頭のなかをのぞいてみて感じること



「頭のなかには何がある?脳を巡る15の疑問」

と言う本の紹介です。

ピエルドメニコ・バッカラリオ/フェでリーコ・タッディアさん達が書かれたものを、毛内拡先生が日本語版監修、有北雅彦さんが訳された本です。

この本は題にも書かれているように15の疑問に対して答えていく形で構成されています。

1.考えるってどんな仕組み?

2.脳の中では何が起こってる?

3.私と頭、どっちがご主人?

4.脳は世界をどうやって感じる?

5.脳の中での役割分担って?

6.他人の考えを理解するには?

7.記憶って何だろう?

8.恐怖と付き合う方法は?

9.アイデアどこからやってくる?

10.なぜ、眠らないといけないの?

11.知能は測定できる?

12.脳は学ぶのが好き?

13.脳をだますことは出来る?

14.脳も病気になるの?

15.AIは脳を超えられる?

素朴な疑問ですよね。

答えのある疑問も答えのない疑問もあります。

だけど、この15の疑問を読み終えると、脳の働きを俯瞰できるようです。

ピエルドメニコ・バッカラリオさんは児童文学作家だそうです。ですので、この本自体は専門書的な物ではありません。本当に素朴に疑問について考えているといった印象の本ですが、それでも比較的新しい情報のミラーニューロンであるとか意識の事とかが書いてあります。専門書的ではないというメリットがあって、それらのことが理解しやすい表現でなんのためにどのように働いているのかということが書いてあったりします。

研究だとなかなかそうはいかないですよね。一つ一つに実験的な裏付けが必要ですから。

そう言ったメリットの中で、一貫している感じがするのは、頭の中(脳)のすべての情報処理はすべてが関連しているという立場ではないかと感じます。

意外に思われるかもしれませんが、私たちの仕事、リハビリテーションの中では忘れがちなんです。頭のなかの情報処理はすべてが関連している事って。

以前勤めていた病院で、Dr、Ns、PT、OT、STなどの職域の人たちとよく話をしていました。

また、アプローチの場面も目に入ってきます。

どうかな?という言葉も耳に入ります。「頑張らないと良くならないよ‼」と叱りつけていたり、「あの患者さんは意欲がない」などなど。

頑張れないのも、意欲をつくるのも頭の中、脳の働きです。脳の損傷があれば頑張るというメカニズムや意欲のメカニズムも影響を受けているのは当然です。

手足のケガであっても、痛みや動かないという情報は脳に伝わりますので、そう言った頭の中の情報処理に影響を与えて様々な表出が出てくるのも当たり前なんですよね。

私自身も、ふと気付くと「意欲がないなぁ」と感じてしまったり「あの人頑張ってくれないなぁ」と思ってしまったりしていることがあります。そう言った自分の思考に気付いた時はその理由をせっせと探し回るのですけれど。

この本の中には、こういった直感的な理解の仕方の必要性や危険性、そして直感的な理解の持つ危険性をどのようにしていけば良いのかといったことも書いてあったりします。

私がこの本で、一番気に入ったお話しは14つめの疑問、脳も病気になるの?に書いてあるストレスによる不調の部分だったりします。

急に病気になって障害を持たれた人たちは大きなストレスにさらされています。

住む場所が一時的といっても家から病院に変わることは生物としても大きなストレスになります。家というのは安全な場所ですから、そこを出るということは生物としては危険なんだと思うんです。ほら、家に帰るとほっとしたりするでしょ?

また、一人で住んでいたり家族と住んでいたりしていたのに、見知らぬ人ばかりの人の中で寝たり食事を取ったりするんです。考えただけでストレスを感じる人もいるんじゃないでしょうか?

そして、極めつけに病気です。痛かったり動きにくかったり。

痛みなどは生存に関わる問題を知覚することになりますし、動けないということは逃げることが出来ないということですので、動物としても大きな不安を感じることになるのでは無いかと思ったりするのです。

そんなストレスによる不調から逃げ出す方法が紹介されています。


・ゆっくり休む時間をつくること

・食事の量や質を整えて栄養バランスを考える事

・効果抜群なのは、日々の小さな安らぎを積み重ねること

退院や転院までの時間におわれたり、生活動作をいち早く自立させて病院の評価を上げると言ったことのために忘れがちなことのような気がしませんか?

ざっと読むのであれば1~2時間で読むことが出来ると思います。たったそれだけの時間で脳を俯瞰して大切な事を思い出すことが出来たのであれば、この本を読む価値は充分にあるんだと思うんです。コラムも面白いですよ。


最後に日本版監修者の後書きとして、毛内先生のお話がすこし載ってます。この本ではシナプスでの情報処理(有線接続)が主に扱われていますが、毛内先生の研究は細胞外成分の働きやそれらによる情報伝達、wifiの様な情報処理の部分にスポットを当てられているようです。

興味があれば、毛内研究室のホームページを覗いてみてください。


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