
どんどん話は進んで、記憶から認知や行動のバグへ。
幻肢へと話題が移っていきます。
ちょっと認知や運動機能に関わるリハビリテーションで取り扱われる話題に近くなっていますね。
ホムンクルスの話が出ています。感覚野のホムンクルスは「地形学的」と表現されています。ホムンクルスの図は一枚だけでは無くて、触覚や振動覚などの各感覚カテゴリーごとに数枚の地図が隣り合うように存在しているとのこと。学生時代にならったのかもしれないけれど、忘れていたか知らなかった情報です。
感覚刺激を入力する際に触覚刺激や運動覚を用いることは多いのですが、最も入りやすい感覚を用いてホムンクルスを再構築する手法があってもいいのかもしれません。
その領域の分配に関して、能の可塑性に基づいた分配が個人個人でおこなわれているという表現でかいてありました。
人によって領域が違うのは知っていました。例えばピアニストの手の感覚領域と私の手の感覚領域を比較したらおそらくピアニストの手の感覚領域の方が広いであろうと想像できます。これを私たちはフェノタイプと呼んでいるのですが、そのメカニズムをわかりやすい表現でかいてあります。是非本を手に取って読んで頂けると楽しめるのではないかと思います。
あと、ショッキングなことが・・・
幻肢感覚と身体意識を考察していくなかで、幻肢が錯覚なのでは無くて、そもそも私たちの手足に付いている感覚その物が錯覚なのだと。
確かに、感覚を受容しているのは脳の中で、それを身体図式に当てはめて島葉と言われるところなども動員して「あたかも」感覚を触れられた場所で感じているかのような情報処理をしているわけですから錯覚といえば錯覚ですね。
衝撃的な表現ですけれど、ポジティブにとらえると錯覚であるからこそ変容する可能性が在るとも言えます。
脳卒中などでは身体図式が崩れているが為に姿勢やバランスが崩れている人が多くて、そう言った人に垂直軸を伴う身体図式を再構築していくことと、それに伴って外的環境の知覚を改善することや失われた手足の図式を再構築して操作性を上げることなどを考えるのですが、その背景には身体図式が変わりうるという脳生理学的な論理を基盤においてアプローチをしているわけです。
錯覚としてとらえると、アプローチも展開しやすいですね。
ここまで書いていてふと思い出しました。
錯覚を積極的に使った手法があります。ミラーセラピーといわれるものです。
う〜ん。錯覚しているのは対象者さんの脳なのか私たちの脳なのか・・・
ちょっと混乱しますね。
能の可塑性は、セルアセンブリ、ヘッブの法則などで話されることが多いですが、それだけでは無くグリア細胞や神経細胞外成分の働きも大きく関与していることは間違いありません。
脳の可塑性、リハビリテーションの効果を考える上でとても大切な事なのではありますけれど、まだまだ解らないことが多いです。
ただ、今後のリハビリテーションでは神経回路網の話だけでは無く、伝達物質やグリア細胞。また細胞外成分に配慮したアプローチ法、その頻度にスポットが当たってくることと思っています。
(*^_^*)
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