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執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

筋の硬さって?

一体何だろうなと・・・

片麻痺のヒトでも骨折後の整形疾患のヒトでも硬くなってるんですよね。

私たちは皮膚から触れるわけですから皮膚の下、角皮下層にある脂肪が硬くなってても硬さを感じてしまうので、表層から緩めていって深層の筋にアクセスしていくわけです。

まぁ、脂肪層が硬くなっていると言うことは脂肪を含む原繊維中の微小空間にある脂肪が硬いわけですから原繊維の動きは悪いのでその深層にある深筋膜の滑りも悪くなりますし、その滑りの悪さは原繊維で筋に接続されているので筋も硬いと言えば硬いのだろうと言うことになりますけれど。筋その物の硬さの由来が不思議なんです。

筋はアクチンとミオシンからなる筋繊維からなりますが、筋繊維は筋内膜という袋に入ってます。


筋内膜から筋繊維を取り省くとまるで長細い蜂の巣です。

筋繊維と筋内膜はインテグリンという物質で接続されているので、筋繊維の収縮は筋内膜を引っ張って張力を作るようになっています。

筋内膜はある程度集まると筋周膜に包まれ、筋周膜に包まれたものがある程度集まって筋外膜(筋上膜)に包まれています。



筋周膜の中には筋紡錘と言われる筋の長さの検出器があります。

これらの膜は骨との接合部に近づくと筋繊維が無くなり腱と呼ばれる組織になります。腱は原繊維が膜よりさらに密な状態だと思ってください。



腱の中にはゴルジ腱器官(GTO)と言われる筋の張力の検出器があります。

このGTOと筋紡錘の感覚が協調されていれば筋の長さと張力の関係が維持されることになるのです。



例えばGTOが全く情報を得ることが出来ない状態、例えば腱が切れたりするとGTOは筋紡錘などが筋の長さを短くしていったという情報を脊髄に返しても腱としては張力を感じないわけですからどんどん筋を収縮させるための出力を出してしまいます。

ん〜語弊がありますね。場面によるけれどGTOの感覚が筋出力の抑制につながるのですがその抑制が外れるから、筋収縮が促通される感じでは無いかと理解しています。だから腱が切れると強烈に筋が収縮していますよね。痛みのせいかもしれませんけど。


こういった構造の中を見ると、筋の粘弾性とは、結局、原繊維ネットワークの可動性によってそれぞれの膜組織がスムーズに稼働していることに支えられているといえそうです。

では、その粘弾性がなぜ失われるのか?また、臨床上一つの筋肉の中でも特定の場所に硬さを感じることがあります。それがなぜなのか?

原繊維の動きがある程度コラーゲンの滑りにある以上、筋肉の局所に間質液によるコラーゲン組織の維持に問題がある状況下になれば局所的な硬さにはつながりそうな気がします。

短縮と言われる物も、筋繊維のサルコメア(最小単位)が収縮した状態で伸びなくなっていることやサルコメアの数が減少することなどはよく言われていますが、それは筋内膜を介して他の組織につながっている以上原繊維ネットワークの動きを無視するわけには行かないですよね。

脳卒中などでは痙性と言われる過剰な筋収縮の出力があります。こういったことが循環に影響を与えている可能性はありそうな気がします。

骨折なんかだど、手術中の軟部組織は術野を確保するために通常の状態からさらに広げられる部分があったりします。時間にもよりますが、空気に曝露され、通常より引き延ばされた原繊維はそれなりのダメージが予測されますし、痛みによる過剰な筋収縮や不動、浮腫などによる循環障害などが局所の筋粘弾性を失わせている可能性はあると思います。

そういった事を考えると、局所の粘弾性を回復させるという手技も単純に動かすとかマッサージをするというだけではなんともならない部分もあるとは思ったりするのです。



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