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感覚情報とハンドリング

執筆者の写真: Nagashima KazuhiroNagashima Kazuhiro

更新日:2023年4月3日

ご存じの通り、感覚というのは感覚受容器、皮膚周辺であればパチニ小体、マイスネル小体、メルケル細胞、ルフィニ終末、毛包受容器などの感覚受容器があるわけです。

以下の図を見てください。各受容器の形が書いてあります。



ちょっと見にくいですが、白い網目構造が見えますでしょうか。編み目の中に各受容器が存在しているように見えますよね。

この網目のような構造は膠原原繊維のネットワーク構造を示しているものです。


この網目構造〜原繊維ネットワークは実はとってもよく動きます。固定的な構造ではなくて、滑ったり伸びたり。くっついているところが離れてみたり、またくっついたり。一本の繊維が枝分かれするように二本になったりと自由に形態を変えます。

この動きについては、以前、このブログに「Fascia」という記事をアップしていて、そこに動画を入れてありますので、興味がある方はどうぞ見てみてくださいね。

URLを貼っておきます。


この構造が、細胞や臓器を「緩やか」に定位しているのです。

この原繊維ネットワーク、原繊維がシート状になると膜と呼ぶのです。元は一緒なんですけど、構造がちょっと変わると名前が変わるのですね。

そして筋肉を包むのは、外側から筋外膜ー筋周膜ー筋内膜と呼ばれ筋組織を包んでいます。

元々変形するのが得意な組織ですから、筋肉もある程度緩やかに包んでいるわけです。ですから筋肉が収縮して形態を変えても、それを包み続けています。しかも、極端に変位しないように定位もし続けているわけです。ですから、それぞれの筋肉はある程度の位置を逸脱すること無く、そういった場所で収縮を強めたり弱めたりする事が出来ているんですね。

筋肉周辺の中の感覚受容器もこういった構造の中に存在しています。筋紡錘は筋周膜の中に存在していますし、腱紡錘(GTO)は内膜、周膜、外膜などが集まって腱組織となった部分に存在しているわけです。

そういった構造を見ると、Fasciaというものは、巨大な感覚ネットワークだという理解も出来そうですね。


一方、脳は感覚情報によって運動出力プログラムを作り、運動プログラム情報が知覚や認知を含む感覚情報処理に影響を与え、さらに運動出力自体が感覚情報の変化を伴うと言った関連性を持っているわけです。


脳の損傷によって、筋出力が低下したり増加したりして、さらにそういった時間が長期化すると膜組織も徐々に伸びたり動きを失ったりして筋肉自体を定位することが困難になってきます。

すると、周膜にある筋紡錘や筋腱移行部に多くある腱紡錘、周辺の原繊維ネットワークにある各種感覚受容器も適正な感覚情報を中枢に送ることは出来なくなりますよね。それぞれ機械受容器ですから。機械的な構造が不適正に変化していれば適正な感覚情報は生成されないわけです。

不適正な感覚情報から中枢で生成される運動プログラムも結果的に不適正なものになっていることは推測できます。

まぁ、あくまで推測ではありますが、まず間違いないと思っています。

そこに介入をせずに運動出力を要求しても、運動プログラムは感覚情報と相互関係を持っているので、適切な運動出力プログラムというのはやはり期待できないですよね。


何を適切とするかという思考の部分に左右される判断ですけれど。

例えば、なにかの動作が出来るとか出来ないといった判断が正解であるというような臨床場面や研究に於いて、動作が来れば出力プログラムが適切であるという判断をするような考え方であれば、こういった上記のようなことは考える必要はあまりないのかも知れません。


それに対して、動作のバリエーションを増やすとか省力化を目指すような臨床場面や研究に於いては、上記な様な情報が大切になってくるのかも知れません。


ちょっと具体的な例を挙げるとすれば、例えばですけれど。

下肢装具をつけても立位がとれればよしといった考え方は、下肢の個々の感覚を利用しなくても、脳は下肢装具という感覚を学習して立位を保持します。その是非ですよね。

装具を否定しているわけでは無いですよ。必用な人、必要な時期には使った方が良い場合も有るのは解っています。ここでは、分かりやすくするための例ですので、ご了承ください。



さて、では、感覚情報を適切にする〜筋肉などの位置や粘弾性、皮膚の状態などの様々な要因に対応しながら感覚情報を適正にして、適正な運動プログラム〜多様性と変化に富んだ動きを引き出す為にどのような手法があるのだろうと考えると、実際に皮膚や筋肉、関節の位置などを修正しながらの運動の誘導と言った事が必要となりそうですよね。

おそらくそれは徒手的にしか介入できないでしょうし、また、どういった感覚が多様性のある運動プログラムを生成できるのかと言った事を考えるためには非損傷脳がどのような感覚情報から姿勢と運動を構築しているのかと言った分析が大事になってきます。そういった事を考えながら、感覚情報を適切にしていく為の徒手的な試みをハンドリングと呼ぶのかも知れません。


あくまで個人的な意見だという事でご理解くださいね。٩( ᐛ )و




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