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執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

筋力と筋紡錘

更新日:2023年10月25日

私、筋力というと皮質の興奮性、α運動ニューロンの出力、筋繊維の応答性、筋繊維の数、筋繊維を包む筋内膜・周膜・外膜の滑り(摩擦)、関節の滑り(摩擦や可動性)、中枢部の安定性、相反神経支配などなどの要素を思い浮かべていたのです。


だけど、ふと、筋紡錘の働きって筋出力に影響するんじゃないかなぁと思ったしだいなのですね。

ここまでは本当に思いつき。筋周膜から筋紡錘をすべて取り省いたら筋力って低下しそうですよね。なんとなく。(^_^;)

で、筋紡錘の働きが筋出力に影響を与えている様な気がするので、どの様な理屈で筋紡錘が筋力に影響を与えていると思ったのだろうとちょっとだけ考えてみたのです。

筋紡錘というと、固有受容感覚の重要な要素のひとつ、身体図式に関わっているので・・・

いや、それでも筋力は低下するだろうと思うのですが、そういった方面の出力低下だけで無い気がしたから、今気になったのだろうと思うのですね。


で、しばらく思考の海にこもってみた結果。


例えば上腕二頭筋の収縮による収縮で考えてみます。

上腕二頭筋の収縮は、起始部である関節上結節(長頭)、烏口突起(短頭)と停止部の橈骨結節と前腕の筋膜の位置を近づける様な動きを作ります。肩甲骨に充分な安定性があれば、肘の屈曲が起きるわけですね。


(図はWikipediaから引用し、矢印を加えています)


この時、肘に伸展側の抵抗があって、肘の屈曲が制限されたりすると・・・いや、そういった制限が無くても、相反神経支配によって筋肉の収縮力は、最大でもおおよそ主動作筋が54%、拮抗筋が46%ぐらいの比率で収縮しているので、伸展側の抵抗は存在していることになるのです。

するとですね、二頭筋自体にとっては、肘を伸展させる側の力が働いていることになりますよね。



上腕二頭筋は収縮して肘を曲げようとするのですが、同時に引っ張られているという事になります。ということは筋には張力が発生し、筋周膜は常に起始と停止部方向に引っ張られていることになります。

筋周膜内にある筋紡錘は常に興奮状態になるであろうと推測するのです。


筋紡錘の興奮は、γループによって結果的に上腕二頭筋の収縮を促す様な出力を促通することになるはずですよね。


って事は、筋紡錘が筋出力の向上に関わっているという事ができそうです。

それは、γ運動ニューロンの出力が筋出力に関わっているという事になります。

中枢からγ運動ニューロンの調整をしている部位として思いつくのは、網様体脊髄路ですよね。


つまり、網様体脊髄路の出力が落ちれば、α運動ニューロンが障害を受けていなくても筋出力が低下してしまうと言う理屈になりそうな気がするのです。


理屈では正しそうな気がします。

ただ、筋紡錘を筋周膜からすべて取りはぶいて筋出力の状態を確認する様な実験は私の知るかぎりないのです。

ですので、正しいかどうかは科学的な実験による裏付けはないですし、なんかそんな実験できそうな気もしませんけれど・・・


たぶんあってると思うんだけどなぁ・・・


まぁ、これがそうだとすると、結局片麻痺の筋出力の促通を考えた場合、筋自体に刺激を入れて行くテクニックの重要性を示すことにはなると思うのですね。



2023/10/25追記

SNSで、とある論文が紹介されていました。

Both Corticospinal and Reticulospinal Tracts Control Force of Contraction


どうやら、皮質脊髄路は細かな動きの制御をしていて、網様体脊髄路が大雑把な力を制御しているという様なニュアンスのようです。

だいたい予想していた通りかと思うのです。

ただ、こんな実験方法があったとは・・・。

研究者の執念を感じますね。

(*^_^*)



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