ちょっと面白いなと思う動画を見つけました。
![](https://static.wixstatic.com/media/54cac8_905c87c6cbf44f3f907fbc29f42fda7e~mv2.png/v1/fill/w_980,h_598,al_c,q_90,usm_0.66_1.00_0.01,enc_auto/54cac8_905c87c6cbf44f3f907fbc29f42fda7e~mv2.png)
楽しそうです。上には上がいるものだと思ったりして。
最初は結構転ばれたのでは無いかと思うのですけれど。上手ですよね。
運動学習が起きているのでしょう。
脳損傷などでは脳の可塑性を元に回復が起こります。運動学習です。
運動学習は脳の神経ネットワークの再構築として考える事が出来ます。無くなった細胞は元には戻らないけれど(最近はそうも言いきれないところもあります)、ネットワークの構築は常に変化していくので新しいことも学習(回復)していけるのです。
病院の中では、よくリハビリアプローチ効果のキャリーオーバー(持ち越し)がキチンと起きるかどうかが話し合われたりします。
リハビリ効果が翌日までとか、一週間先とか時間が経過しても、リハビリの後も継続するかと言うことですね。
私の臨床の経験から言えば、効果は持続します。
ただ、いくつかの条件があるように思うのです。
1)PTやOTのセラピーが、一回のセッションでキチンと運動学習につながっていること。
これは、当然ですね。学習できていないことは持続しようがありません。ここで言う運動学習は、四肢の状態(筋肉の柔らかさや弾力/皮膚の状態など)が感覚を受け取りやすいような状況に変化していることと、対象となるかたの脳がその感覚を利用してセラピー中の新しい動き方を再現できる状態を指します。
2)運動学習自体が楽しく面白いこと。
これも実は当たり前なのだと思うのです。何かを獲得するという課題指向型アプローチ、何でもいいのですが、例えば靴が履けないからはけるようにするとかに目を向けがちです。
だけど、例であげた靴を履ける様になったかどうかより、その動作自体が楽しめているかどうかが大切だと思うのです。たとえセラピー後も履くことが上手くいかなかったとしても、最初よりなんだかバランス良く足を上げることが出来て、その余裕から足先の感覚に注意を払うことが出来て上手に足先を入れることが出来るようになったとか。例えばですがそういう動きの状況変化が楽しい経験であったとすればきっと人はそれを繰り返します。
ヒトは楽しく面白いことは何度でもしようとしますが、面白くないことや苦痛なことは続けません。頑張って続けても長期間のうちに疲れ果てて止めちゃうヒトの方が多いでしょう。
3)運動学習自体がよりよいバランス(姿勢制御)に基づくものである事。
バランスを無視して力業で身体を動かす運動学習は、それが例えば課題が上手くいってしまうと、本人にとっては楽しい経験になってしまうこともあります。だから続けられることもあります。だけど身体に負担が大きければいずれ痛みにつながったり疲れやすくてあまり用いられない動作になっていきます。ですので、動作はバランス(姿勢制御)に基づくものである必要があります。
4)出来たら課題が成功すること
ま、私にとってこれはおまけです。最初に書いたように動きが面白く楽しければ日常的に繰り返されていく動きになっていくはずですので、いずれ獲得できると推測できますから。
これらの条件、少なくとも1)〜3)が整えば運動学習は継続していくものと思います。
脳損傷などの障害を受けられたかたに動きを楽しんでいただける状況を作って行くには、医学的な知識と姿勢や運動に関わる知識や技術の両方を持っている必要があります。
それにはPTやOTの職域がとてもマッチしていると思うのです。
動きを楽しむことは、人生を楽しむことです。
そうは思いませんか?
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