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2022いんすぴゼミ1回目

執筆者の写真: Nagashima KazuhiroNagashima Kazuhiro

いんすぴゼミが始まりました。昨年度も楽しみにしていたシリーズです。様々な論点に触れることが出来て、意識と言われるものに対する理解が深まったように思いました。

今年はブオノマーノ先生の「脳にはバグが潜んでいる」と言う本。

関係ないですが、著者紹介を見ていて気付いたのですがブオノマーノ先生と私は同い年なんですね。同じ年数を生きてきたのに・・・(^_^;)


さて、昨年度から参加させて頂いている「いんすぴゼミ」。

もともと、私は臨床場面で随意運動って一体何だろうと考えていたのです。随意というからには意識の介入があるはずなのですが、随意運動のなかには少なからず無意識下による制御が入っているんですよね。むしろ、無意識による随意運動の方が多い気がしていました。

例えば、ボールが顔にめがけて飛んできたときなどは無意識下に手でボールをキャッチする或いは払い落とすか、体をねじって避けたりするわけです。これを意識してボールがこの軌道で飛んでくるからこのタイミングで手をこんな風に動かしてなどと認知−情報処理−運動出力選択とすべて意識下でおこなおうとしたら、手や体を動かすのはボールが顔面に当たってからになるかもしれません。

無意識下とはいっても、手でボールをキャッチしたり払い落としたり、体をねじって避けたりする運動は随意運動として分類されます。

そこで、関心が「意識」と「無意識」とはなにかというところにフォーカスされていったのです。

この時期、毛内拡先生の「脳を司る「脳」」という本を読みました。そこにはアストロサイトの働きや脳の神経細胞外成分のもつ、情報伝達能力やシナプスの情報伝達効率に対する働きのことが書いてありました。

私にとって、とっても面白く刺激的な内容で意識とか無意識などの情報処理がシナプスの働きによる物だけではない可能性を感じました。

そこで、毛内先生のサイトを探してみるとお茶の水女子大の毛内研究室というホームページがあって、そこにいんすぴゼミの紹介が書いてあります。誰でも参加できると書いてあったのですが、さすがにそこの大学生の生徒向けに毛内先生のゼミを受講していない人でもいんすぴゼミは受講できるといったぐらいの意味だろうと思っていたのです。しかし、取り上げられている本がガザニガの「人間とはなにか」という本で、ちょっと調べてみたら意識と無意識について興味深い知識を得ることが出来そうな本である事に気が付いて本を購入したのです。

当然の流れとして、「いんすぴゼミ」に参加できるものならば参加してみたいという欲求が生まれてきました。そこで、参加登録をして見たらあとは毛内先生がダメかどうかを判断されることだろうと思って思い切って参加登録をさせて頂いたところ、快くかどうかは解りませんが、参加させて頂く運びとなりました。

おかげさまで、意識にまつわる仮説として私自身飲み込みやすい考え方にたどり着くことが出来ました。


同時に感じたのが、意識と脳とか、そう言った物を二元論的に分けるべきではないのではないかという事です。

臨床場面で、「この人は甘えただから(甘えたがり)すぐ人に頼って自立しない」とか、「この人はやる気が無いからリハビリにならない。」或いは「リハビリが上手くいかないのは高次脳機能の性ではないか。」といった表現を耳にすると、いいようのない気持ちにさせられていたのです。

これは、心理的側面や認知的側面を運動機能に関わる情報処理と分けて考えている様子を見て。私自身がモヤモヤした気持ちになっていたわけです。

当時私の理解では、脳の情報処理から考えると心理的側面も認知的側面も運動機能出力も同じ事を異なった表現にしているだけであって、そういった事がリハビリが進まない原因とはならないと考えていたのです。生意気ですね。

ただ、「人間とはなにか」という本の中には人がこの二元論の考え方になってしまい安い原因と思われることや、人を二元論でとらえることに対する問題点のようなことも書いてあり、ずいぶんと納得した気持ちになりました。


ちょっと前にも、とあるグループで心理学的な分析の仕方と脳生理的な分析の仕方の話題が

上ったのですが、そのディスカッションに参加させて頂いていて私が感じることはやはり同じです。意識と脳という比較と言葉は変わりますが、意識と脳を分けるべきではないと感じるのと同じように心理学と神経生理学を分けるべきでは無いと思ったのです。

例えばもともと歴史的にみれば人が外的環境を知るためにどのようなことが必要かということを哲学者のアリストテレスが考え抜いて五感という考え方を作り出しました。ここで分類された感覚と言われる情報は、現在の脳生理学を支えるひとつの考え方として定着しています。哲学と言われる物でさえ脳科学と強い接点を持つわけですから、心理学を脳生理学とか脳科学と言われる物と別物であるという考え方は私にとって違和感があるものなのです。


そう言ったいろいろな経験をしてきて、リハビリテーションの分野からみた行動の分析や脳科学だけではなくてもっといろいろな脳に関わる視点を知りたくなってきました。


そして、今回の「いんすぴゼミ」も非常に楽しみにしていたのです。

さっそく毛内先生のコメントで面白いと思うことをお聞きできました。

欧米では心理学は脳科学と一緒に研究されているようです。やはり心理学と脳科学を別々な物ではないとする立場の人たちは一定数おられることが解ります。

本の内容は楽しそうです。脳とコンピューターでは得意とする種類の計算がまったく違うそうですよ。脳の長所として考えられているのはパターン認識という情報処理にあるようです。

ここに潜んでいるバグとして、「マガーク効果」というのが紹介されています。Youtubeに動画があったので、リンクをしてあります。

面白いですね。



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