とある認知症の方。
昔クロスワードパズルを好んでしておられたので、クロスワードパズルの本をお渡ししてみたのです。
そしたら、電子辞書をお使いになられるのですね。
電子辞書でクロスワードパズル・・・ま、いっか。
で、その電子辞書。わりと頻繁に電池が無くなったと言われて電池を交換するのですが、ハタと気が付いたのです。
居室が暗いのです。
目は年齢相応に悪いわけです。
電子辞書はバックライトをつけないと読みにくいのです。
バックライトのボタンが少しわかりづらいのですね。ボタンの下に小さく書いてありますが、目が悪いし、部屋は暗いのでそんなもの見えやしないわけです。
そうすると電池が切れたと判断されるわけですね。
と、仮説を立ててみました。
今日、電池を入れてもつかない、壊れたと。そう仰るわけです。
見てみると、プラスとマイナスが逆に入っています。
ここで、少し試してみることにしました。
電池を正しく入れて、電源を入れるとバックライトはついていませんが起動しています。
見て確認してもらって、電池が逆であったことをお話をしました。
で、しばらくすると、またつかなくなったと言われています。
で、見てみると、また電池を逆に入れなおしておられるわけですね。
そりゃ動かんわ。
今度は、電池を入れ直してバックライトをつけておきます。つけ方も一応説明して、そのボタンの上に目印をつけておきました。
すると、時間がたっても壊れたと言われません。
たぶん、あのバックライトのボタンにちょっと触れたりなんかして消えると対応できないのでしょうね。
そもそも、部屋は暗いわ,目は悪いわでボタンの下の小さな文字など見えないし。
だけどですね。
電池を入れ替えるという様な行為は行われているのが驚くのです。
それは、彼女にとって使えなくなった電子辞書を再び使うため、その問題を解決をするための行動選択を起こしているという事が凄いと思うのですね。
おそらく、記憶と行動の結びつき〜海馬から基底核の出力は、海馬の機能低下によって正しい情報出力が起きないので、その情報に基づいた基底核ループによる行動選択、適切な行動は出ていませんが、それでも電池を入れ替えると改善するといった記憶が海馬から出力され、それに伴って電池蓋を外して電池を入れ替えてみるといった行動選択が高次運動野と基底核ループでは起きているのだろうと考えられます。
まだ、新皮質と基底核のループは正しく働いている様子ですね。
機能が低下しているのは海馬で、海馬から基底核への情報出力が誤っているのです。
新皮質と基底核の情報のやり取りが崩れてくると、かなり行動がおかしく見えるはずなのですが、現状ではまだ、その情報処理の過程を推測することが出来る程度の認知症なのですね。
海馬が機能的になれば良いのだろうと思いますが、認知症で海馬の働きを改善させるってちょっと難しそう。
ホントはもっと歩いて欲しいのではあります。
歩行は前頭葉に対する情報処理を促します。そこには、前頭前野にあるワーキングメモリーの機能を活性化させることができるはずなのです。
前頭前野は、海馬とも双方向性に接続されているので、海馬の機能維持には役立つはずなんです。
歩いて欲しいなぁ・・・
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