top of page
執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

筋力とフリクションロス

筋力の話題がでるといつもフリクションロスの事を考えてしまいます。

フリクション(摩擦)によるロス(損失)。

車やバイクのエンジンや駆動系を弄ったり考えたりしたことのある人なら、きっとピンと来られることと思います。というか、筋出力とフリクションロスの事をすでに考えておられる方も多いのではないでしょうか。


エンジン関連の動画ですが、フリクションロスと馬力(力)についての動画を見つけたので貼っておきます。




筋は、筋繊維を筋内膜が包み、インテグリンによって筋繊維と筋内膜が接続されているので、筋繊維の収縮は筋内膜〜筋周膜と膜の張力を伝達し、その張力が腱組織となった膜に伝達され、関節を動かすわけです。


左の写真が、筋繊維を抜いた筋内膜の構造です。蜂の巣のようですよね。

右の図が、筋繊維を筋内膜と接続しているとされるインテグリンの説明。


こちらの図が、筋膜が腱組織になっているところの模式図です。

右では、骨に接続されている様子が書いてあります。


これが膠原原繊維。

繊維が膜状になると筋膜と呼ばれ、腱となり骨膜となるわけです。この繊維がそれぞれの筋肉や臓器や血管、神経などのの位置を支え、滑りを起こし、移動を可能にしているのです。


そして、膜同士の滑り。筋肉と骨の滑り。筋肉同士の滑り。筋肉と血管や神経などとの滑り。筋肉と皮膚の滑り。関節の滑り。全ての滑る部分には摩擦が存在しているわけです。

そこには摩擦抵抗が生じているわけで、力の損失は生まれているのです。そして、軟部組織の性状によってその摩擦抵抗は変化するのです。

そして、軟部組織の動きが悪ければフリクションロスは強くなり、結果的に筋出力を低下させることになります。

ま、筋力増強といっても、筋繊維を増やすといった要素を考えるだけでは足りないということがわかりますよね。

筋力って、一体なんなんでしょうね?

フリクションロスは、筋力を考える要素の一つにしか過ぎません。

筋力という現象が持つ要素は様々で人に理解できるものではないのです。

物理学で明確に理解するためには、不明なところが多すぎるのです。


私たち医療職〜私は厳密にいえば保険外で仕事をさせていただいているので、医療職といえないのではありますけれど。

あえて、ここでは医療職という言葉を使わせていただきます。

私たち医療職は、「人」という訳のわからないものを診させていただいているという「覚悟」が必要なのだと思うのです。

いくら数値化されてわかったような気分になっても。臨床でいくら改善をして自分の仮説が正しいように思えたとしても。

それは必ず何かを見落としているはずなのです。

そして、それは、中枢神経系でも、筋骨格系でも同様なのです。


いささか、哲学的なお話の印象を持たれるかもしれませんけれど。

だけど、医療に携わり、リハビリテーションに携わっている以上、「人」という訳のわからないものを。なんとか少しでもいい状態にしたいと願う以上、必要な覚悟ではないのかと。

そう思うのですよ。

そこには。

いや、そこは、どのような主義、手技であるとか、そういったことは全く関係ないのです。

だから、わかった気にならず。

少しでもいい方法を探し続けること。それがとっても大切なのだと、そう考えているのです。


これは、以前、筋力というメジャーで人の障害を測ることができるけれど、中枢神経系は解らないではないかと質問を受けた時。その時は、いろいろな事情でお話をすることができなかったのですが。

未熟かもしれませんけれど。これが私が持っていた答えです。

筋力にしろ、中枢神経系にしろ、明確にわかることはないのです。

だから、理解しようとする姿勢と、仮説、検証といった医療の基本に立ち戻って物事を考えることが大事だと。

そう思うのです。

それが、その時伝えることができなかった、私の回答なのです。

未熟で、不十分なものなのだろうとは思いますが。

これが私の答えです。

だから、学び、仮説を立て、アプローチをして検証をすると言ったプロセスを大切にしたいなぁと思っています。

٩( ᐛ )و



閲覧数:53回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page