日本の皆保険制度というのは、国民から保険料を集めて財源として、それを必要な医療に分担するという形で、国民が少ない負担で医療を受けることができるような仕組みを目指して作られているものです。
年齢によって、負担率は差があるのですが、義務教育修学後から69歳までは3割負担とされています。
この場合、医療にかかる費用の7割は保険制度が出し、3割ほどを自費で払うことになっているのです。
少子高齢化、人口減少、高度医療の高額化などや、この間の新型コロナ関連の支出などもあるでしょうが、収入の減少と支出の増加が起きているのでは無いかと思います。
財源は限られているので節約する必要性がありますよね。
ところで、この医療費というのはどのようになっているのかというと、これも厚生労働省などが医療費を決定しています。
これを保険点数と云います。
1点が10円ですね。
たとえば、脳血管疾患等リハビリテーションを受けたとします。
リハビリテーション料区分1だと1単位(20分)245点です。1時間リハビリテーションを受けたら3単位ですから、735点で7350円となります。
この点数というのは、厚生労働省が決定しているわけですね。
さて、はじめに書いた様に医療にに関わる財源は、国民から集めた保険料でまかなっているわけですから、節約しないと無くなったら困るわけです。
すると、節約する方法を検討しなければなりませんよね。
家計と同じです。収入を増やし、出費を抑えなければならないのです。
収入を増やすと云っても難しいところがあります。保険料を上げると云ったら国民が猛反対することでしょう。
だって、今は国民も生活が苦しくなっているところではあるわけですから。
すると、支出を減らすことが最も簡単かもしれませんね。
なんと言っても、支払う基準となる医療の枠組みと価格の設定は厚生労働省が行っているわけです。
ところがですね。
闇雲に下げようとすると、医療を行っている側からもいろいろと言われちゃうわけです。
作戦が必要ですよね。
ということで、まず、医療を細分化していきます。
お医者さんで云ったら、○○科とかいった分化を促すわけです。
一つ一つの集団が小さくなれば、どれか一つの価格を下げると、全体で反対が起きると言うより、その中の一部が反対しているという形になりますので、価格を安く抑えやすくなるのですね。
ただ、細分化して行くにも、理屈が必要ですので、専門性を高めると云った説明がなされたりするわけです。
リハビリテーション医療の世界では、はじめの時期は、理学療法、作業療法が作られていました。言語療法が設定されたのはその後になります。最初の時期は、複雑(40分)は個別対応で、簡単(15分)は集団でも請求が可能でした。
これは、海外のリハビリテーションの在り方を参考に作られたのですが、海外で行われていた60分程度の時間を作るには、日本にはPTやOTのマンパワーが少なかったこともあり、通常のリハビリテーションは複雑40分という設定で、さらにそれでも患者さんに対してセラピストが少ないと云うことで、簡単15分でも大人数を対象に行えるようにすることで安く広くリハビリテーションを受けることができるように配慮されたものであったようです。
その後、点数は徐々に下げられることになったのですが、PTやOT、STも増えてきたこともあって、それぞれの領域を、疾患別に細分化し、運動器、脳卒中等、心大血管、呼吸器などに分類し、さらに最近では廃用性症候群なども加わってきていますでしょうか。
それらが、施設基準1,2,3でさらに分けられています。
病気によって、急性期には加算を入れたり、回復期リハビリテーション病棟を作って、それらにも病棟入院料やそのほかの細分化を図っておられるようです。
あ、そういえば算定日数という、疾患別にリハビリテーションを算定できる日数の上限も決められてますね。
複雑になってますねぇ。(^_^;)
これらを、部分的に下げていったりするわけです。
それだけでは無くて、部分的には増やしてみたりもしますが、全体としてみれば安くしていくのです。
今年話題になった運動器6単位問題などは、まぁ、今回は運動器をターゲットに医療費を抑制しに来たのだと思うのです。
すると、運動器に関わるスタッフは文句も言うでしょうけれど、全体としてみれば、まぁ、小さな反対だと云うことになるでしょうね。
こうやって、徐々に医療費を減らしていくわけです。
算定日数を減らしたりもできそうですよね。
ここに、平成30年度にどの様な点数であったかとか、平成28年にどの様な変更が在ったのかという事の図があったので乗っけときますね。
最終的にリハビリテーション医療をどのようにしていこうとしているのだろうと思うのですが、おそらく、丸めでしょう。
一定の基準を満たす施設に何人か以上のセラピストがいたら○○点みたいな形。今の看護料に近い形かもしれませんね。
7:1看護みたいに、7:1リハビリテーション料とか。患者7人あたりに1人のセラピスト。理学療法と作業療法の区別を無くしたあたり、可能性としてはあり得そうですよね。
いずれにしても個別算定は無くしたいと考えているのでは無いかと思うのですよ。
何より安くできますし、価格のコントロールも格段にしやすくなります。細分化した分野のどこからそれを導入するかまではわかりませんが、とりあえず手がつけやすいのは廃用あたりでしょうかね。それをきっかけに次々とといった手法になるような気がします。
今のリハビリテーション医療の方向性に乗って、収益を調整していくように施設内でリハビリテーションの形を作っていくと云うことは、結局、そういった国の求める方向をみんなで目指していると云うことになるのかもしれませんね。
将来的にリハビリテーションの個別アプローチを残すための一番有力な方法は、自由診療の導入だと思っています。
つまり、私のところのような保険外(自費)リハビリテーション施設を病院の中に併設してしまうことです。
今の制度では難しいところもありますが、将来的にはそう言ったことも可能性の一つとしてみておくと良いのかもしれません。
ま、私の様な立場でリハビリを提供している人にはまったくもって関係の無い話ではありますけれど。
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