3月25日に、南草津病院リハビリテーション研修会に参加させていただきました。
最近、二人の子供の卒業や入学が立て込んでいて、空いた土日に数少ない(^^;利用者さんが集注したため、開始には間に合いませんでしたが、40分遅れで入室させていただきました。
良くこの研修会でお顔を拝見させていただいている桂先生に「慢性期の脳卒中患者の筋緊張」というテーマで、とても興味深い講義をしていただき、臨床場面を提示していただきました。
興味深かったのは、筋膜~Fasciaについてもお話をされておられて、ボバース関連の研修会ではほぼはじめて少し踏み込んだFasciaのお話をお聴きしたような気がします。
私の理解ではFasciaは、原繊維がシート状になったところを指す言葉です。皮膚から骨までフラクタル構造の原繊維ネットワークによってつながっていて、その間に存在しているものです。
皮膚の下の角皮下層の中に、浅筋膜があり、その下に深筋膜が存在しています。筋肉組織を包むのが筋外膜。その中に周膜〜内膜と接続されています。周膜の内部には筋紡錘が存在しています。内膜の中に筋繊維が入っているのですが、筋繊維と筋内膜はインテグリンなどによって接着されていて、筋収縮による張力を膜組織(初めは筋内膜)に伝えるようになっています。
筋内膜は筋腱移行部で筋繊維が無くなっていて、内膜、周膜、外膜などの膜組織は内部の構成や成分を変えて腱組織となります。ですので、腱組織もFasiciaといえますし、原繊維ネットワークの一部分を担っているわけです。腱紡錘のコラーゲン組織の絡まりの隙間にGTOが存在していて、張力によって隙間が狭くなると感覚受容器が興奮するような形になっています。
腱組織は骨膜と接続し、筋繊維の張力をFasciaを介して骨に伝達するような構造になっています。
ここでのFasciaの構造から、その働きは、筋肉の形を整え、ある程度の幅を持って維持しつつ筋繊維がつくった張力を伝達するとともに筋周膜にある筋紡錘、筋腱移行部にあるGTOなどの感覚器の働きを調整しながら中枢へと送り返すような働きを持つと考える事が出来ます。
また、表在感覚と言われるものの感覚受容器も原繊維のフラクタル構造の内部に存在していますので、原繊維ネットワークは構造的に感覚入力を支えていると考えて良いのでは無いかと思います。
ボバースコンセプトのハンドリングでは、どのように適正な感覚を入力して中枢に情報処理をしてもらうのかと行った事が課題になる場合が多いとおもいますので、そういった側面からは原繊維ネットワーク〜Fasciaの存在は今後、もっと取り上げられていくような気がしていました。
ですので、今回の講義はとても楽しくお聴きし、勉強をさせていただくことが出来ました。
臨床場面の提示は動画でおこなわれており、とても興味深く見させていただきました。左のMCA、おそらくM3かM4あたりの脳梗塞で運動機能、要素的な動きは結構出現しておられましたが、AFOを使用していたこともあるのか、感覚には余り問題が無いとのことではありましたが、下肢の感覚の情報処理などにも色々な問題を抱えておられる様子の歩容にみえました。
発症から14年経過して、徐々にバランス機能が低下し、転倒が多くなって右上腕骨近位端骨折に至ったのが入院のきっかけではありますが、転倒を加齢によるものと単純に考える事無く脳梗塞の影響を視野に入れて脳梗塞の治療を挑戦的に試みているのがとっても好感が持てました。
また、きちんと長期的な経過を持つ患者さんのバランス機能や歩行機能の改善が動画のなかで確認出来る程度になっておられて、きっと患者さんも喜んでおられたことと思います。
質疑の時に言おうと思って痛けれど、言うことを忘れていたのですが、様々な代償が頚部の過伸展にも出ておられるようでした。
そこにも治療を試みておられて、頚部の状態もずいぶん良くなっておいでのようでした。
あの頚部だと、呼吸機能も深い吸気が困難であったものと思います。その為、睡眠などに軽度の障害というか、睡眠が浅いとか寝付きにくいとか言った問題もあったのかも知れません。また、嚥下機能も充分に働いていなかったかも知れないなぁと感じていました。
そういった問題もちょっとお聴きしておくと、あとで改善したときなどに姿勢の大切さを感じていただくことが出来るかも知れませんし、こちらも経験値として頚部の問題と呼吸や嚥下の問題を積極的に関連づけてアプローチ出来るようになるのでは無いかなどと生意気にも考えておりました。
まぁ多分、桂先生もお考えだったとは思うのですが、講義のメインストーリーと離れてしまうのでお話にならなかったのかも知れないです。
楽しい時間を過ごすことが出来ました。
桂先生、土井先生を初め、南草津病院の研修会スタッフの皆様。
ありがとうございました。
m(__)m
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