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執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

移動機能と認知機能


認知機能と歩行機能の関連性について初めて聞いたのは久保田競先生の講演に参加したときでした。ずいぶん昔のことになります。

その時お聞きした実験では、大学生を2つのグループにして初めに一定時間に簡単な算数の計算問題が何問解けるかを検査しておきます。

一つのグループはジョギングを毎日続けてもらい、もう一つのグループにはジョギングなどはしないで一定期間過ごしてもらいます。

その後、再度計算問題をしてもらうと、ジョギングをしたグループが優位に成績が向上したという実験結果であったとのことでした。

その時に、身体条件に依るではあろうけれど、この実験結果から言えばショッピングセンターとかで高齢者のヒト向けに入り口の側に駐車スペースがあるところが在るけれど、高齢者であるほど認知機能を維持していただくために遠くに駐車スペースをおくべきなのでは無いかと話をされておられたと記憶しています。


あのときより少し私も知識が増えたので、神経生理学的に何が起きているのかと言うことはなんとなく理解できます。

歩行すると言うことは、橋網様体は運動しないときと比較してAchよりセロトニンが優位になっている状況ですので、走るというのは歩行よりさらにセロトニンが優位になっていることが予想されます。

そして、セロトニンは前脳基底部にも投射されますのでAch広範囲投射系が賦活して脳の情報処理システムは活性化することになります。

毎日そういった状況を脳の中で作り出すことで、Ach広範囲投射系は賦活しやすい状況になると言ったことが起きているのでは無いかと考える事が出来るのです。

その結果、ジョギングをしなかったグループと比較してジョギングをしたグループの方が計算などの検査結果が改善していったと推論することが出来ます。


認知機能は運動機能とともにあるという言い方も出来るでしょう。

ですので論理的に考えれば、できるだけ脳幹網様体が抗重力的に賦活される状態を身体状況に合わせて作り上げていくようにアプローチをすることは、認知機能に対する根本的なアプローチの手段のひとつとして有効であるという事が言えると考えています。


また、移動をすることで視覚の変化や上肢の動きと視覚の協調なども重心移動を含めた「移動」で経験することが出来、それが知覚-認知情報処理に繋がる経験となっていきます。


身体を使うって言うことはとても大切な事だと思うのです。


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