いんすぴゼミはお茶の水女子大学で神経科学を研究されておられる毛内拡先生が、神経科学に関係のある本を読んでいくという企画です。
コロナ以前は輪読という形をとっていたようですが、現在はZOOMやその他のSNSでオンライン形式で毛内先生の朗読と、読みながら思ったことを話されるという形で進行しています。
今回は「脳にはバグがひそんでいる」という本を読んでいます。
今、読んでいるところは記憶関連のところです。
記憶の固定って、凄く強固なイメージがありますよね。忘れない記憶とか。
定着してしまった記憶はもう変えようがなさそうな。だけど、記憶の固定(定着)って言うのはタンパク質の合成によるのです。脳で行われる記憶と検索の作業は独立した過程ではなくて、密接に関連し合っているので、記憶と検索に行われる情報処理時にタンパク質の合成が起こり、常にアップデートされていく流動的なものが人の記憶の特徴のようです。つまり、余り固定的なものではないのですね。
先生は本を読みながら子供の頃の記憶という話を少しされておられました。
子供の頃の記憶には、自分が入っていることがあるというお話なのですけれど。
確かに、私が子供の頃に家族旅行での思い出は、宇高連絡船というおおきなフェリーの上で、デッキにある売店でうどんを食べている、当時お気に入りだったオーバーオールを着てどんぶりをかかえた私の後ろ姿が思い浮かんだりするのですが、それはおかしいですよね。私の記憶であれば、讃岐うどんのアップか売店が思い浮かぶはずなんです。帰ったときまではきっとうどんが美味しかったという記憶はうどんのアップの視覚的な記憶とともにあったはずなのです。おそらく、先生の言われるように家族が撮った写真を旅の記憶としてアップデートしている様ですね。
あ、今昔の写真を確認したら後ろ姿でさえ無かったです。横向きで誰かに話しかけられていますね。アップデートしながらさらに変化している様子。何で後ろ姿の記憶があるんだろう?記憶なんて曖昧で儚いものですね。
憶えておきたいことは忘れていき、忘れたいことはいつまでも記憶に残っていたり。
記憶って自由に書き換えることや削除することが難しいんですね。脳が勝手に書き換えたり削除したりしてる。(^_^;)
今、私がうどん好きであるのは、楽しかった旅の記憶とうどんの味が強烈に結びついているせいかもしれません
そもそも認知そのものも人が思っているほど正確なものではない事は神経生理学的にも解っているわけです。
記憶も常にアップデートしているので、正確な記憶自体が難しいことだと推測できます。
アップデートするのは、記憶の容量を維持しつつ変化する環境に対して常に記憶事態を変化させることで適応するためなのかも知れません。
なんだかBody Schemaの特徴に似ていますね。
そもそも脳自体、変化するものに適応するための基本構造として常に情報処理を変化させていくような基本的な性質を持っているのかも知れないですね。
考えてみればリハビリテーションにおける運動の再学習というのはそう言った神経的な基盤に基づいている訳ですから。
なんだか面白いですね。
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