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執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

新型コロナウイルス雑感 その6

新型コロナウイルス感染症に対しては、大規模な疫学調査が必用だと思うのです。

ある一定の地域に絞ってでも、

現在、どの程度の人が感染しているのか?未発症で気づいていない人たちはどの程度おられるのか?

感染者のうち軽症者、重傷者、死亡者の統計的な分布状態はどうか?

経時的な症状の変化〜軽症のまま経過する人、悪化する人、死亡に至る人の分布状態はどうか?

まずはこの程度の情報がないと、現在の怪しいとこだけ検査したり、疑わしい人だけ検査していたのではコロナウイルスの全体像がいつまでたっても見えてこない気がするのです。


ところで、PCR検査(検査はこれだけではないのですがとりあえず)に必用な費用は検査費用18000円+検査判断料1500円の19500円が必用みたいです。

6歳から70歳までの自己負担割合は3割ですから、7割を健康保険で支出します。PCR検査においては自己負担分の3割部分は公費負担だそうです。

健康保険から一人あたり13650円の出費があるのですね。


ここで、ちょっとだけ日本の国民皆保険制度についてかいつまんで説明しておきます。

健康保険というのは国民皆保険を支えている収入源なのですが、少子高齢化や高度医療、それに伴う医療スタッフの増加などで破綻しかけているのは比較的よく知られた事実ではあるのですけれど。

おそらくゲーム理論で言うところのゼロサムゲームに近いのではないかと思います。

収入は限られていて、国民皆保険の持つ財源(財布の中身)は一定量しかないと考えて、それを国民が使う医療費〜お薬や様々な処置に対して保険点数という物をもうけて、1点10円で計算するのですね。例えばリハビリなどは脳血管疾患等リハビリテーション料1というので算定すると20分で245点、つまり2450円を請求します。このうち7割部分の1715円が健康保険から、残りの735円が自己負担となります。(あくまで20分の時ですよ。40分では2倍です)

この制度もどうかと思う点はあるのですが、まぁ、こんな制度なのです。

そして、限られた皆保険制度のお財布の中からこの7割部分が支給されるのです。ですから、医療に関わる様々な分野の中で、これを厚生労働省が振り分けるのですね。お財布が限られているので大変な作業です。関連する部門はそれぞれにやりたいこともあるわけですし、それにかかる費用を確保するために色々必死です。パイの取り合いですね。

端的に言えば医療費は肥大していくのですが、収入は減っているのが現在の状況です。


こんな医療情勢の中でコロナウイルスが蔓延してPCR検査の費用や感染された人たちの治療が行われているわけです。TVで流れている医療崩壊は、人員やベッド数のことが多いのですが、医療経済もダメージは大きい物と推測できます。


だからこそ、計画的に、できるだけ費用を抑えて効率よくコロナウイルスの特性をつかむ必要があって、それはコロナ自体の研究とともに、先に書いた大規模な疫学調査も不可欠だと思うのです。

ルクセンブルグでは、5月に全国民に対してPCR検査を実施しているようです。

しかし、したのか出来なかったのか、やったとすればその結果という情報は僕の調べる限り出てきません。

なぜだか解らないけれど。


さて、先日劇場でクラスターが発生しました。島根でも感染者が出たのですけれど。

みんななりたくてなるわけではないし、うつしたくてうつすわけではない・・・(あ、例外もありますね)ので、責めようと思って書くのではないのですけれど、島根県でこの事に関連して1000件程度のPCR検査をするようですね。

限られたお財布の中から、13650000円が一気になくなるわけです。

もちろん全国的に考えたらこの一件だけで数千万から数億の範囲で健康保険から支出されることになるでしょうね。

このことはすなわち、ほかの医療費を圧迫することや、必用な調査が遅れることを意味するのではないかと危惧しています。


いずれにせよ、医療システムは完全にはなくなりはしないでしょうけれど、崩壊に向かっているのは間違いがなく、国民皆保険制度が必用な制度であるとすれば崩壊を少しでも先延ばしにする努力は必用かもしれないと思います。そういったことを知っておくことはとても大切なのではないかと思うのです。


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