しておくことが有効だと思います。実際に試すと、「昔動かした感じがする。」とおっしゃるかたもおられたり。

経過の長い方に対しては、少しそういった所もチェックしてみると良いかも❗



急性期から回復期の施設においては、連合反応と言われるパターンで手を使うことをできるだけ避けていただくことも大切なのかも知れません。

初期の低緊張やAPAsがきちんと働きにくい状態で手を動かそうとすると、ローテータカフの外旋筋が働いても上腕骨と肩甲骨が一緒に動くので上腕の外旋といった運動結果につながりにくいはずです。それを自分で何とかしようと修正すれば体幹の伸展と非麻痺側への側屈を伴った姿勢になりやすくなり、さらに構造的に肩甲骨は安定性を生み出しにくくなることが推測できますし、さらにその状態で外旋筋や内旋筋は上腕骨の固定(安定では無いです)のため、短縮をおこす可能性も有ります。

その上で僧帽筋上部繊維とともに三角筋が短縮すれば局所循環障害が起こりますし、そうすれば原繊維の軽やかな動きは失われやすくなって癒着につながりやすいと推測できます。その後は、上に書いたような状況に陥りますし、局所循環障害と筋の張力の減少は筋紡錘やゴルジ腱器官からの情報入力を難しくすることでしょう。そしてステレオタイプな動きからの改善が難しくなっていくことが予想できるのでは無いかと思います。

それは、さらに姿勢制御にも影響を与えますし、悪循環ですね。

まぁ、ここで取り上げているのは少し緊張が強くなるタイプの方のお話ではあるのです。

いずれにしても、将来的に少しでも良い方向に持って行くためにはどうすれば良いのかを考え、実践するのが、急性期や回復期の課題なのかも知れないと思ったりします。


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