(画像はカンデル神経科学より)
学習というのは結局シナプスの伝達効率の変化です。
リハビリテーションに関わっている私たちが良く話題にするのはヘッブの法則(ヘブ則)ですよね。
これは、PTやOTで知らない人はおられないと思います。
ドナルド・ヘブが1949に提唱した仮説で、「細胞Aの軸索が細胞Bを発火させるのに十分近くにあって、繰り返しあるいは絶え間なくその発火に参加するとき、いくつかの成長過程あるいは代謝変化外法或いは療法の細胞に起こり、細胞Bを発火させる細胞とひとつとして細胞Aの効率が増加する」と云ったものです。
細胞Aの発火と細胞Bの発火が繰り返されると細胞Aと細胞Bのニューロンの結合が強くなると云うことですね。これが起こるとシナプスのレベルで学習がおきたと判断するわけです。
ポイントとなってくるのは、”繰り返し或いは絶え間なく”という表現ですね。
繰り返しが必用なのです。リハビリにおいても反復が必用だと考えられているひとつの科学的な根拠として取り扱われている様に思います。
ここでまだ疑問があるのは、”いくつかの成長過程或いは代謝変化がおこって”という部分で、これが何を指しているのかという所は考えなくてはならないところでは無いかと思うのです。
ほら、リハビリテーションでは、学習効率を上げるという視点って大切ですよね。
私は、この部分にアストロサイトや神経細胞外環境としての間質液交換システムが関わっているのでは無いかと漠然と考えていたのです。
いや、おそらく関わっているのでしょう。
ただ、私が考えている以上にアストロサイトは学習に関わっていたみたいですね。
しかも、ヘッブの法則とはまた違った形の学習形態のようです。
ヘッブの法則は繰り返しが必用なのですが、アストロサイトによる学習は一回で学習を起こすのだそうです。
アストロサイトはニューロンモジュレーターの働きがあるそうで、びっくりした時、情動を伴う時、脳がピンチな時などに神経収縮物質に敏感に反応してグリア伝達物質というのを放出するそうなのです。それがシナプスに作用して、シナプスが発火していないにもかかわらずシナプス可塑性を引き起こしていると云うことらしいのです。
確かに、生物としては一回しか無い場面であっても学習しなければ生存出来ない時はありますよね。ライオンなど天敵の生息しているところに何度も行かなくてはその場所を憶えることが出来ないとすれば、その動物は生存するのが難しくなりますし。
嬉しかった時とか楽しかった時などは、学習がしやすいというのも一般的に良くあります。
リハビリの場面でも、動きそのものが楽しかったりするとそんなに練習して無くても出来るようになったりすることも経験があるのでは無いでしょうか。
先日も、CPで痙直型四肢麻痺のお子さんがおられて、仰臥位で両側の肩甲帯はともにリトラクションして硬くなっておられたのですが、側臥位やらなんやかやで肩甲帯を緩め、前方へのリーチが出来るようになった時、ふと手を前に出してくれたので「捕まえた!」って手をつかんだらそれが楽しかったらしくて、その後は何回でもその遊びが出来るようになったりしていました。まぁ、自分が起こしたアクションに対してなにかしらの環境の応答があると脳は楽しいですよね。(逆に脳がアクションを起こしたのにもかかわらず何も変化が無ければ脳はその情報出力を止めちゃうでしょうね。)
生物が生存するためには、多分、こういった一回での学習のメカニズムも必用だと言えるのだろうと思います。
すると、リハビリテーションにおいては繰り返しも大切な要素のひとつではありますが、一回でなにか本人にとって驚くような、或いは楽しい変化が必用だと云うことになります。
同じ事を繰り返すだけでは無くて、毎回なにか新しいチャレンジをしてみてそれに成功して楽しいと云った情動を伴うといったような運動経験が大切で有ろうと云うことですね。
以上、いんすぴゼミでお聞きしたお話から感じたことでした。(*^_^*)
今回のいんすぴゼミは毛内先生の雑談が多くてとても面白かったです。
次回もお聴きしたいところではあるのですが、次回は病院にリハビリのお手伝いに行きますので、オンタイムでの参加は出来ません・・・。
youtubeでお聴きすることとします。
(^_^;)
いんすぴゼミの動画はこちらです。学習に関わる雑談は、7:00位の所からです。
反復しなくても記憶・学習が出来るって不思議って書いてありますね。(^^)
さて、そろそろクリスマス。
皆さん、良いクリスマスをお迎えください。
子供のところには優しいサンタさんが沢山の楽しさや面白さを伝えに行ってくれますように。
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