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執筆者の写真Nagashima Kazuhiro

手の動きへのアプローチ


この人、急性期/回復期では上肢〜手へのアプローチは受けておられ無かったそうです。

今年の10月20日に始めてこの事業所に来られたとき三角巾タイプのアームスリングで左手を吊ってきておられて、「動きますか?」と尋ねたら「手は動きません」とはっきり答えられてました。初めは週一で、2週ぐらい経過してから、週二回のご利用です。

最初は亜脱臼もありましたが、現在は大分良くなっておいでです。


握りしめて微動だにしない手。

初めは肩の動きを促通することをしていたのですが、先日来られたときに手をテーブルの上に置いて落とさずに食事がとれるようになったと報告を受けました。


手指の動きを誘導すればさらに左上肢の身体図式が改善することが期待できます。

左手をテーブルに挙げようとする際に、最も先行して出る動きは右手で左手を持つというプロセスでした。これは、左手を挙げようとする際に両側の補足運動野と基底核ループが右手で左手を持つという行動を選択し、運動を実行していることを示しています。

本来なら、右の補足運動野〜基底核ループが左手に対して運動開始のプランを出力していくようになってないといけないと思うのですが、おそらく初期のリハビリでは右手で左手を操作することだけを経験し、それでADLに結びつくことで報酬物質がでて強く学習されてしまったものと推測されます。


で、

まずは物品を出してみて、頭頂連合野や頭頂間溝野の視覚情報から上縦束を介して運動前皮質で左手のリーチや把握などのプログラムが無意識下で生成されることを期待します。


手と物を見てもらいながら前腕の筋群などから固有受容感覚に働きかけ、手指の動きを促通します。左前腕の筋群や手指の動きの固有受容感覚と視覚での手指の動きのフィードバックは手のBodySchemaを頭頂側頭連合野で生成するきっかけになる物と推測できます。

そこからさらに頭頂側頭連合野-上縦束-運動前皮質への情報の流れで運動プログラムが強く想起できるようになると、自発的な動きが出てくる可能性が在ります。

途中で用いている前腕の操作は、そう言ったことを期待して行った物です。

結果、手指の活動は出てきています。


手指の活動は、肩のa-APAsも促通するので、さらに肩のアライメントを正しくするきっかけにもなります。


麻痺手をテーブルの上にのせて落とさずに非麻痺側上肢の活動が出来る。

前腕を支えれば手指で何か持つことや離すことが出来る。


FIMとかいった活動の評価では点数にならない動きや能力です。

だけど、脳機能を考えたとき、脳機能の回復を願うとき。

そんなときにはものすごく大切な事なのです。


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