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執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

脳卒中片麻痺の代償的な足底接地

足底接地、大事ですよね。

尖足、背屈制限がある方の姿勢は、だいたいこんな感じになられることが多いかもしれませんね。

ちょっと骨盤を後ろに引いて、荷重は非麻痺側メインで、重心の制御も非麻痺側下肢でなんとかしようとする感じでしょうか。

こういった方に足の裏を床につけてもらおうとすると、こんな姿勢をよくとられますよね。


なんとか足の裏の接触面を増やす感じにはなりますが、大きく麻痺側の骨盤を後ろに引いて、体幹を捻るようにしながら膝は過伸展になったり。

本人の脳は、こういった代償でも、足底が接地したという情報を得てしまうわけです。

それで、周囲のセラピストが、足の裏が付いたことを褒めたりなんかして、報酬系を働かせて学習を強化したりなんかして。

ここから歩行に持ち込もうとすれば、当然ですか、構築学的にも麻痺側の下肢で体重を支えることは困難ですよね。中枢神経系の情報処理を考えても、荷重をかけた感覚が、足底にあったとしても、膝、股関節、体幹に荷重感覚がつながらないので、抗重力的な伸展活動には繋がり難いと考えられますし、麻痺側の下部体幹前面は開いちゃう訳で、コアスタビリティを構築できない、あるいは橋網様体脊髄路、延髄網様体脊髄路といった経路が立位、歩行に対する出力調整を行えていないのは姿勢を見れば明らかだと言えるでしょう。この状態で歩けば、非麻痺側下肢でのケンケンのような歩き方になっちゃうことなんてすぐ予測できそうなものです。


そんなことに気がつかないなんて…

あぁ、それは昔の私…(^^;


目的を見失って、手段が目的化したのでしょうね。


ドラゴンクエストで、魔王を倒すのが目的になってしまったような。

本来は魔王を倒すことで、世界の平和が戻ってくるのが目的なんですけどね。

そんな感じ。

あ、わかり難い例えで申し訳ない。


本来は足底を接地させて、足底の感覚入力から麻痺側の抗重力伸展活動を刺激し、立位でのバランスや歩行に対して、麻痺側下肢をきちんと使っていただくようにして、立位での安定性や歩行をもっと楽にするためという目的があって、その手段の一つとして足底接地が大切だというお話のはずなのですが、その思考の流れの中で、足底を接地させること自体が重要になっちゃったりしたのでしょうね。


その結果、足底を床につけるために重心を下げるといった、目的とは全く逆の姿勢制御を選択して使って足をつけちゃったりしているのを、足底接地が出来たといって喜んでみたりして。


あぁ、書いていて心が痛い(^^;


これ、学習されてしまうと、結構取り難い姿勢〜運動制御なんです。

まず、下肢の身体図式を脳の中で組み替えるような情報処理が必要だと思います。

写真で言えば、下肢を動かすのではなくて、骨盤の位置を変化させ、足の環境に対する位置関係を変化させて足底を接地させている訳ですから、下肢の身体図式は棒のようなものなのだろうなと推測できますよね。

この棒のような下肢という身体図式を、足関節も膝関節も股関節もあって、それぞれが姿勢を変化させるのに有用なパーツであるといった情報を脳に送り届ける必要がある訳です。


そのため、最初は視覚や表在感覚と固有受容感覚を統合していただく必要があるように思います。その上で、前庭感覚などの重心の変化と組み合わせていくような感じでしょうか。

前庭感覚が必要な場面は重心が高くなるので、怖さといった辺縁系の出力が大きくなるでしょうし、そういった意味ではプラットホーム上などで安定した姿勢でアプローチするのがいいのかもしれません。

中枢神経系のことを考えてみても、各種感覚は頭頂間溝野で統合され、それらの情報が前庭皮質や運動前野、補足運動野に運ばれて姿勢運動出力を基底核ループの中で無意識下に選択されることを考えれば、プラットホームでのアプローチと座位や立位のアプローチの組み合わせは有効であるように思います。





頭頂間溝野に関する情報の動画を貼り付けておきます。

身体図式を作る上で、頭頂間溝野の働きは大切だと思うのです。

中には間違いもあるかもしれないので、どうぞご自身でも調べてみてくださいね。




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