アストロサイト〜脳循環とリハビリテーション

更新日:6月23日

以前の記事で書いたのですが、脳の老廃物の排泄作用をもつグリンファティックシステムの存在が確認されつつあります。

このグリンファティックシステムはアストロサイトの足突起にあるアポクリン4という水チャンネルが関わっていて、このアポクリン4はノルアドレナリンによって調整されています。

グリンファティックシステムについては、以前の記事を参照していただければと思います。

グリンファティックシステム

膜電位とグリンファティックシステムから考えるリハビリテーション


さて、最近の研究でこのアストロサイトが”どのように脳血流に関わっているのか”と言うことがわかってきたようです。

脳の血流増加メカニズムの分離に成功


以前から脳の血流に神経細胞とグリア細胞が関わっているのは知られていました。

脳の特定の場所が働くとそこの血液の供給量が増えます。それを利用してfMRI等で血液の供給量を可視化することで脳のどの部位が働いているのかを知ることが出来るのです。

それを利用したリハビリに関わる研究も有ります。


さて、血液供給に対して神経細胞の興奮とグリア細胞とどのような違いがあるのかと言うことですが、この研究のプレスリリースを読むとアストロサイトによる血流増加はアストロサイト細胞間のギャップ結合(異種細胞の細胞膜間結合)を介して比較的広範な領域の血管拡張作用を持っているようです。それに対してニューロンの活動による血流増加は血管拡張作用を持つシクロオキシゲナーゼ(COX)や一酸化窒素(NO)の放出による血管拡張であり、比較的狭い範囲の血管拡張作用のようです。

アストロサイトによる血管拡張作用はニューロンによる血管拡張作用には関与しないと書いてあります。


考えてみると、アストロサイトの血管拡張作用が働いた上でニューロンによる血管拡張作用が働かないと十分な血流増加を見込めないですよね。

仮にアストロサイトのメカニズムが破綻していて周辺の血管拡張が起きていない状況で、

より局所の血管を広げたとしても十分血液は流れてこないのでは無いかと推測できます。


2020年に理化学研究所が「心理状態に応じて変化するグリア細胞の活性化様式を発見」というプレスリリースをしています。細かなことはこのリリースを読んで欲しいのですが、「アストロサイトの活性化には、心理状態に応じて段階的な様式があることが分かり、アストロサイトを能動的に制御して記憶や学習といった脳機能を向上させる上で必要な基礎的な知見を得ることができました。本研究成果は、心理状態が影響を及ぼす記憶の定着メカニズムの解明に貢献するとともに、心的外傷を治療する上での重要な知見になると期待できます。」とまとめてあります。

ノルアドレナリンですから、恐怖とか驚愕した際の記憶の定着について調べておられますが、その程度に応じて学習状態を変化させていると言うことです。

少なくとも恐怖/驚愕などによる行動選択や運動選択における学習にはノルアドレナリンとアストロサイトの働きが関わっていることは言えそうですね。

驚愕などは、「やばい!」という場合と「やった!!」の場合がありそうな気がしますけれど。

アストロサイトと学習については2011年にこういった報告も出ています。

記憶や学習の能力にグリア細胞が直接関与


脳の可塑性と言われるものにとって、血液循環は酸素やエネルギーの運搬を担っていて、アストロサイトは神経細胞より広範な血管拡張作用と老廃物の排出を担っているので、とても重要な要素と言えそうです。

老廃物の排出〜グリンファティックシステムは睡眠時にその働きが増すと言われています。

アポクリン4が活性化するのはノルアドレナリンがあまり出ていない状態です。たとえて言うならば穏やかな状態(時間)と言うことになるのかもしれません。

学習のためにはアセチルコリンの働きもですが、ノルアドレナリンも重要な働きを持っています。学習の基盤を作るためには脳内環境の維持が必要ですので、ノルアドレナリンが少ないときに。脳の神経があまり活発でいない状態の循環はアストロサイトが担っているぐらいのことは言えそうです。


リハビリにおいて様々な治療的介入は、まだ壊れてはいないけれど働いていない神経細胞の働きを改善させたりシナプス接続を変化させて学習を起こしていただくために行います。それは動きその物を改善させる時も、代償的(装具や杖、その他)な道具の使用の時も、環境の調整をする時も同様です。

大なり小なり時間と共に変化していく環境に対して脳は常に変化することを求められますので、常に学習を起こしています。

それを最適な形で学習していくことが出来るようにしていくことはリハビリに関わるヒトたちには常に求められていくことでしょう。

そういったことを考えると、神経接続のみでは無くて、ここに書いたので言えばグリンファティックシステムやアストロサイトによる血管拡張作用に代表される神経接続以外の代謝や血管運動などの要素は今後のリハビリテーションにおいて重要度を増してくると予想しています。

活動(適切な刺激)と休息。

それが学習のために必要なのだと。

そうは思いませんか?

・・・睡眠障害の私に言われても説得力が無い・・・あ、そう・・・。


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